断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

インターバンク市場の機能について 2

2015-03-29 22:10:30 | MMT & SFC

  

X銀行からY銀行への送金が集中しており

相互の債務の相殺では決済しきれない場合、

第三のケースとして、中央銀行を介して

決済をすることが可能である。

この場合、X銀行、Y銀行

ともに中央銀行に準備預金口座を開設しており、

この預金で決済が行われる。

 

まず、X銀行が中央銀行から資金を得る場合を

考えよう。ただし、今のところ中央政府など

考慮に入れない。

 

中央銀行

資産

負債

貸付金         +100

X銀行         +100

 

X銀行

資産

負債

準備預金        +100

借入金          +100

 

これは、最初にX銀行が民間非金融部門に

貸付をしたのと全く同じパターンである。

中央銀行は準備預金を発行するに際して

原資として先立つ資産を必要としていない

X銀行と中央銀行の間では、単に、

互いの負債が交換されるだけである。

なお、民間の優良手形が売却されるケースもある。

 

中央銀行

資産

負債

有価証券        +100

X銀行         +100

 

X銀行

資産

負債

準備預金        +100

有価証券         ‐100

 

 

ここでいう有価証券の大部分は、多くの国で

今日では国債によって占められている。

また、今回は言及しないが、いわゆるレポ取引

(日銀では、「現先」勘定)も重要な論点である。

なお、現在の多くの国がそうであるように

紙幣は中央銀行のみが発行できるとしよう。

その場合、民間銀行の預金者の要望で

50の紙幣が振出されると、

 

X銀行

資産

負債

貸付金         +100

預金           +100

準備預金         +50

借入金          +50

準備預金         ‐50

紙幣            +50

 

紙幣            ‐50

預金            ‐50

 

中央銀行

資産

負債

貸付金          +50

準備預金        +50

 

準備預金        ‐50

発行銀行券      +50

 

見てのとおり、X銀行の負債は、

当初、融資先に対して振出した100の預金から

50が現金に払戻しされ、その結果、

預金(負債)残高は50に減った。

他方で、この紙幣を入手するため、中央銀行に対し

50の債務を新たに負うこととなった。

結果的にX銀行のポジションは

資産が100(顧客への貸付金)、

負債は50(顧客の預金)+ 50(中央銀行からの借入金)

である。

他方、中央銀行は資産としてX銀行に対する

50の貸付金を有するほか、負債として50の紙幣が

発行された。この場合、X銀行が

中央銀行から資金を借入れたのは

預金者の要望した払戻しに応じるためであり、

預金者への貸付の原資としてではない

逆に言えば、たとえばX銀行が融資の結果、

振出した預金がY銀行に送金され、

そこで預金者が払戻しを求めれば、

中央銀行の貸付はX銀行に対してではなく

Y銀行に対して実行される

 

さて、X銀行からY銀行への送金が

中央銀行の準備預金を通じて行われる場合を

考えよう。まずは「即時グロス決済」形式の

取引を取り上げる。これはX銀行が預金者から

送金指示を受けると、

Y銀行へ支払依頼を出すと同時に

中央銀行の準備預金を使って決済までしてしまう

取引形式である。

 

X銀行

資産

負債

貸付金          +100

預金           +100

準備預金        +100

借入金         +100

準備預金         ‐100

預金            ‐100

 

Y銀行

資産

負債

準備預金        +100

預金           +100

 

中央銀行

資産

負債

貸付金          +100

X銀行          +100

 

X銀行           ‐100

Y銀行          +100

 

X銀行はY銀行へ振込依頼を出す。

Y銀行は、それを受けて顧客の預金口座の残高に

100を加算する。これによって、顧客の送金は

終わる。同時に、X銀行は日銀に、自分の口座の

準備預金から100をY銀行の口座へ振替を

依頼する。それが実行されることで、

X銀行とY銀行の間には、債権債務の関係は

残らない。

 

