最上の自然

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トドマツ?カラマツ?

2010-01-14 00:40:10 | カミキリムシ
昆虫採集にいけないこの時期は、図鑑を読んでシーズンに入ったときに何処でどんなのを採ろうかと、想像(妄想?)していることが多い。

目標はカミキリムシがほとんどなので、手元にあるカミキリ図鑑の「日本産カミキリ大図鑑」と「日本産カミキリムシ」を読んでいることが多いんですが、ツヤナシトドマツカミキリ(網走支庁は記録無し)を採ったときに同定で迷わないように検索表などを詳しく見ていると、トドマツカミキリ類の区別点について両方の図鑑に相違点があることに気がついた。

以下各図鑑から引用(ホソトドマツカミキリは除く)

日本産カミキリ大図鑑(1995)↓
1.体全体に光沢が強い;前胸背はきれいに点刻され、しわがない;触角第3節は1節とほぼ同長かわずかに長い・・・2
-体全体に光沢がほとんどない;前胸背はほぼ中央に1対の横しわ隆起部を持ち、側部は鮫肌状;触角第3節は1節より長い・・・ツヤナシトドマツカミキリ
2.触覚は一見して太い;前胸背中央は不規則にまばらに点刻される;小楯板はまばらに点刻され、光沢が強い;後腿節は基部直後から幅広くなる・・・トドマツカミキリ
-触覚は一見して細い;前胸背中央は整然と密に点刻される;小楯板は普通に点刻され、光沢はほとんどない;後腿節はいきなり基部から幅広くなる・・・カラマツカミキリ


日本産カミキリムシ(2007)↓
1.前胸背板中央は整然と細かく点刻され、通常は光沢が弱い。小楯板は粗く点刻され光沢がない。後肢腿節は基部がくびれる。・・・2
-前胸背板中央は疎らに粗く点刻され、通常は光沢が強い。小楯板は細かく点刻され、光沢がある。後肢腿節は基部から強く膨らむ。・・・トドマツカミキリ
2.上翅は全体が一様の毛で被われる。・・・ツヤナシトドマツカミキリ
-上翅基部は白色毛に被われる。・・・カラマツカミキリ


ここで注目したいのはトドマツカミキリとカラマツカミキリの区別点。
トドマツカミキリ
 後腿節は基部直後から幅広くなる(日本産カミキリ大図鑑)
 後肢腿節は基部から強く膨らむ(日本産カミキリムシ)

カラマツカミキリ
 後腿節はいきなり基部から幅広くなる(日本産カミキリ大図鑑)
 後肢腿節は基部がくびれる(日本産カミキリムシ)

それぞれの図鑑で表記が真逆になってしまっている
お互いの図鑑には図も載っていて、違いが一目瞭然だが図鑑の写真を載せていいのかわからないので、持っている方は各々確認してください

基本的にカミキリムシの同定には、図入りの検索表がついてることと、新しいということで日本産カミキリムシを利用していたので、古いほうが間違ってるのかなぁ?と思っていたんですが、どうやらカラマツカミキリは日本産カミキリ大図鑑で記載されているようなので、日本産カミキリムシが間違っているのだろうか?

と、↑のような疑問を持ったので、手元にある標本(62個体)を見てみることにしたんですが


左、2009,6,3北見市産♂ 右、2008,6,22遠軽町産♀
これはトドマツカミキリだと思うもの。



左、2009,6,20網走市産♂ 右、同♀
これがカラマツカミキリなんじゃないかと思うもの。


採集した62個体の内、トドマツカミキリだと思う個体(肩に白色毛無し、色彩は黒や赤、後肢腿節は基部がくびれる)は5♂♂6♀♀、カラマツカミキリだと思う個体(肩に白色毛有り、色彩は黒、後肢腿節は基部から強く膨らむ)は37♂♂14♀♀。
ちなみに、一度に複数採集したときでも必ずどちらかしか採集できなかったことからも別種の可能性が高い?

カラマツカミキリは北海道での記録がなく、どうせトドマツカミキリだろう(トドマツも肩に白色毛が出る個体がいるらしいので)とろくに見ていなかったんですが、前胸の点刻も細かく、小楯板に光沢もなく、後肢腿節は基部から強く膨らむことからカラマツカミキリだと思うんですが、皆さんはどうおもいますか?