断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

Minsky’s Money Manager Capitalism and the Global Financial Crisis 1

2018-06-11 21:16:07 | MMT & SFC
レイのLevi Economics Institute Working Paper No. 661

"Minsky’s Money Manager Capitalism and the Global Financial Crisis"
の粗訳を試みています。
今回は特に図表も数式もないので

このままテキストでいきます。

英文も載っけますので
(怒られたらすぐ消します)
おかしなところがあったら
コメントください。

この論文では
いわゆるサブプライムローンバブルあるいは
それに連なる一連の
アメリカのバブル経済の、あまり日本では知られていない一側面が
強調されている。問題は、それぞれのエピソードではなく、
こうしたエピソードが次々と生み出されるようになった
アメリカ経済の変容である。

最後にレイは今後(これが発表されたのは2011年のことだが)、
近い将来、再び金融危機が(おそらくアメリカを中心に)発生することを
展望している。これは今のところ
実現していないが――それは、本稿の図式から言うなら、同時に、
アメリカ市民が金融を自分たちの手元に取り戻す
機会を失い続けていることを意味するが――、
しかしいくつかの指標は確かに
合衆国のバブルが再び発生し始めていることを
示唆するようにも思える。
まあ、MMTの分析図式を知るうえでの
一助となる論文である。


ABSTRACT
アブストラクト



The world’s worst economic crisis since the 1930s is now well into its third year.
All sorts of explanations have been proffered for
the causes of the crisis, from lax regulation and oversight
to excessive global liquidity. Unfortunately, these narratives
do not take into account the systemic nature of the global crisis. This is
why so many observers are misled into pronouncing that recovery
is on the way—or even under way already. I believe they are incorrect. We are,
perhaps, in round three of a nine-round bout. It is still conceivable that Minsky’s
“it”—a full-fledged debt deflation with failure of most of the
largest financial institutions—could happen again.

1930年代以降の世界最悪の経済危機は今や3年目に入った。危機の理由については、
規制や監督が緩和され過ぎたことから、世界的な流動性の過剰まで、
あらゆる説明がなされた。残念なことに、これらのストーリーは、
世界的な危機の体系的な性質を考慮していない。これが理由となり、
多くの観察者が、すでに回復が始まりつつある――あるいはすでに回復の途上である――と
惑わされている。筆者の考えでは、これは誤りである。今はおそらく全9ラウンドの試合の、
第3ラウンドにあたる。ミンスキーの「it」――本格的な債務デフレが生じて多くの
巨大金融機関が破たんに追い込まれる――が再び起こることはまだ十分に考えられる。

Indeed, Minsky’s work has enjoyed unprecedented interest, with many calling
this a “Minsky moment” or “Minsky crisis.” However, most of those
who channel Minsky locate the beginnings of the crisis in the 2000s. I argue that
we should not view this as a “moment” that can be traced to recent developments.
Rather, as Minsky argued for nearly 50 years, we have seen a slow realignment
of the global financial system toward “money manager capitalism.” Minsky’s
analysis correctly links postwar developments with the prewar “finance capitalism”
analyzed by Rudolf Hilferding, Thorstein Veblen, and John Maynard Keynes—and later
by John Kenneth Galbraith. In an important sense, over the past quarter century
we created conditions similar to those that existed in the run-up to the Great
Depression, with a similar outcome. Getting out of this mess will require
radical policy changes no less significant than those adopted in the New Deal.

実際、ミンスキーの業績はこれまでにないほどの関心を集めており、
多くの人がこれを「ミンスキー・モメント」または「ミンスキー危機」と呼んでいる。しかし
多くのミンスキーの方向性に沿うという人達は、危機の開始を2000年代に見い出している。
筆者は、ミンスキー理論をここ何年かを展開すれば跡付けることができるような
「モメント」として把握するべきではない、と考えている。むしろ我々は、
ミンスキーが50年近く議論し続けてきたように、世界金融システムの
「マネー・マネージャー資本制経済」へのゆっくりとした再編のことを考えてきた。
ミンスキーの分析では戦後の発展が戦前の「金融資本制」――ルドルフ・ヒルファーディング、
ソーンスタイン・ヴェブレン、ジョン・メイナード・ケインズ、そしてのちには
ジョン・ケネス・ガルブレイスによって分析された――に適切に結び付けられている。
過去四半世紀、我々は重要な意味で、大恐慌に先行する時期に存在していたのと似たような条件を
創りだし、そして似たような結果に行きついたのである。この混乱から抜け出すためには、
ニューディール政策で採用されたものに劣らぬラディカルな政策転換が必要になるだろう。


Keywords: Hyman Minsky; Hilferding; Veblen; Keynes; John Kenneth Galbraith;
Financial Crisis; Minsky Crisis; Minsky Moment; Finance Capitalism;
Money Manager Capitalism; Debt Deflation; Can It Happen Again?
キーワード: ハイマンミンスキー;ヒルファーディング;ヴェブレン;
ケインズ;ジョン・ケネス・ガルブレイス;経済危機;ミンスキークライシス;
ミンスキーモメント;金融資本制経済;マネーマネージャ資本制経済;
債務デフレーション;”それ”は再び起こり得るか?