現在、日本では1億円以上の送金業務は

こうした「即時グロス決済」取引で行うことが

定められている。しかしながら、通常の

より小口の取引では、こうした即時グロス決済ではなく、

「時点ネット決済」が行われている。

これは、すでに説明した通り、

両行の間で債権債務の相殺処理をした後、

帳尻だけを中央銀行当座預金で

決済する、というやり方である。

多くの国では、1日のうちで

決済が行われる時間が決められており

そして決済の際、あるいは帳尻が

繰越される場合には、金利が支払われる。

しかしながら、決済の時に

銀行がそれに応じることができる十分な

準備預金残高があれば問題ないが、

それが不足した場合(すでに、

前の節で説明したケースを除けば)、

他の銀行か中央銀行から借入れるしかない。

この借入の際の金利が

日中もののインターバンクレート、あるいは

決済が翌日にまたがる場合のレートが

オーバーナイトもののインターバンクレートである。

日本では通常、無担保コールレートと呼ばれるものが

これに該当する。

 

X銀行がY銀行に対する債務を決済するとき、

X銀行の手持ちの準備預金が十分でなければ

X銀行は資金余剰となっているZ銀行、

あるいはY銀行自身が資金余剰であれば

Y銀行自身からも借入れることができる。

しかし、他にどの銀行も資金余剰でない場合、

或いは、資金余剰額が不足額よりかなり少ない場合、

インターバンクレートは急上昇することになる。

たとえば、預金者が一斉に

普段より多くの預金を現金化してしまうような

ケース(日本では、たとえば月末や、

盆暮れゴールデンウィーク

直前になると、こうしたことが起こりやすい)には

準備預金(日銀当座預金)が減少し、

インターバンクレートが上昇することになる。

(問題は、レートが上昇すること自体よりは

決済用の準備預金が不足していることであり、

インターバンクレートの急上昇は、その兆候である。)

こうした時、中央銀行は

準備預金を金融市場につぎ込み、

決済に滞りが無いように金利を安定させる。

逆にゴールデンウィークや盆暮れの直後には

現金化されていた資金が一斉に

預金され、準備としてインターバンク市場に

戻ってくることになる。この場合、

インターバンク市場の金利が急落する。

ところが、この金利が低下しすぎると、

今度はX銀行に対して資金を提供する

Y銀行の役割を果たす銀行が無くなってしまう。

Y銀行はX銀行の依頼を受けて

立替払いをしているわけだが、あまりにも低い金利だと

融資費用やリスクをカバーできなくなってしまうので

Y銀行は、もはやX銀行の依頼を

そのまま受けることができなくなってしまう。

その結果、送金決済業務がスムーズに進まず

決済システムそのものが機能マヒに陥ることになる。

従って、こうした場合には中央銀行は

売りオペレーションによって市場の余剰準備を

回収することになる。

つまり、中央銀行が売りオペレーションや

買いオペレーションによってインターバンク市場の

資金(準備預金)の残高を調整するのは

景気をコントロールするため、というより

まず何より、インターバンク市場がスムーズに運営され

決済がきちんと行われるようにするためなのである

実際には、準備預金は、上記のとおり

民間銀行が振出した預金の現金化に対応するため

必要とされるか、銀行間の債務相殺の帳尻を

決済するためだけに使われる。

(実際には、このほかにも

政府・中央銀行への支払いのためにも必要とされる。

また、これはオペレーショナルな必要性が

あるわけではないが、法律上法定準備率制度を

採用している国では、

それを満たすためにも必要とされる。)

従って、いくら中央銀行が準備預金残高を増やしたところで

銀行が振出すことのできる預金残高は

顧客の要求によって決まってしまう

それどころか、銀行が必要とする以上の

準備預金を供給した場合、インターバンク市場で

金利がゼロにまで圧縮され、

市場金利を引き下げるどころか、

決済システムそのものが崩壊してしまい、

経済全体が混乱することになってしまう

だから、インターバンク市場で決済に必要とされる以上に

準備預金を供給する場合には、

準備預金そのものに金利を付けることが

必要不可欠になる

いずれにせよ、準備預金が銀行の貸出の原資では

ない以上、これを増やすことによって

銀行の融資活動を活発化させることは

不可能である。ただインターバンクレートが

下がれば、銀行にとって貸出金利も

下げることが可能になり、これが

企業の投資活動を促すことはあり得る。しかし

それを超えて、ベースマネーの増加自体が

投資を増やし、マネーストックを増やすことは

あり得ない。これがMMTの主張である。

 

実は、中央銀行は多くの国で

日々、盛んに介入をしている。これは

景気刺激政策というよりは、

日常業務であり、景気刺激策或いは

その他あらゆる政策的行動は

こうした日常業務によって日銀が

決済システムをスムーズに機能するように管理していることが

大前提となる景気刺激、物価安定、

インフレ、或いは雇用のため、中央銀行には様々な政策が

提案されているが、どのような政策にせよ、

こうした、中央銀行の「決済システムを維持する」という業務と

矛盾する政策を採用することは

不可能なのである

 

