005:乗 菜の花の散り敷く道や夕暮れてエンディングノート乗り遅れまい 063:仏 仏にも階級あると知った時ポニーテールが激しく揺れた 059:病 病み飽きて犬など飼ひし秋の日をやむなく歩く町はずれまで 056:枯 枯尾花ほんとに枯れて花のようこの山の下彼岸ありしか 015:ガール 筍を抱え笑顔のマイガール髪の枯葉がリボンのごとし 『花こみち』 |
夕暮れ時、菜の花が散っている田舎道を、バスに遅れまいと急いでいる。
作中主体の胸に、突然何かが兆したのだろうか、
四句目にすっと差し込まれた「エンディングノート」。
間に合わなければ、独りお腹をすかせて、
寂しい夜を過ごすことになるだろう小さな娘の顔。
あるいは夫、あるいは他の…。
その誰かに、既に書いてしまったエンディングノートを、
見られることを気にしているのだろうか。
それとも、そこに書けなかったこと?書きかけのこと?
待つ者、待たれる者。ゆく者、残された者。
いろんな苛立ちや焦りや思いがあるけれど、
読み手がそれぞれに、自身のやり残したことを
思い起こしてしまうような、そんな歌。
暗さではなくて、なんとなしの暖かさを感じさせてくれるのは、
冒頭に春の花を詠み込んでいるからだろうか。
理屈で歌を詠んでしまう私にはけしてものせない、
すばらしい一首。
忙しげなバスを逃して傍らの黄色い花は待つひとのため 理阿弥
今回はご丁寧な高評をありがとうございました。春は好きな季節ではなくて、でも、菜の花には元気と思索をもらえるような気がしてます。
いつかくるその日の心準備のやりかたがわからなくて…待つ人は送る人に変化しますし。
素敵な返歌もありがとうございました。
一度、書いたのですが反応してくれず遅くなってしまいました。
完走、お疲れ様でした
こちらこそ、素晴らしい歌を読ませていただいて、ありがとうございました。
題詠が締め切られるのは11月ですが、とらせていただいたお歌は、
「乗」の私的ベストになるように思います。
自分もこんなふうに歌が詠めればいいのに、と切に思いました。
これからもよろしくお願いします
>>一度、書いたのですが反応してくれず遅くなってしまいました。
gooブログにコメントしようとすると、二度入力を求められることが
しばしばありますね…
なぜなんでしょう。