天上の月影

勅命のほかに領解なし

行空上人研究の問題点(2)

2017年08月04日 | 法本房行空上人試考

 また花野充道氏は「私自身の研究方法論を確立するに当たって、最も影響を受けたのは佐藤哲英先生の方法論でした。それは一言で言えば、学問の客観性ということです。客観性の欠如した単なる主観的な論文は、砂上に築く楼閣のようなものである。これが佐藤先生の学問信条でした」といわれている。そして自身の学問信条は「研究態度は客観的に、しかも主体的に」であるとし、『論語』の「学んで思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし」という言葉を引き、「学問をする場合、『学ぶ』ことと『思う』ことが大切であるということです。『学ぶ』とは、先学が残した書物や資料を読んだり、先生から教わったりして、要するに、客観的な知識を習得することです。これに対して『思う』とは、自分自身で主体的に思考し、思索していくことです。私は、学問をする場合、この二つが車の両輪のようにバランスをとって進んでいくことが望ましい、と考えています」といわれたあと詳述し、

われわれが学問をする場合、まず資料や文献を正確に理解し、先学の学説を謙虚に学んだ上で、自分の主体的な学説を構築していくという態度を心がけることが大切です。学ぶだけで、主体性がなければ、先学の論文の丸写しになってしまいますし、反対に、思うだけで、客観性がなければ、独りよがりの信仰(信念)告白のような論文になってしまいます。私が「研究態度は、客観的に、しかも主体的に」と言う意味は、そういうことなのです。

とまとめられている(1)。

(1)花野充道氏「本覚思想と本迹思想─本覚思想批判に応えて─」(『駒沢短期大学仏教論集』九、二○○三年)

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