なお、日本やアメリカ、EUでは

「法定準備預金制度」がとられている。

これは、昔はそれなりに、というか、

非常に大きな意味があった。ただしそれは

違反をした金融機関に対して大きなペナルティーを

課す一方で、窓口規制などを通じて

銀行が常に準備不足

ぎりぎりでオペレーションするように

追い込んでゆくことができた時代の話である。

だが現状(ただし、

サブプライムローンバブル危機以前の、

金融自由化された状況のことで、今の様に

異常な超過準備残高があることを

想定しているわけではない)では、ほとんど

意味が無くなりつつある。

 

法定準備率制度の趣旨は、次のようなものと解釈できる。

民間銀行が預金振出によって貨幣供給量を

勝手に増やしてしまっては、インフレになってしまう。

そこで民間の預金発行残高に

タガをはめるため、預金創造と

保有準備預金残高の間に

一定の関係をつけよう、というものである。

金融自由化の結果、窓口規制などによって

金融機関に人為的に働きかけることができなくなり、

同時に、金融機関がさまざまな決済手段を

開発するようになり(すでに述べた

証券化などは、これに該当する)、さらには、

自動預け替え口座など(顧客の預金のうち、

あまり使われていない金額については

自動的に、預金準備率が低い口座へ

振替えてしまうもので、日本ではあまり普及していない?)

さまざまな方法が開発されたことで

法定預金準備制度に対する、いわば「抜け穴」が

できてしまった。

もともと法定準備預金制度には

顧客の預金をベースにして

必要な準備預金を計算する「計算期間」と

そうして計算された「所要準備」を

実際に中央銀行の口座に保持しておかなければならない

「積み期間」の間にずれがある

アメリカの場合、ある2週間(計算期間)の間の

毎日の営業終了時点における顧客の預金残高の

平均値で「所要準備額」が決まると

次の2週間をおいて、そして

その後の2週間(積み期間)の間、

これまた毎日の営業終了時点での

準備預金残高の平均値が

この所要準備額を満たしていればよいことになっている。

日本の場合は、毎月1日より月末までを計算期間とし、

同月の16日に始まり翌月15日に終わるまでの

期間を積み期間としている。

つまり、教科書の信用創造プロセスに書かれているような

業務は、何も行われていないのである

中央銀行は、民間銀行から資金供給の要請があった場合

これに応じざるを得ない。なぜなら、

これに応じなければ、金融機関は決済ができず

決済システム自体が破たんすることになってしまうからである

それどころか、

金融機関は金利を節約し、不確実性を

減らすため、オーバーナイト物の繰越はなるべく減らし

日中に決済を済ませようとする。

その結果、所要準備預金を満たすためだけに

金融機関はオーバーナイト物の借入をするようになる。

つまり、いくら取引に必要な準備預金が

あっても、日中にすべての決済を済ませてしまえば、

営業終了直前に所要準備を満たすためだけに

中央銀行から当座借入をすれば、公表される

準備預金残高は、実際に取引に必要とされる額より

はるかに少なくなる。逆にいくら取引が少なくても

ともかく、夜間の間だけ、所要準備を満たすように

準備預金を借り入れなければならない。少なからぬ

数の金融機関がこうした行動をとるようになると、

結果的に、公表されている準備預金の残高と

実際の経済活動に必要とされている準備預金の間には

何の関係すらなくなってしまう可能性すらある

つまり、いくら統計資料をひっくり返して

MHの間に相関性があるか無いかと議論をしても

そもそも準備残高自体が、経済で必要とされて

実際に実務で用いられている金額とは

全く関係がないのだから、

実務上は全くどうでもいい話になってしまう

そして、法定準備預金制度には

マネーストックの増加を抑制し

景気過熱を防ぐ能力すら、無いことになる。

なぜなら、中央銀行は

民間銀行の決済の必要性に応じて

資金を供給せざるを得ないからである。

できることは、ただ金利を操作することを通じて

投資を抑制することだけである。

もしも強引に貸し出し抑制をしようとすれば

それは金融機関の決済不能や

金融機関から企業や個人への

短期貸出の突然の打ち切り(黒字でも

ロールオーバーを一方的に取りやめる)ことへと

繋がる。金融政策によって

景気過熱やインフレを食い止めることが

不可能というわけではないが

その結末は、悲劇的なものになってしまうだろう

これは、ボルカー時代のアメリカで現に起こったことであり、

そして日本でも、やや事情は異なるが

BIS規制の強化(8%条項)に伴い、発生したことである。

これが、インターバンク市場の、実際の機能を

モデル化した場合に導き出される結論である。

 

