近藤大介のアジア・スケッチ

アジア・ウォッチャーの近藤大介が、東アジアについて分析する。

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中国人を黙らせる50の方法

2006-08-02 21:28:57 | Weblog
 中国問題研究の大先輩である宮崎正弘氏から、新著『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店)をいただいた。私は保守系の「中国論客」の中で、宮崎氏を一番評価している。それは、必ず自分の足で歩いて観察したことを中心に中国を批判するからだ。他の保守系の論客は、中国に足を運ぶこともなく批判する。これほど安易で、かつ長期的に見て日本の国益にならないことはない。
 本の中で書かれていた「宮崎史観」を二つ。

○中国で政治論争に興じたり日本を批判したりするのは、よほどの暇人か、それを職
業としている人種のみである。

○中国が日本を経済的に追い抜いたとき、反日感情は雲散霧消するだろう。しかし同時に、反中感情が世界を覆うだろう。

 これほど中国を的確に批判している宮崎氏だが、実は中国を愛しているのではないかと思えてきた。


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相撲界の国際化

2006-07-24 12:37:53 | Weblog
 大相撲の境川元理事長らと会食した。境川元理事長は、このごろは酒や食事量を制限しているそうだ。境川元理事長は、相撲界が停滞していた90年代に、大相撲の国際化を推進した貢献者である。海外事情にも皮膚感覚で通じている、相撲界では希有な存在だ。
 境川氏の見立てでは、当分の間は朝青龍と白鵬の龍鵬時代が続くだろうとのことである。いずれもモンゴル出身だ。巴留都や露鵬も面白いと言っていた。しかし露鵬は今場所、暴力事件を起こしてしまった。これについては、絶対に許せないとのことだ。悔しいことは土俵で返すのが力士だと、正論を吐いていた。外国人の教育をし直すとも言っていた。
 しかし、相撲がこれだけ国際化すれば、いつまでも保守的なやり方を貫いていては、第2、第3の露鵬が出現するに違いない。そもそも、厳しい角界のしきたりについていけない青年が増えたことで、新人不足になって嫌々国際化を進めたというのが実情ではないか。厳しい世界であることは分かるが、それだけでは世界のスモウにはなれない気がする。
 世界のスモウになれるかどうかは、ひとえにいまの外国人力士を将来の指導者に育てられるかにかかっていると言えるだろう。





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中国人の北朝鮮観

2006-07-23 12:11:15 | Weblog
 北朝鮮と関係の深いある中国人から、中国人の北朝鮮観を聞いた。彼によると、北朝鮮人は、中国がいくら経済支援してもまだ足りないと思い、さらなる援助が当然だと考えているという。政治的には、中国が徐々に北朝鮮よりアメリカに軸足を移しはじめているという疑心を抱いている。だから、北朝鮮とのビジネスは、途中で何度も挫折し、そのまま帰国する中国人ビジネスマンも少なくないという。中国人ビジネスマンが呆れるというのだから、相当のものなのだろう。
 在日朝鮮人とのビジネスは、減ったとはいえまだまだ大きいという。だから、日本が経済制裁を本格化させれば、北朝鮮経済は相当逼迫するだろうとのことだった。おりしも、洪水問題で北朝鮮の平安道や感鏡道は大変なことになっているもようだ。9月末には食糧が大量に枯渇するとの情報もあり、北朝鮮情勢は予断を許さない。
 中国と北朝鮮は「血を分けた誼」などと言っていて、中朝国交樹立55周年記念を大々的に開いたばかりだ。また、中朝国境付近の大々的な経済開発に乗り出すとのニュースも入っている。しかし、熱い想いを抱いているのは、一部朝鮮族と朝鮮戦争世代までで、若い一般の中国人はだいぶ冷めているようだ。胡錦濤政権の次の政権になると、相当ビジネスライクな関係になるのではないだろうか。一つの幸運は、金正日後の北朝鮮の指導者たちの多くが、中国留学組であることだろう。





