桜木結月

詩と小説。和歌集はメチャクチャな古文で遊んでいます。
2017.5.27『再生記』第三章 幽霊から人間へ 更新

花曇

2017-01-23 23:11:31 | 和歌集


恋ひしかる色をも香をも心にぞ
見しやもどかし花曇かな

(こいしかる いろをもかをも こころにぞ
みしやもどかし はなぐもりかな)


桜の咲く頃にぼんやりと空にかかる雲が、いずれ訪れる満開の頃をもどかしく感じさせるように、恋しい貴方の姿も香りも心の中にばかり蘇って来ます。



君影

2017-01-23 22:55:34 | 和歌集


君影の夢に現に見しやとて
会はばや恋ふな花の根もぞに

(きみかげの ゆめにうつつに みしやとて
あわばやこうな はなのねもぞに)


夢の中にも、目覚めている時にも、どこかに貴方の面影が見受けられます。
もしも会えてもきっと私の気持ちは満たされること無く、ただもっともっとと恋い焦がれて、いつまでも満足できない心持ちでいるのでしょう。




千草

2017-01-23 21:08:43 | 和歌集


待ち人やくゞらば天のまほろばの
染めに染めにし千草なりぬれ

(まちびとや くぐらばあまの まほろばの
そめにそめにし ちぐさなりぬれ)


恋い焦がれ待ち侘びた相手ほど、いつかついに巡り逢えた時、苦しかった思いはすべて報われ、魂は天上にも上る事ができるだろう。