 

今回の議論は、大変長く、退屈な内容だったと思う。

なんてったって、MMTお得意(と、思われている)の

財政支出については、一言も触れなかったからね。

また、多くのマクロ経済学者や評論家、

あるいは「マクロ経済学のミクロ的基礎付け」をベースに

天下国家を論じている大部分の人たちにとっては

銀行間の日常業務の在り方など

どうでもいい話であるに違いない。

だが少なくとも、MMTやSFC、CTについては

実際に決済がどのようなシステムをベースに行われているのか、

つまり、貨幣がどのように機能しているのか、は

現代の貨幣、および貨幣政策を論じるにあたって

どうでもいい話ではない。MMTの立場に立てば、

今回の議論は、国債や財政赤字を議論する際、

あるいは債務ヒエラルキーを理解する際の

前提にある考え方である。

この分かりにくく退屈な話を

ブログのタイトルを変えた第1回目に持ってきた所以でもある。

 


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17 コメント

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質問 (匿名)
2015-03-31 12:32:33
「だから、インターバンク市場で決済に必要とされる以上に準備預金を供給する場合には、準備預金そのものに金利を付けることが必要不可欠になる。」

ここのところがさらっと書いてあってよくわかりませんでした。これは、例でいえばY銀行の日銀当座預金に金利がついていると、X銀行はその金利以上に借りないといけないから、金利がつき、決済がスムーズにいく、ということでしょうか。解説をお願いします。
Unknown (wankonyankoricky)
2015-04-01 11:58:57
めんどくさい文章を
お読みくださり
ありがとうです。

ご質問の件ですが、
これは、
インターバンク市場の金利低下を
避けるためです。
本文中で書きましたが
中央銀行としては
インターバンクレートがゼロあるいは
目標を著しく下回る水準に下がることは避けたい。
しかし、インターバンク市場で必要以上の
準備預金が供給され、
需要を供給が上回れば
インターバンク市場の金利が急落し、
最悪の場合ゼロにまで陥ってしまう。
そうなれば、本文中に書いた通り
銀行間の決済がうまくいかなくなり、
送金業務などに支障をきたす可能性が
あります。

しかし、準備預金を保有していること自体に
金利が支払われれば、
銀行は、インターバンク市場で運用した場合の
収入のほうが、
準備預金をそのまま保有し続けているより
利益になる場合のみ、
インターバンク市場で超過準備を運用しようと
するでしょう。結果として
インターバンク市場の金利が
下支えされることになります。
Unknown (Unknown)
2016-03-14 15:59:41
約一年も経って再度質問します。

日銀が資金を供給して、ゼロ金利近くまでインターバンク金利が落ち込んだとして、この文中のX銀行がマネタリーベースを借りたいときに、もっと高金利を提示して借りる、ということは出来ないのでしょうか。

つまり、インターバンク金利というのは、一律のものであって、個別の取引ではない、ということなんでしょうか。そこらへんがよく分からないので教えてください。

よろしくお願いします。
Unknown (wankonyankoricky)
2016-03-21 22:07:07
ご質問ありがとうございます。

ちょっとご質問のニュアンスがわかっていない可能性が
あるんですけれど、

市場金利が著しく低くなって、どの銀行も資金提供を拒否するような状況で、資金不足に陥った銀行が高い金利を提示することで資金調達はできないのか、ということですが、

勿論、可能なはずです。実際、そうしていたはずです。ただし、そうした状態を長く続けるわけにはいかない。というのは銀行はインターバンク市場でめまぐるしく資金不足になったり超過になったり立場が変わるわけですけれど、調達する際の金利は市場よりかなり高いのに、運用する際はそれより低い、ということでは、市場での取引を継続することは難しくなってしまいます。借りるときの金利ばかりが高くて運用するときの金利はゼロ近傍ということでは、なかなか借入も進められません。資金余剰主体は資金運用する先がなくなり、資金不足主体は逆ザヤとなり、そうしたことも多少はあっていいでしょうが、いつもそれでは取引を維持することはできないのです。資金余剰銀行、不足銀行双方でなるべく取引と費用を減らそうということになってしまい、それがインターバンク市場の機能不全につながったわけです。
Unknown (Unknown)
2016-03-21 23:33:25
質問にお答えいただいてありがとうございます。

「調達する際の金利は市場よりかなり高いのに、運用する際はそれより低い」

ということですが、日銀当座預金の付利によって、「底上げ」されていたら、なぜ「市場よりかなり高い」金利にはならないんでしょうか?

