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  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

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流水さんのうた

2009年11月19日 | 八首選 - 題詠2009
流水さんの歌から8首。


097:断
遮断機の向こう側にはもう既に顔も忘れた夏たちがいる

092:夕焼け
夕焼けの踏切待ちで二人して轢かれ続ける影を見ていた

071:痩
地下鉄を出れば雨に叩かれる東京タワーも痩せて独りだ

070:CD
B面を捨てて久しいCDに哀しい歌が唄えるものか

066:角
紙マッチ擦(す)って月日を燃やす夜少し残した角瓶空ける

065:選挙
街頭の総選挙前の演説を聴くでもなしに犬繋がれている

043:係
背もたれて陽を浴びた壁の温もりが互いに伝わるやうな係わり

002:一日
愚直とは淋しい形 佇ちすくむ郵便ポストの一日千秋



70番。
レコードがメディアとして普及してたのって、半世紀と少しなんですよね。
長いと見るか短いと見るかはそれぞれでしょうけど、
それを少しでも楽しめたのは、幸せだったのかもしれないなぁ。
スプレー吹いて、埃をとって、針を落として。
裏返したB面から聞こえるのは、懐かしいノイズと滅びのエレジー。

66番。
灰になっていく、写真や手紙。未練を残さないための儀式。
その夜だけは、思い出に酔ってもいい。


語るべきこと、そうでないこと。
それらのバランスがとても心地いい流水さんの短歌。
見習いたいけど、こればっかりはセンスか・・・。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (流水)
2009-11-19 22:59:13
私の拙い歌に素敵な寸評をいただきとても光栄です。

特に最後の3行は少し言い過ぎじゃないかと思うくらい嬉しいお言葉でした。

私はセンスなど端からありませんよ(笑)

私的には「071:痩」を撰んでいただいたのが嬉しかったです。

地下鉄の出口の階段を登ったら雨の中に東京タワーが突然立っていて、不思議に寂しさが伝わってくるような気がしたことがありました。
そんな記憶を元に詠ったものです。

これからもよろしくお願いいたします。



こんばんは。 (理阿弥)
2009-11-19 23:42:54
流水さん、はじめまして。
たくさん、素敵な歌を読ませていただきました。
ほんとうにありがとうございました。

東京タワー、不休で働いてますよね。
あんな巨大な構造物が、独りで、寂しくて、痩せているなんて、考えたこともありませんでした。
濡れそぼつ痩身。情景がぱっと浮かびました。
情景というのは、タワーばかりじゃなく、それを見つめる視線もふくめて。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

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