http://www.asahi.com/national/update/0819/TKY200608180458.html
2006年08月19日00時59分
北海道根室市のカニかご漁船第31吉進(きっしん)丸が、北方領土と北海道の中間ライン付近でロシア連邦保安庁国境警備局に銃撃・拿捕(だほ)され、1人が死亡した。なぜ、危険海域までいったのか。背景には根室半島を含め北方領土沿岸のカニ資源が枯渇していることや、ロシア産のカニ輸入が増えていることなどがあると指摘されている。 午前10時半から始まった競りは5分たらずで終わった。「売りものにならないなあ」とある仲買人(45)はぼやいた。小さなハナサキガニばかりだった。
北海道と北方領土の地理的中間線
水揚げされたカニを大きさごとに仕分ける女性=17日午前、根室市の花咲港で
根室・花咲港に17日朝、2隻が水揚げした約200キロのカニ。普段は4~5隻がでて、多い時は水揚げは5トンぐらいになるという。「(前日の拿捕・銃撃)事件の影響」という。「北方領土と北海道の中間ライン近くまでいけないと、こんなカニになるのかな」
吉進丸は、中間ラインを越え北方領土側にきていたとロシア側は主張するが、日本政府は、正確な状況について見解を示していない。
根室近海でとれるハナサキガニは減少傾向にある。道によると根室市沿岸漁協の漁獲量は93年の441トンをピークに減少し、05年は82トンだった。地元市場では、1杯あたりの重さも5、6年前は1.5~2キロだったが最近は800グラムぐらい。
「量をとるには、コンブなどが多く良い漁場である中間ラインの近くまで行かないといけないが、危険な海だ」とある仲買人は話す。
地元漁師によると、最近の根室半島近くでは1日に1隻で100キロとれればいい方。えさ代や乗組員の給料を考えると採算はよくない。中間ライン付近まで行けば平均700~800キロ、多い時は1トンは見込める。
根室半島側のハナサキガニなどの漁獲量は減っていく一方で、ロシアからの輸入実績は増えている。根室税関支署によると、管内では01年の2120トンから05年は2693トンと年々増加し、根室側の減少分を補っている。また、道のまとめではハナサキガニのキロ当たり平均単価は91年で約1900円だったが、近年は400~700円と低調に推移する。
ブランド力がある根室側のカニと比較し、ロシア側は価格が安いとされる。それが市場で増えたのも、価格低迷の一因だという。
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