The world’s worst economic crisis since the 1930s is now
well into its third year. All sorts of explanations have been
proffered for the causes of the crisis: lax regulation and oversight,
rising inequality that encouraged households to borrow to support
spending, greed and irrational exuberance, and excessive global
liquidity—spurred by easy money policy in the United States and
by US current account deficits that flooded the world with
too many dollars. Unfortunately, these do not recognize
the systemic nature of the global crisis. This is why so many
observers are misled into pronouncing that recovery is on
the way—or even underway already.

1930年代以降、世界最悪の経済危機は今や3年目に入った。危機の原因については
あらゆる種類の説明が提起された。規制と監督が緩すぎたこと、
格差の拡大によって家計が支出をするため借入をしなければならなくなったこと、
強欲と不合理が蔓延したこと、世界的に流動性が過剰になったこと――合衆国の
貨幣緩和政策及び合衆国の経常収支赤字により、余りに多くのドルが
世界中に広められてしまったことが拍車をかけた。残念なことに、
こうした説明は世界的な危機のシステム的な性格を認識していない。これが理由となって、
かくも多くの観察者たちが誤って回復途上にある、あるいはすでに
回復が進行中である、と表明するに至っている。

I believe they are incorrect. We are perhaps in round three of
a nine round bout. The first round was a liquidity crisis—when major
“shadow bank” institutions such as Lehman and Bear Stearns were unable
to refinance positions in assets. The second round was a wave of
insolvencies—with AIG and Merrill Lynch and a large number of
home mortgage specialists failing or requiring resolution. In round
three we have the financial institutions cooking the books, using
government bail-out funds and creative accounting to show profits
so that they can manipulate stock prices and pay huge bonuses
to top management and traders. Round four should begin this fall, when
another wave of defaults by borrowers forces institutions
to recognize losses. It is conceivable that this could deliver
a knock-out punch, bringing on a full-fledged debt deflation
and failure of most of the behemoth financial institutions.

筆者は彼らは適切ではないと考えている。我々はおそらく全9ラウンド試合の
第3ラウンドにある。第一ラウンドは、流動性危機――リーマンやベアー・スターンズのような
「シャドウ・バンク」金融機関が資産のポジションを維持するための
資金調達ができなくなった。第二ラウンドは、債務超過の波――AIGやメリル・リンチ、
その他数多くの住宅モーゲージ投機が破綻し、救済が必要となった。第三ラウンドでは、
金融機関の粉飾のため政府のベール・アウト資金と、創造的な会計(これによって
利潤を見せかけ、株価を操作し、トップ・マネジメントとトレーダーたちに
巨額のボーナスを支給した)を使うことが必要となった。この秋には
第4ラウンドが始まることにならざるを得ない。今度は借手達のデフォルトの波が生じ、
金融機関に損失の認識を強いることになる。これがノックアウトパンチとなり、
全面的な債務デフレーションが発生し、数多くのビヒモス金融機関が破たんする、
ということも考えられる。

Indeed, they may already be massively insolvent, but forbearance by the
regulatory authorities allows them to ignore losses on trash assets and
remain open. If the knock-out comes, governments might be able resuscitate
the institutions through trillions more dollars of bail-outs—but I do not
think voters will allow that to happen. Hence, a knock-out punch might
provide the necessary impetus for a thorough reformation of the international
financial system. Otherwise, I do not see any way out of this crisis—which
could drag on for many more years in the absence of radical policy
intervention. Perhaps of more immediate importance, fiscal policy—the
only way out of this deep recession— is constrained by deficit hysteria,
which seems to have even infected President Obama. If a debt
deflation begins, it will take a major revolution of thinking in Washington
to allow for fiscal expansion on the necessary scale. As we know, it was
only World War II that generated sufficient spending to get the economy
out of depression; one can only hope that something less destructive
can create support for more government spending this time around.

実際、彼らはすでに巨額の債務超過に陥っているのであろうが、しかし
規制当局の慎み深さのおかげでごみ屑資産の損失を無視し、今日も開店することが
許されている。ノックアウトが来ても、政府は何兆ドルものベールアウトによって
金融機関を蘇生させることができるだろう――しかし有権者がそうしたことを
許すとは思えない。従ってノックアウトパンチは、国際金融の全面的再編成へと
不可避的に弾みをつけることになるかもしれない。それ以外には、私はこの危機から
脱出する方法がわからない――この先何年も根本的な政策介入がないままだらだら
続くかもしれない。おそらく、より直接に重要問題になるのは、財政政策――深刻な
景気後退から抜け出る唯一の方法――が赤字ヒステリーによって縛られることである。
このヒステリーにはオバマ大統領でさえ感染しているように思われる。
債務デフレが始まれば、ワシントンの内部では必要な規模の財政拡張を認める
大きな思想革命がおこるだろう。我々の認識では、世界恐慌から経済を
抜け出させるのに十分な支出を生み出したのは第二次世界大戦であった。期待できると
すれば、今回もまた何事か(ただし第二次世界大戦のように破壊的ないこと)が
起こって、巨額の政府支出が支持される、ということである。