底上げされていたら、借りる際、底上げにちょっと足した金利になり、底上げされていなかったら、「かなり高い」金利になるというのがなぜなのか分かりません。

貸し手は、付利がついていたら、遠慮するのでしょうか?

そもそも、付利は、低い金利を「底上げ」するためのものである、という話だったんですが、これは底上げどころか、低くおさえるものになるということなんでしょうか?

教えてください。
Unknown (Unknown)
2016-04-22 23:12:27
再度、また違ったことで質問します。

「借りるときの金利ばかりが高くて運用するときの金利はゼロ近傍」

これはどういう意味でしょうか?「借りるときの金利が高い」というと、借り手から見れば勿論そうですが、貸し手から見れば「貸したときの金利が高い」ということなんじゃないでしょうか?

教えてください。
Unknown (Unknown)
2016-04-22 23:59:16
合わせて前回の質問をまた違った形で書きます。

例えばブログ主さんが、金欠で、友達にお金を借りるとします。お金を借りなければ三日は飯が食えません。

そのとき友達が、「0.11%の金利で貸してやるよ」と言いました。しかし、ブログ主さんは、その金利では高すぎると思い、この取引は成立しませんでした。

しかし、その友達の状況が変わります。友達の預金に、0.1%の金利がつくようになった、というのです。

ここでブログ主さんは、「0.1%の金利がつくんじゃ仕方ない、それ以上で借りないとな」と観念して、0.11%でお金を借りました。

ここで私は不思議なわけです。なんでブログ主さんの状況は何も変わっていないのに、ブログ主さんは、0.11%でお金を借りたんでしょうか?友達の状況は変わりましたが、ブログ主さんの状況に変化はありません。

そんなことで折れるなら、さっさと0.11%でお金を借りればよかったわけです。逆に、0.11%で借りて大丈夫なんでしょうか?その金利では厳しい、という状況はどこにいったんでしょうか。

金利の上限、というのであれば分かります。補完貸付制度が上限になっている、という説明も日銀HPにアップされています。上の例で言えば、他の誰かが、0.12%で貸してくれるのであれば、0.13%とかで借りるわけないわけです。しかし、下限というのが分からない、ということなんです。

これが私の疑問です。教えてください。
Unknown (wankonyankoricky)
2016-04-29 18:13:36
ご質問ありがとうございます。といっても

正直、ご質問のニュアンスがつかめていないようで、

きちんとした回答になっているか

不安なのですが。。。。


日銀の補完貸付制度が天井になる、

というのは、要は、日銀の補完貸付制度によって

担保の上限までは当座借越が可能ですから、

それより高い金利でインターバンク市場から

資金を調達することはない、ということです。

これによって、コール金利に

上限ができます。

ですから、上記の説明は、あくまでも

こうした「天井」より低い範囲での

話ということでご理解いただきたいのです。



他方で、超過準備に対する付利制度によって

床ができます。もし

超過準備に金利がつくとき、

インターバンク市場で資金需要があった時、

この金利より低い金利しか提示されていなかったら

この需要にこたえる資金提供者はいないでしょう。

ですから、資金需要者は少なくとも

この金利より高い金利でなければ

インターバンク市場から金利を調達することは

できません。それゆえ

超過準備に対する付利制度が

インターバンク市場金利の下限(床)を

形成することになるわけです。

実際の取引ではこれをやや下回ることも

上回ることもあるでしょう。(日本の場合

マイナス金利を導入されるまでの

無担保コールオーバーナイトは

0.07%程度が続いていたと思います。)