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韓国政府の機密費

2006-07-22 11:52:10 | Weblog
 情報公開の進む韓国で、20日付の朝鮮日報が、韓国政府の機密費を公表した。日本では機密費と呼ぶが、韓国では特殊活動費と呼ぶ。それによると、日本の外務省にあたる外交通商部の特殊活動費は、年間16億8000万ウォンで、日本円に直すと約2億円である。職員が4000人とすると、ひとりあたり毎月4000円しか使えない。これでは、相手と2回コーヒーを飲んで終わりである。
 それに較べて、大統領秘書室の特殊活動費は、年間108億5600万ウォンもある。外交通商部の10倍以上だ。しかも秘書室で機密費を使うのは、大統領以下30人ほどなので、彼らひとりひとりは外交官の1000倍もの機密費を握っていることになるのだ。つまり、盧武玄政権は、究極の内向き政権なのである。
 ちなみに、国防部はさすがに北朝鮮と対峙しているだけあって、1514億1500万ウォンを計上している。気になる国家情報院は、秘密となっている。彼らと長年接している経験からして、おそらく、500億ウォン規模ではないかと思われる。しかも、金大中政権時代は、金正日への裏金運びに加担されたこともあるくらいだから、純粋に北朝鮮を監視しているばかりとは限らない。
 いずれにしても、「政府の予算の流れを見ればその国が見えてくる」と外務省の経済関係者から聞いたことがあるが、それは真実のようだ。



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韓国の中国専門家

2006-07-21 23:58:33 | Weblog
ある韓国の中国専門家夫妻と会う。韓国はこの頃、大の中国ブームで、特に若者は日本より中国を向く傾向があるという。もちろん、盧武玄政権の親中ぶりは尋常でなく、大統領が尊敬する金九の孫を上海総領事に任命してしまったため、外交官は大わらわだという。中国人は金九と言ったってほとんど誰も知らないのに、金九が一時期、日本植民地時代の臨時政府を指揮していたというだけの理由で、その孫をトップに据えてしまったのだというのだから、随分と思い切りがいいものだ。中国にある韓国大使館の経済担当ポストが、韓国外交通商部の一番の人気で、中には別の国の大使になることを拒否してまで行きたがるという。
 彼らがよく言うのが、「韓国は中国の力を利用して様々な問題解決を図ろうとするが、日本はなぜそうしないのか」ということだ。例えば、拉致問題である。北朝鮮に影響力を持つ中国の力を利用したらもっと早く解決できるかもしれないのに、日本は北朝鮮が一番嫌いなアメリカの力ばかり借りようとする。それはおかしいというのが、彼らの理論だ。
 韓国人の中国専門家と話すのは、実に楽しい。同じ東から中国を見ていても、向ける視点がまったく異なるからだ。「今日は中国語で通したい」と韓国人夫妻に言われ、私にも韓国人にも外国語である中国語で通したが、本当に時の経つのを忘れる晩餐だった。
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江戸と平成

2006-07-20 23:20:32 | Weblog
 江戸時代研究の権威である山本博文東大教授と久しぶりに会う。山本先生とは、鄭成功を追いかけてアモイにご一緒したこともあり、その博識ぶりにはいつも驚嘆している。
 山本先生によれば、江戸時代というのは鎖国した閉鎖的な社会ではあったけれども、260年間も他国と戦争をしなかった国というのは世界史に例を見ないのだという。思えば江戸時代はサムライという兵士が治めた社会なのに、サムライが刀を抜くことがなかった、いわば総失業の時代だ。
 それから、鎖国はしていたけれども、世界の状況は意外に深く知っていたという。これは、いまの北朝鮮と通じるところがある。しかし江戸時代の日本経済は割と発展したが、北朝鮮経済は崩壊寸前だ。
 山本先生の言葉で一番印象的なのは、いまの日本社会は江戸時代の完全な延長線上にある社会だということだ。例えば、日本の大企業の社風は、諸藩の「藩風」とソックリだという。つまり江戸時代の武士が明治の軍人になり、昭和・平成のサラリーマンになっているというわけだ。日本人というものは、黒船が来ようがGHQが来ようが変わらなかったと言われて、私は反論できなかった。
 江戸時代と東アジア社会というのは、ぜひ将来研究してみたいテーマだ。




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労働新聞の予言

2006-07-19 17:46:24 | Weblog
 今日の労働新聞に、1面と2面ブチ抜きの超長~い編集局論説が掲載された。タイトルは、「先軍は我々の時代の自主偉業の偉大なる基地だ」。興味深い記述は、以下の通り。

・自主性は人民大衆の本性であり、国家と民族の生命である。

・偉大なる領導者金正日同志におかれましては、次のような指摘をされた。
「国家と民族の自主性も革命の勝利的先進も、先軍政治によってのみ、確保され担保されるのです」

・革命を行っている人民にとっては、民族自主精神は核兵器と同じだ。たとえ弱小国家の人民でも、自主精神さえ強く持てば、他国に従属せず、流されることもなく生きていけるのだ。

・先軍は戦争を防ぎ、平和と安定を守る正義の保険だ。

・米帝は、対外的には自主的な国を「悪の枢軸」と名指しし、「先制攻撃」を公言する。それに対し、政治軍事的、物質的準備を予見性をもって準備しておくことは、国家と民族の安全と平和を守るための最も正しい道である。

