日々記

ひびき

うなぎ

2012-07-27 | Weblog
去年は鰻を一度も口にしなかった。
今年はこの暑さだし、何がなんでも食いたいと思い
「いいか、今度の金曜は土用だ。どしても鰻が食いたい」
先週のいつだっかにそんなふうに念を押した。
カミさんは鰻なんかはあってもなくてもいいという奴だ。
そのくせどうせ食べるなら、きちんとした鰻重がいいといった。
こっちだってそういう話なら異論はない。
そっちがケチを言わないならそのほうがいい。
別に腰を抜かすような値段でもないから
勝手に食えば食ったになるだろうが、
仕事で疲労して帰ってくると食卓に鰻がある。
「そうか、今日は土用か」と、この何気ない心遣いが欲しいのだ。
ところが一昨日になって、「私、金曜は仕事で東京に行くからいないね」といった。
東京でもロンドンでも好きなところへ行けばいいが、鰻はどうするんだ。
「おい、鰻は」「あ、忘れてた」
こんな大事なことを忘れるなんてこの家庭は大丈夫かと思った。
文句を散々行ったので結局昨日食いに行くことになった。
しかし、きちんとした鰻重でもなかったのでカミさんは別メニューを注文した。
鰻丼が運ばれてきたが、見るとご飯の上に尻尾の部分が無造作に乗っている。
「これで千円近くするのか、これならスーパーでインチキ産を買ったほうがマシだな」
それでも頬張ってみると数年ぶりな気がして、ガツガツ食った。
きっと五分とかからなかったに違いない。
「全然腹がふくれんな。もっともっと食いたい」
「今度は、きちんとしたのを食べようね」
カミさんの今度は、一向当てにならない。
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