とはいえ、日銀当預を抱えているだけで

金利が付くのであれば、

少なくとも、それを大きく下回る状態で

運用を続けることはない、ということなのです。



この様に中央銀行の政策によって

インターバンク市場の金利に

「床」と「天井」ができることを

「コリドー・システム」と言います。

「コリドー」というのは王宮などの

歴史的建造物の廊下のことを指すらしいのですが

こうして中央銀行によって「床」と「天井」が

できると、市場金利はこの「床」と「天井」に

はさまれた範囲内でしか、決まらない(もちろん、

先にも触れたとおり、実際には

多少下回ることも上回ることもあるでしょうが)

ということです。
Unknown (Unknown)
2016-04-29 19:58:59
で、ちょっと例を変えて、別の面から説明したいのですが(と、いうか、確かに改めて読みなおすと

前の説明は、きちんとした説明とは言い難いので、取り消しさせてください)、

こうした中央銀行による支えがないとすると、例えば政府の支出によって

インターバンク市場で資金が過剰になった場合、次に
納税が集中する時期や

現金需要が高まる時期まで金利は下がりっぱなし、ということになります。

ただ、金融機関の中には大きなプロジェクトに融資したなどの理由で、

一定期間にわたり、出超が続くところもあり得ます。分かりやすいように、

現実にはありえないような極端な例にしますが、ある大型投資プロジェクトがあって

それを地元の地銀がすべて長期一括で融資し、その投資が一定の施設設備として

完成し稼働が始まるまでの間、融資した金額が外部へと流出し続け、稼働が始まるまで

ほとんど外部からの送金や現金預け入れによる準備の入金がないものとします。

そうなると、この金融機関は融資自体は自分自身の預金を発生させることで

いくらでも可能です(ブログ記事参照)が、預金者の指示による送金に応じるだけの

準備預金をどこかから集めなければならない。実際には、

こうした日中の送金に間に合わせるためには、事前にある程度まとまった準備預金を

他の銀行から長期で調達することになります。これはすべてを日中の送金依頼があった時に

調達する、というのでは、リスクが大きすぎるためです。(日銀の介入はない、と

仮定していることを思い出してください。)そうすると、預金者は借り入れた資金を

すぐにすべて送金するわけではありませんから短期的には(特にプロジェクトが始まって

間もない内は)、この銀行はインターバンク市場で手持ちの遊休準備の運用者となります。

こうした準備は当然、短期のインターバンク市場で運用されているのですが、突然短期金利が

ゼロ近傍にまで圧縮されれば、その金利では長期の調達金利を補うことが

できなくなってしまいます。下手をすると、この金利を返済するためにも

借入をしなければならなくなる可能性もあります。注意してほしいのは、この時点では、

顧客からの金利収入は準備預金の増加につながらない――単に自分自身が発生させた預金残高を

引き落とすだけにとどまる――ということです。実際に稼働が始まるまって

外部からの入金がない限り、この銀行の金利収入には、単に

自分自身の振出した負債が減る、というだけの会計的な意味しかない。

そうすると、この地銀にとって、長期プロジェクトに融資するため、長期資金を提供する

ということは、極めてリスクの大きい仕事になってしまいます。実際には対応不可能でしょう。

(まあ、現実には、日銀が介入していたって、ある地域の地銀が、長期にわたり

全く入金が生じないような大きなプロジェクト融資を一手に引き受け、融資する、

ということは、リスクがあまりにも大きすぎて、あり得ないわけですが。)

