前回に引き続きモバゲで対戦したK21さんとの一局を見ていきます。今回は42手目、後手のK21さんの手番からです。再掲第3図は先手の私が▲7六角と打った手です。本局の初手からの指し手については過去記事「超速△3五馬-3(K21-1-1)」からご覧下さい。
第3図以下、△6六竜▲6七香△4六竜▲4七歩△4四竜▲6一香成△同玉▲6三歩△同銀▲7三馬△6二金▲8三馬△5二玉で第4図。
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第3図に局面から△6八歩成▲6五角△6九と(参考C図)と取り合えば後手は2枚替えの駒得となりますが、この時点では2枚替えでも飛車を渡せば駒を取り返される可能性が高いですし、ここから▲4三角成△同金▲2二飛成という大技も考えられます。
というわけでまだ後手は竜を切るのは早計。△6六竜と我慢して▲6七香に4六竜と王手で竜を逃げます。私も先手を取って▲4七歩と中合いしますが、K21さんは取らずに△4四竜と引きました。これも後手を引く手なのでどうせなら▲4七歩は取った方が得だと思うのですが、一番いいタイミングで取りたいということでしょうか。
私は当然▲6一香成。K21さんは△6一同玉と玉で成香を取りました。銀で取らなかったのは9一の馬をすぐには使わせたくないという事だと思われます。しかしここで手番はこちらなので▲6三歩が痛打。結局△6三同銀と取ります。これなら最初から成香は銀で取っておくべきだったのではないでしょうか?
▲6三歩を△同銀と取れば当然私は▲7三馬と馬を使います。K21さんは△6二金と叱りつけてきましたが、▲8三馬と王手で逃げます。すると今度はK21さんは△5二玉(第4図)と早逃げしました。前の手が馬を叱りつける手だったのでここでも△7ニ銀(参考D図)などとしそうなものですが、今度は早逃げの方が得策と判断されたようです。
第4図以下、▲5六桂△3四竜▲6四歩△同銀▲8五角△4二玉▲6四桂△6三歩で第5図。
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私は▲5六桂と打ちました。竜取りですが、真の狙いは6三の銀の方です。K21さんもそれは承知でしょうが、かといって竜を取らせるわけにもいかないのでここは△3四竜と逃げます。ここでも逃げるなら△4七竜(参考E図)と逃げれば王手の先手なのですが、瞬間的な先手にすぎず竜をハジかれてから6三の銀を攻めらてしまいます。5六の桂が馬でヒモ付きなのがなんともうまくできています。
本譜、△3四竜に▲6四歩と打ちます。K21さんはこれをあっさりと△同銀と取りました。銀・桂交換となってもその方が竜を活用できるとの判断だと思われます。
私もそう思いましたのでここは単純に銀は取らず▲8五角と王手。これに対しては△6三歩(参考F図)とフタしてしまうのが形だと思われますが、K21さんは△4二玉と逃げる手を選択されました。
△6三歩ではマズかったのでしょうか?たしかに▲6四桂と銀を取られた時に歩では取れませんから△6四同竜と竜で取ることになりますが、この手がうまい具合に6九の金にアタるので後手にとっては都合良いと思うのですが…
本譜K21さんは▲6四桂と銀を取られてから△6三歩(第5図)と歩を打ちました。手を渡された私はどうするべきでしょうか…
第5図以下、▲7二桂成△2三銀▲6二成桂△3一玉▲5二成桂△2四香▲2六歩△2二玉▲6三角成(投了図)まで、先手の勝ち。
第5図の局面、桂取りですが、これを▲6三同角成と切る手もかなり有力だと思ったのですが読み切れませんでした。
ま、こちらは急がされているわけではないので▲7二桂成で十分。K21さんは金を見捨てて△2三銀と上がりました。これも玉の退路を確保して長期戦に持ち込む大きな手ですが、▲6二成桂と金をボロッと取られる手も大きく、形勢が持ち直すまではいきません。
△3一玉と逃げても▲5二成桂とジリジリと迫ります。ここでK21さんは△2四香と打ちました。これは最後の勝負手という感じです。常識的には歩がたくさんあるのだから△2七歩~△2六歩~△2五歩と連打していけばいいはずですが、最後の△2五歩を私が取るとは限らず▲3六飛(参考G図)とブツケるかもしれません。
あるいは▲6六飛と6筋まで回って左翼から飛車成りを狙っていく展開も考えられます。そんなわけでK21さんは歩ではヌルいと見て香を打ったのでしょう。私はこれもヘタに相手する必要がないので▲2六歩と止めておきます。
後手としてもこれで先手から2筋を攻められる危険性は少なくなったので、△2二玉と入り長期戦に備えると思いきや…私の▲6三角成にK21さんは投了してしまいました。
たしかにジリ貧はジリ貧なのですが、入城してまだまだ徹底抗戦の構えを見せていただけに、このタイミングでの投了は少し意外に思いました。
投了図の局面は次に先手から▲4五金と打って竜を殺す手があります。竜はタダ死というわけではなく馬と交換になりそうですが、打った金が後手陣の玉頭に利いてくる感じです。先手に飛車を持たれて玉頭と横腹から攻められたのではたまりません。
先手への攻めも角を1枚手にしただけでは攻撃の糸口が見当たりません。冷静に判断すれば投了も仕方ないでしょう。
本局は後手が20手目に先手の角成りを受けずに馬を敵陣から引き揚げる「超速」の3例目となった一局でした。私が安直に馬を6四にに引いたため、逆に△6二飛と6筋を逆襲され乱戦となった将棋でした。その部分も問題なのですが、超速の部分で気になった変化がありますので少し考察してみたいと思います。
続きは次回です。