Hyman Minsky’s work has enjoyed unprecedented interest, with
many calling this the “Minsky Moment” or “Minsky Crisis”
(Cassidy 2008; Chancellor 2007; McCulley 2007; Whalen 2007). However,
most of those who channel Minsky locate the beginnings of the crisis
in this decade. What I have long argued is that we should not view this
as a “moment” that can be traced to recent developments. Rather, as
Minsky argued for nearly fifty years, we have seen a slow transformation
of the global financial system toward “money manager capitalism.”
Others have used terms like “financialization,” “casino capitalism,”
or even “neoliberalism” (outside the United States) and
“neoconservatism” (or “ownership society” within the United
States—I particularly like James Galbraith’s “predator state” term) to
describe this phenomenon. I think Minsky’s analysis is more comprehensive
and it correctly links postwar developments with prewar “finance capitalism”
analyzed by Rudolf Hilferding, Thorstein Veblen, and John Maynard Keynes—and
later by John Kenneth Galbraith. In an important sense, over the past quarter
century we restored conditions similar to those that existed in the run-up
to the Great Depression, with a similar outcome. To get out of this mess will
require radical policy changes no less significant than those adopted
with the New Deal. Most importantly, the New Deal downsized and then
constrained the financial sector. I think that is a pre-condition
to putting in place the structure that would promote stable
growth—although other policies will be required, as discussed below.

ハイマン・ミンスキーの著作はかつてない興味関心を呼んでいる。多くの人が
これを「ミンスキー・モメント」とか「ミンスキー危機」(Cassidy 2008;
Chancellor 2007; McCulley 2007; Whalen 2007)などと呼んでいる。しかし、
こうしてミンスキーの方向へ掉さす人々の大部分は、
この10年間に危機の始まりを見ている。筆者がこれまで論じ続けてきたことは、
我々はこれを、近年の展開によって跡付けることのできる「モメント」と見なすべきではない、
ということだ。むしろ、ミンスキーが50年近く論じてきたように、
これは世界金融システムの「マネー・マネジャー資本制経済」へのゆっくりとした
変容だったのである。他には、「金融化」「カジノ資本制経済」あるいは「ネオ・リベラリズム」
(合衆国の外で使われる)、「ネオ・コンサーバティズム」(あるいは
合衆国では「オーナーシップ・ソサエティ」――筆者が個人的に好きなのは
ジェームス・ガルブレイスの「プレデター国家」)などという言葉がこの現象を
記述するために使われた。筆者の考えでは、ミンスキーの分析はもっと包括的である。
そして適切にもこの戦後の展開を、戦前の、ルドルフ・ヒルファーディング、
ソーンスタイン・ヴェブレン、ジョン・メイナード・ケインズ――そしてのちには
ジョン・ケネス・ガルブレイス――によって分析された「金融資本制経済」と結び付けている。
これは重要なことだが、我々は過去四半世紀にわたり大恐慌に先行する時期に
存在していた条件と似たような条件を再導入し、そして同じような結果に行きついたのである。
この災禍から抜け出すためには、ニューディールで採用されたものに劣らぬ
急進的な政策変更が必要である。最も重要なのは、ニューディールでは金融部門を縮小し、
束縛した点である。筆者はこれを安定した成長を促進する構造構築の前提条件と
考えている――とはいえ、そのほかにも、後述する政策が求められるだろう。

Before proceeding further, let me acknowledge that my
focus is on the United States. However, conditions in the other
advanced economies are and were similar. That is to say, they also operated
along the lines of finance capital in the pre-Depression era, and other
nations such as the UK had their own version of a New Deal in the
postwar period, and they returned to a money manager version of finance capitalism
in recent years. Hence, while the details presented refer to the US case,
the general arguments are more widely applicable.

先へ進む前に、私が米国に焦点を当てていることを知っておいて欲しい。しかし
他の先進国の状況も類似しているし、していた。つまり、どの国も大恐慌前の時期には
金融資本の線に沿ってオペレートしていたし、英国などでは戦後期は彼らなりの
ニューディールに類似したオペレーションになっていた。そしてそれぞれ
近年は金融資本制経済のマネー・マネージャー版へ回帰していた。したがって、
この議論の細かい点は米国にしか当てはまらないかもしれないが、
一般的な議論はより広く適用可能である。


A BRIEF FINANCIAL HISTORY OF THE POSTWAR PERIOD
戦後期の金融史概説
(以下次回)
ジャンル:
経済
コメント   この記事についてブログを書く
« しばらくぶりなので。。。。 | トップ | Minsky’s Money Manager Capi... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

MMT & SFC」カテゴリの最新記事