・現在、世界のいくつもの地域で続いている米帝の侵略と戦争策動は、自主と平和を愛する人類の覚醒を呼び起こした。

・国力というものは、民族主体の力であり、国力の核心となるのは軍事力である。

・わが国では初めから軍隊が第一に創建され、その後軍隊に依拠して党と国家が建設された。

・帝国主義の強硬的な政策に対して超強硬的に対応していくことは、我が軍隊と人民の揺るぎない革命の道だ。帝国主義との対決で譲歩と妥協は禁物である。

・米帝が対朝鮮敵対視政策を放棄しない限り、自衛的国防力を全方位的に強化させ、敵の強硬策には超強硬策で対抗するのが、我が軍隊と人民の立場であることは、確固としている。

・国力強化は、帝国主義との対決から最後の勝利を担保する重要な要因である。強い軍隊は、確固とした物質的基礎によって担保されなければならない。

 この超ロング論文の言いたいことは何だろうか? 私は次のように解釈した。
「我々にとって最も大事なものはプライドであり、プライドのために核実験を挙行し、核保有国メンバーの仲間入りを果たす」
 このまま進めば、秋に朝鮮半島に危機が起きそうな気がする。





自主はプライドと置き換えられる。
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中国性悪論者

2006-07-18 23:01:57 | Weblog
 中国は大国だから、日本人で中国を観察している、いわゆる中国ウォッチャーも大勢いる。その中で、ユニークな中国ウォッチャーと今日会った。
 彼は、中国に対して性悪説に立っている。それはサピオや正論やらに寄稿する論客たちと付き合っていて慣れているつもりだが、彼の場合は、保守派の論客たちと較べても超がつくほど性悪説に立っている。
 たとえばこんな具合だ。最近の中国の黄砂が凄まじいのは、日本に砂戦争を仕掛けて日本の国土を真っ黄色に染める戦略である。中国の野菜に農薬が多く含まれているのも、日本に仕掛けた生物戦争だ。日本在住のすべての中国人は、日本に送られたスパイであり、在日中国人の報告は中国の奥の院に上がっている。中国はまた、北朝鮮をけしかけて日本と戦争させる計画まで練っている。日本の大学に留学している中国人留学生もスパイで、その目的は日本の若者を親中派に洗脳することである・・。
 つまり、中国はすべて悪で中国人はすべて悪人だというところから、彼の思考は始まるのだ。巷で出されている、いわゆる中国本を読破しての結論だという。そんなに嫌いならそこまで研究しなければとも思うのだが、日本が中国にやられるという使命感から研究を続けるのだという。ご苦労なことだ。
 しかし、このような頑迷な方まで惹きつけてしまうのだから、中国の磁力というのはやはり、半端なものではないのだ。

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重村智計教授との会話

2006-07-17 18:24:26 | Weblog
 このところ北朝鮮問題でテレビに出ずっぱりの重村智計早大教授と、そぼふる雨を見やりながら、高田馬場の串焼き屋で一献をともにした。あまり酒をたしなまない重村教授は、もっぱらウーロン茶片手に串焼きをつついている。
 重村氏の長所は3つある。第一に、日本-朝鮮半島-アメリカという三角関係で朝鮮半島を捉えていること。第二に、いい情報源をいくつか持っていること、第三に、複雑な朝鮮半島情勢をお茶の間に簡潔に伝える能力を持っていることだ。これが人気のもとなのだろう。新著『外交敗北』は現在、ベストセラーになっている。いくつかの書店では私の『東アジアノート』と隣り合わせで平積みになっているが、残念ながら売れ行きが違う。 韓国メディアの特派員たちに、「安倍政権ができたら外相になるのか?」と真顔で聞かれた時には驚いたが、安倍政権になって活躍の場がさらに広がることは確かなようだ。