で、こういう話になってくると、もはや金融市場が成立しない、

ということになってくるわけです。つまり、金融機関というのは

自分たちの将来の資金需要を予測し、それとの裁定取引を常に行っています。

そうしたなかで、長期の資金の出し手もいれば、短期の資金の出し手もいる。

これによって長期金利も決まってくる(まあ、インフレ予想や実物生産性成長率予想とか、

そういうものの影響もゼロとは言いませんが)。ある一時点を比べれば、短期のほうが長期より

金利は低くなる傾向が強いですから、長期の資金を短期で運用するには、

長期資金をどのようにして集めるかが重要になります。保険や定期預金のように

運用金利より低金利で集めるのか、投資プロジェクトに融資するなどして、利益をだし

そのための資金として集めるのか、その辺の理由によっても異なりますが

いずれにせよ、あまりにも短期が低金利になりすぎると長期で集めた資金を

短期で運用するという裁定ビジネスそのものが成り立たなくなる。

ですから、中央銀行は短期(といっても日中物の金利をコントロールすることは不可能ですから、

法定所要準備などによって夜間や休日の間、銀行が保有しなければならない準備の額を緩やかに

定めることで、それよりほんの少し長い短期の資金需要を人為的に創り出し、

それで短期金利をコントロールしようとする)の金利の目標を定めることで、銀行の裁定取引を通じて

長期金利にも影響を与えようとしているわけです。もしも政府の資金需給によって

短期インターバンクレートがゼロ近傍になってしまったり、急上昇するようなことが

頻繁にあれば、こうした政策が取れなくなってしまう。将来の短期金利がゼロになる、という

予測があれば(そして、中央銀行が介入しない限り、そうならざるを得ない)、

長期で準備を調達し短期で運用する、という長期銀行や保険会社のビジネスは成り立たず

長期金利も、不安定になってしまいます。

というわけで、前の説明はちょっとおかしくて、インターバンク市場金利が高すぎると

これは需要者側(日中の決済のために準備を必要とする側)に問題がある、これは

「天井」によって解決される、というのはいいのですが、

それに対し、インターバンク市場の金利が低すぎる場合というのは、これは

供給側、特に、長期で得た準備を短期で運用する側に問題が生じ、裁定取引が

機能しなくなる。それを支えるため(つまり、最低限の短期利益を与えるため)、

「床」が必要となる、という風に、改めさせてもらいたいと思います。

前の説明では、どちらも需要側の問題としましたけれど(まあ、確かに、

金融機関というのは、製品生産者と違って、常に需要と供給の立場が入れ替わっているので

両者を区別して考えるというのも、難しいのですが)、こちらの考えの方がまとまりやすいかと思います。

これで、ご質問の回答になったか、ちょっと心もとないのですが、確かに、

ご質問にあるとおり、おいらの以前の説明ではよくわからないと、我ながら思います。

ご質問の回答になっているかどうかはともかく、ご質問のおかげで自分の説明の

不備に気が付きました。ありがとうございます。
Unknown (Unknown)
2016-04-29 22:32:36
質問に答えていただけてうれしいです。ありがとうございます。

やはり疑問が解けません。私の書き方が悪いんだと思います。

「インターバンク市場で資金需要があった時、この金利より低い金利しか提示されていなかったらこの需要にこたえる資金提供者はいないでしょう。

ですから、資金需要者は少なくともこの金利より高い金利でなければインターバンク市場から金利を調達することはできません。」

とのことですが、これは本文の説明と同じだし、前回の説明と同じだと思います。

私の疑問は、低い金利で取引が成立しないのであれば、金利は当然上がるのではないか?というものです。そしてブログ主さんは、それにたいして次のように前回コメントされています。

「市場金利が著しく低くなって、どの銀行も資金提供を拒否するような状況で、資金不足に陥った銀行が高い金利を提示することで資金調達はできないのか、ということですが、勿論、可能なはずです。実際、そうしていたはずです」

金利が低すぎて取引が成立せず、金利が上がるのであれば、上限を付けるのは理解出来ますが(借り手の負担が重くならないためとか)、下限をつけるのは意味が分からない、という疑問です。

ここで、友達からお金を借りる例に戻って、もっと簡単な疑問の形にします。

「友達から0.11%でカネを借りることを拒否して、三日間メシを食うのをあきらめた、気合の入っているブログ主さん(例では)が、友達の預金に金利が0.1%ついたのを知ったら、すぐにカネを0.11%で借りて、メシを食う選択をしたのはなぜだろうか」

ということです。この例に答えていただけたら私にも分かりやすいです。

もし金利が上がるのであれば、その後の説明で、長期で借りて、短期で、という説明自体、意味のないものになるんじゃないか、とも思っています。

なぜなら、底上げしなくても金利が取引成立まで上がるなら、底上げしてあって成立しても同じだからです。底上げしなくて0.11%で取引が成立しようが、底上げしていて0.11%で取引が成立しようが、結果は同じだからです。


※あと、脱線になりますが、文中に「顧客からの金利収入は準備預金の増加につながらない――単に自分自身が発生させた預金残高を引き落とすだけにとどまる――ということです」とありますが、これは変ではないでしょうか。

顧客が、同銀行取引のお客さんからの売上のみを得ているのであればブログ主さんの言うとおりだと思いますが、顧客は、別の銀行取引のお客から売り上げを得ることは普通にあることだと思います(特にそんな大型プロジェクトなら)。

そうなると、顧客から引き下ろされる金利には、マネタリーベースの増加が伴っていると思います。これは脱線でした。

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