侘寂菜花筵(わさびなかふぇ)

彼岸の岸辺がうっすらと見え隠れする昨今、そこへ渡る日を分りつつ今ここを、心をこめて、大切に生きて行きたい思いを綴ります。

2013年はヘビーに土に根をおろしましょう!

2013-01-03 00:58:50 | Weblog
  自民党圧勝の陰で刻々とTPPへの参加表明も秒読みのような危機感がある中で
  この映画は如何にして日本の在来の野菜を育んでいくかが問われている。

  鶴岡でアルケッチャーノというイタリア料理店を営むシェフはその在来野菜の奥深い味わいを
  冴え冴えとした調理法で見事に引き出していく。
 在来種は地域の稀少文化財である事を学問的に敷衍して往く山形大学の先生
 そしてなによりも美しくおもえるのはそれらの種たちを
 なんのてらいもなく、じゅんじゅんとあたりまえのこととして
 何年も何年も絶えさせることなく育ててきた方々。

 実にテマヒマのかかる季節毎の作業を厭わず、人を喜ばすことをわが喜びとして
 愛情豊かに育んできた人々の姿に打たれ、頭が下がった。

 日本中から在来の種がかき消え、モンサント社の種に席巻されてしまったら
 農薬漬けの土地となり、持続可能性も生物多様性も危ぶまれる。

 若干32歳の若手監督のこの映画は実にフレッシュだ、在来種の希少性を引き継ごうとする
 若者同様、彼らの姿には神々しいほどの未来と希望を感じる。

 ありがたい!

  映画「よみがえりのレシピ」

在来作物は何十年、何百年という世代を超え、味、香り、手触り、
さらに栽培方法、調理方法を現代にありありと伝える「生きた文化財」である。
しかし高度経済成長の時代、大量生産、大量消費に適応できず、忘れ去られてしまった。
社会の価値観が多様化する現代に、足並みを合わせるように在来作物は、貴重な地域資源として見直されている。
在来作物を知ることは、食と農業の豊かな関係を知ることにつながる。
地域に在来作物がよみがえり、継承されていく姿は、豊かな食を味わい、楽しむ姿であり、
地域社会の人の絆を深め、創造する姿である。
この動きを日本全国、さらには世界中で起きている食や農業の問題への処方箋(レシピ)として、伝えていきたい。

 監督 渡辺智史

 1981年生山形県鶴岡市出身。
 東北芸術工科大学在学中に東北文化研究センターの民俗映像の制作に参加。
2002年「関川のしな織り」で撮影を担当。03年山形県村山市の茅葺集落五十沢の1年を追う。
上京後イメージフォーラム付属映像研究所に通いながら、映像制作を開始する。
05年有限会社アムールに入社し飯塚俊男氏に師事する。
06年障がい者が参加する第九合唱を描いたドキュメンタリー映画「An Die Freude 歓喜を歌う」撮影・編集。
07年「映画の都ふたたび」を撮影。08年フリーで活動開始。
「湯の里ひじおりー学校のある最後の1年」を監督。
10年映画「よみがえりのレシピ」を撮影開始、
11年の秋に山形県内で公開する。
2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭、2012年香港国際映画祭に本作品を正式に出品している。
 

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