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イスラエルと日本

2006-07-16 22:38:54 | Weblog
 イスラエルがヒズボラへの戦闘を開始した。その理由は、「自国の二人の兵士が拉致された」というものだ。ある時、アメリカ人の知人が言っていた言葉を思い出した。「日本は本当に我慢強い国だ。アメリカなら、自国民が拉致されていると分かった段階で、どんな国に対してでも宣戦布告する」。日本の北朝鮮政策の生ぬるさといったらない。しかも小泉政権の北朝鮮政策は、見かけとは違ってこの上なく優柔不断なのだ。
 小泉首相はイスラエルを訪問して、ヨルダン渓谷開発に資金援助するとか、東京で中東和平のための4カ国協議をやろうなどとブチ上げた。だが、アルベルト首相は小泉首相との首脳会談の最中に宣戦布告を軍に許可した。日本の外交ボケここに極まれりという感じだ。
 さらに平和ボケしているのは、マスコミも同じだ。CNNを見ると、ほとんど24時間中東問題を扱っている。中国のCCTVも3分の1は中東問題だ。それなのに、石油の8割を中東からの輸入に頼っている日本が、なぜこれほど中東問題を報道しないのだろうか。
 日本の政治もマスコミも、日に日に世界からズレていく。非常に僅かずつズレていくために、注意していないと気づかない。そのことが歯がゆいこの頃だ。
 
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中国の環境問題

2006-07-15 17:33:17 | Weblog
 このところ、中国の環境問題に興味を持っているが、なかなか調べる時間がなくて、今日久しぶりに資料を読み込む。
 中国環境保護総局は最近、10年ぶりに日本で言う環境白書を出した。この10年間で中国はこんなに環境問題を改善しましたということを、1万7000字にもわたって羅列してある。だが白書が自画自賛する環境立国と、このところ中国を訪れて思う惨憺たる環境汚染の実態とは、素人目に見てもかけ離れている。中国が崩壊するとしたら、アメリカとの核戦争ではなく環境問題によって自壊するのではないかと思えるほどだ。
 例えば、北京の街を5分も歩くと、空気汚染のために胸が苦しくなる。太陽を見るのは月に数日。この春の黄砂はすさまじかった。万里の長城の破壊ぶりも尋常ではない。北京が砂漠化する日も迫っている。上海も同様で、黄色い水道水はこのところさらに濁りを増している。本体が完成した山峡ダムによって、揚子江の上流600㎞が堰き止められた。この自然破壊を、どうやってカバーするつもりなのだろう。
 近未来の中国がどうなるかを、環境問題の側面から見ていく。これはヒステリックな靖国論争などよりずっと面白い。

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倦怠

2006-07-14 17:21:00 | Weblog
 ある欧州在住の作家から、イタリア人作家・モラヴィアの『倦怠』を勧められて、早速読み始める。まだ3分の1程度しか読んでいないが、イタリア人の知られざる一面を見た思いだ。
 イタリア人と言えば、先日のワールドカップで見たように、狡猾なイメージがまずある。次に一部の人に見られる陽気さか。だが考えてみれば、陽気で狡猾なイメージの裏側に、倦怠という感情が潜んでいるのかもしれない。
 主人公の金持ちの息子(1920年生まれ)は、絵描きになろうと10年間頑張るが、ついに挫折する。そして母親が独り住む実家に帰るが、再び家出してしまう。この作品はフェデリコ・フェリーニやマルチェロ・マストロヤンニが全盛の時代のローマを描いているが、確かにあの時代のローマを覆っていたのは倦怠だったかもしれない(ローマの休日という映画もあったが、あれはハリウッド映画だ)。
 この後、十代の少女と知り合って主人公の人生に転機が訪れるようだが、そこまではまだ行っていない。21世紀の忙しい東京は、倦怠とは無縁の世界であり、読み終えるまでにひと月はかかりそうだ。




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テポドンと自衛隊と中国

2006-07-13 16:51:04 | Weblog
 ある防衛庁の関係者に、テポドン問題を聞く。彼が言うには、日本の防衛にとってテポドン問題は中国問題だという。つまり、テポドン2号が飛んだことによって、それを理由に様々な防衛強化が行われるが、それは実は、対中国防衛なのだということだ。これまで遠慮して中国と対峙できなかったのが、これからは「北朝鮮対策」という口実でもってどんどん中国向けの防衛力を強化するというのだ。
 例えば、額賀福志郎防衛庁長官が唐突に言い出した先制攻撃論。あれは、実は北朝鮮の基地ではなく、中国の基地に向けたものだという。衛星や電波による解析が進歩したため、敵の基地での準備状況が正確に解析できるようになった。そのため、先制攻撃が公言できるようになったのだという。
「次に北が動けば、日本核武装論が起こるよ」
 この関係者はこう結んだ。
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馬英九訪日のその後

