去年は鰻を一度も口にしなかった。
今年はこの暑さだし、何がなんでも食いたいと思い
「いいか、今度の金曜は土用だ。どしても鰻が食いたい」
先週のいつだっかにそんなふうに念を押した。
カミさんは鰻なんかはあってもなくてもいいという奴だ。
そのくせどうせ食べるなら、きちんとした鰻重がいいといった。
こっちだってそういう話なら異論はない。
そっちがケチを言わないならそのほうがいい。
別に腰を抜かすような値段でもないから
勝手に食えば食ったになるだろうが、
仕事で疲労して帰ってくると食卓に鰻がある。
「そうか、今日は土用か」と、この何気ない心遣いが欲しいのだ。
ところが一昨日になって、「私、金曜は仕事で東京に行くからいないね」といった。
東京でもロンドンでも好きなところへ行けばいいが、鰻はどうするんだ。
「おい、鰻は」「あ、忘れてた」
こんな大事なことを忘れるなんてこの家庭は大丈夫かと思った。
文句を散々行ったので結局昨日食いに行くことになった。
しかし、きちんとした鰻重でもなかったのでカミさんは別メニューを注文した。
鰻丼が運ばれてきたが、見るとご飯の上に尻尾の部分が無造作に乗っている。
「これで千円近くするのか、これならスーパーでインチキ産を買ったほうがマシだな」
それでも頬張ってみると数年ぶりな気がして、ガツガツ食った。
きっと五分とかからなかったに違いない。
「全然腹がふくれんな。もっともっと食いたい」
「今度は、きちんとしたのを食べようね」
カミさんの今度は、一向当てにならない。
今年はこの暑さだし、何がなんでも食いたいと思い
「いいか、今度の金曜は土用だ。どしても鰻が食いたい」
先週のいつだっかにそんなふうに念を押した。
カミさんは鰻なんかはあってもなくてもいいという奴だ。
そのくせどうせ食べるなら、きちんとした鰻重がいいといった。
こっちだってそういう話なら異論はない。
そっちがケチを言わないならそのほうがいい。
別に腰を抜かすような値段でもないから
勝手に食えば食ったになるだろうが、
仕事で疲労して帰ってくると食卓に鰻がある。
「そうか、今日は土用か」と、この何気ない心遣いが欲しいのだ。
ところが一昨日になって、「私、金曜は仕事で東京に行くからいないね」といった。
東京でもロンドンでも好きなところへ行けばいいが、鰻はどうするんだ。
「おい、鰻は」「あ、忘れてた」
こんな大事なことを忘れるなんてこの家庭は大丈夫かと思った。
文句を散々行ったので結局昨日食いに行くことになった。
しかし、きちんとした鰻重でもなかったのでカミさんは別メニューを注文した。
鰻丼が運ばれてきたが、見るとご飯の上に尻尾の部分が無造作に乗っている。
「これで千円近くするのか、これならスーパーでインチキ産を買ったほうがマシだな」
それでも頬張ってみると数年ぶりな気がして、ガツガツ食った。
きっと五分とかからなかったに違いない。
「全然腹がふくれんな。もっともっと食いたい」
「今度は、きちんとしたのを食べようね」
カミさんの今度は、一向当てにならない。