ハエたたきでハエを狙ってもなかなか命中しない経験をした人が多いだろう。中にはハエに馬鹿にされたような心境になって鬱病を患ってしまった人もいるかもしれない。
しかし、ハエのために自尊心を失っていた人に朗報である。
アメリカの大学でハエの飛行経路を克明に研究し、ついにその原因を究明したのである。
「ハエたたきが当たらない」その理由が判明
≪カリフォルニア工科大学のディキンソン教授は、昆虫の飛行生態について20年間にわたり研究しており、ある記者から受けた質問「ハエたたきはなぜあんなに難しいのか?」の答えをみつけた。同大学がこのほど明らかにした。
この問題を解くために同教授が用意したのは、直径14センチの黒い円板が、静止したミバエ(クダモノバエ)に迫りくるところを高速撮影したデジタル写真。同教授らはこの画像を分析することにより、ハエの回避行動特性をつかんだ。
ハエは、飛び去るずっと前の時点で、迫りくる脅威の位置を判断し、回避するための方法を計算する。そして、逃げるのに最適な場所に脚を置き、脅威とは反対の方向にジャンプして逃げ去る。これらの行動はハエが脅威を発見してからわずか100ミリ秒の間に起きる。≫
結果はハエの知能が昆虫の中ではずば抜けて高いというものだった。ハエ恐るべしである。
≪「ハエの頭脳が、知覚情報を適切な動的反応に非常に高速に伝えていることが、これで分かる」とディキンソン教授。
ハエは360度の視野角を持ち、自分の背後も見ることができる。向かってくる脅威の角度によって、自分が回避するための方向を決め、中脚、後脚の位置を変えるのだ。また、脅威を発見したときの自分の各部位の位置も知覚し、それを適切な場所に移動させる方法も計算する。≫
と、命中しない原因を見事に解析したディキンソン教授だったが、残念ながら命中精度を上げる方法の研究はまだ今一つのようである。
≪ディキンソン教授らの研究により、ハエをたたくのに適切な方法も判明した。「ハエの現在の場所をたたいてもダメ。ハエが逃げるべきと判断した方向の、ちょっと先の方を狙うべき」と同教授はアドバイスしている。≫
当てずっぽうで叩くしかないと言っているのである。
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