2006-07-12 16:49:54 | Weblog
 台湾の国民党主席・馬英九氏の講演の話を、台北の民進党のある職員にしたら、「馬英九の訪日は完全な失敗」とこき下ろした。その理由は、自民党総裁選に出馬しない福田康夫には会えたが、次期首相が確実視される安倍晋三官房長官には会えなかった、同行した台北市議が成田空港のVIP専用通路を通れないとして大暴れした、台北市議会から市政府の出張として何をしに行ったのか不明と追及されている、などなどだ。
 台湾人は賛成派と反対派が極端に分かれていることは承知しているが、それにしても随分と多様な見方があるものだと思った。おそらく民進党職員の彼は、馬英九氏がどんなに日本訪問で成果を挙げてもこき下ろしていただろうし、逆に国民党シンパは成功と見なすだろう。
このことは、一つの真理を表している。すなわち、誰かが何かを行ったら、賛否が必ず分かれるということであり、否を気にしていたら何もできないということだ。
 私は、こうしたことは台湾の民主化が成熟度を増した「副作用」と考える。政治家はやはり、自分の信念に従って突き進んでゆけばよいのだ。



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馬英九主席会見

2006-07-11 16:38:07 | Weblog
 次期台湾総統「当確」とも言われる馬英九国民党主席(台北市長)が、FCCJでランチ講演を行った。
 ランチの前に、3つの分厚い英語の資料が配られた。①民進党の18のスキャンダル、②馬英九の支持率(2003年9月~2006年6月)、③陳水扁総統の不信任投票、に関する資料だった。これでもかというくらいに陳水扁・民進党を攻撃したいのだろうが、正直言って読むのもかったるく、台湾の民主化は随分進んだものだと感心だけする。
 彼の演説要旨は以下の通り。

・私は1950年香港生まれだが、生粋の台湾人である。
・北朝鮮のミサイル発射は北東アジアの平和と安定を損なうものであり、強く反対する。
・陳水扁・民進党も台湾海峡に波風を立ててこの地域の平和と安定を乱しているという点では同じであり、それを正すのが国民党である。
・2005年に両岸で930億ドルもの貿易があり、10万社、400万人の台湾人が大陸へ行った。こんな状態で対立するのは不合理だ。
・三通を実現すれば、台北-上海が1時間20分で繋がる(いまは5時間以上)。
・1992年に「一つの中国を基本とする」という歴史的合意がなされたのに、90年代後半以降、中国の平和的統一の機運を台湾側が踏みにじった。
・大陸に対する新しいアプローチが必要だ。それは「5つのノー」と「5つのドゥー」(平和、繁栄、民主・・)だ。
・4月に2度目の訪中をして胡錦濤主席と会談したが、彼もやはり「92年合意」に立ち返るべきだと考えている。そして両岸が対等な立場で再度テーブルにつこうと合意した。
・私が2年後に総統になったら、大陸との経済交流をもっともっと進める。両岸はゼロサムゲームではない。ダブルウィンだ。大陸の高校生を大勢台湾に呼んで台湾の大学に入れ、民主主義のよさを肌で感じてもらう。
・大陸との交渉は、「一つの中国」と「平和的統一」を共通のスローガンに掲げる。
・34年前に日本は台湾を見捨てたが、中台が一致団結するいまこそ、日本企業は台湾企業を利用して大陸に進出すべきだ。
・今後は、経済ばかりか安全保障の分野でも、台湾がキャスティングボードを握る時代になる。
・現在、台湾人の85%が民進党の独立路線に反対している。
・中国大陸が民主化したら、統一を受け入れてもよい。
・インターネットの影響は大きく、大陸は早晩必ず民主選挙を始める。
・日本は中台関係の改善に協力してほしい。
・大陸との交渉のために必要な適切な国防費は出すが、常に予算に見合ったもので、かつ国民のコンセンサスに左右されるものだ。

 以上である。次に質疑応答になり、私は次のように聞いた。
--中国は、香港式の一国二制度方式による台湾統一を目指している。あなたが総統になったら、これを受け入れるということなのか。
 これに対し、馬主席は私に向かって微笑みながら、次のように答えた。
「一国二制度による統一は、登小平が言い始めたものだ。だが、将来的に両岸に二つのシステムは必要ない。一つの良いシステムがあればよい。つまり、私が総統になったら、中国の政治的民主化を加速化させる。そして中国が民主化するのを待って統一を話し合えばよい。そして民主国家として統一を果たすのだ。だから香港式統一は拒否する」
 実に簡潔で分かりやすい回答だった。しかも、答える間中、私の目を見て微笑んでいる。
 馬主席は流暢な英語を駆使し、どんな質問にも笑顔で実に誠実に答える。若い頃のトニー・ブレア英首相のような人だと思った。コーヒーに目がないようで、何杯もうまそうに飲んでいた。市販のボールペンでまめにメモを取る姿も好印象を与える。若干女性的なところがあり、背も高くないが、アジアの新しい形の政治的ヒーローになりうると確信した。

















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