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  理阿弥の 題詠blog投稿 および 選歌・鑑賞など

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五十嵐きよみさんのうた

2009年11月20日 | 八首選 - 題詠2009
五十嵐きよみさんの歌から8首。


099:戻
羅紗紙がやぶれた本を強引に箱に戻して終える少女期

083:憂鬱
憂鬱とつぶやいたあとの唇のかたちでいるから慰めにきて

074:肩
天使への昇級試験を待つような肩甲骨が浜辺にならぶ

069:隅
水入れを飽かず眺めた隅々に絵筆の青が行き渡るまで

053:妊娠
妊娠はあした見る夢 海からの風に翻弄されるパーカー

028:透明
透明にしておくという約束の父とのあいだに秘密がきざす

026:コンビニ
〒や卍はあるのにコンビニの記号が地図にまだないなんて

011:嫉妬
ラジオから古いシャンソン恋しさや嫉妬を鳥になぞらえながら



題詠blogを企画してくださっている、五十嵐きよみさんの百首。
仏の小説を下敷きにされたとのこと(サガンかな?)。

99番。
ラシャ紙が象徴しているのは、ある種の処女性、
ナイーヴさでしょうね。大人には理解できない、
幼きものたちが神経質なまでに大切にしていることたち。
そして突然、ほんとうにある日とつぜんに、
それらと訣別することになる。
夢の世界に別れを告げ、次の一秒から老成してゆく。
もう振り返らないし、振り返ったとしても、
その視線には必ず懐かしさを伴っているでしょう。

「強引に箱に戻す」ことが出来なければ・・・夢見る少女のまま。
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