世相の潮目(改題 写真で語る)

話題を現代に求めて「世相の潮目」に改めて、写真はhttp://homepage3.nifty.com/wakoh/ を。

米中激突の最中に発足する環太平洋パートナーシップTPPの重要性を改めて知る

2019年02月08日 | 現代
貿易戦争はセンセーショナルに大きく報道されますが、貿易協定などの順調な発足は余り注目されません。しかし、先月19日に環太平洋パートナーシップTPPの第一回委員会が東京で開催されて、TPPが順調なスタートを切った事実は、アジア太平洋地域にとってだけでなく、世界経済の長期的発展にとって極めて重要な一歩であることを改めて認識しておきましょう。

このTPP委員会は閣僚級の最高意志決定機関であり、最終決定が下される場ですが、席上、安倍首相は冒頭演説で「私たちの理念に共鳴するすべての国・地域に、ドアはオープンだ」と語りました。TPP発足前からコロンビア、タイ、台湾が参加希望を表明しており、EUから離脱する英国も参加したいと言っていますから、今後のメンバーは全世界的に広がると予想されます。

全世界的な貿易協定として既に国連の世界貿易機関WTOがありますが、中国の参加(2001年)以来、中国がルール違反を繰り返すため、WTOが機能しなくなったので、次善の策としてWTO加盟国は二国間で、或いは中国を外した地域毎で貿易協定を結ぶケースが増えました。TPPもその一つなのですが、参加する加盟国が成長率の高い国が多く含まれ、地域的に広範囲に及ぶことで、TPPは極めて野心的な企てであり、且つ協定の内容も貿易だけでなく、投資を含む経済連携協定EPAとなっていることで、将来性が高いのです。

環太平洋パートナーシップTPPの結成は、オバマ米国大統領の発案で始まり、日本は誘われて遅れて参加したことになっていますが、環太平洋構想は1970年代に大平首相の構想として提唱されたもので、それを受けて1980代には太平洋経済協力閣僚会議 APECが誕生し、丁度その頃、太平洋圏内のAPEC4ヶ国で自由貿易協定を結ぼうとの話し合いが進んでいました。

リーマンショックで苦境にあったオバマ大統領は、このAPEC4ヶ国の話し合いを取りあげて、米国の輸出市場開拓のため主導権を握ろうと環太平洋パートナーシップTPPの提案を行ったのでした。先導者だった日本は、米国にお株を奪われた感じになりましたが、今回トランプ大統領のTPP脱退声明で、再び日本主導の環太平洋構想を進めることになったのです。

米国が抜けたにも拘わらず、日本が主導して環太平洋パートナーシップTPPをまとめ上げたのは立派でした。日本国内には農業関係者からの強い反対がありましたが、国民経済全体としての長期的メリット及びアジア太平洋圏諸国の健全な発展のために、TPPは大いに貢献するとの確信があったからです。

TPP発足の時に合わせるかのように日本と欧州連合EUとの経済連携協定EPAが合意され、今年2月から実施されました。この合意は、日本の工業製品流入に対するEUの懸念、EUの食品・農産品流入に対する日本の懸念、これら双方の懸念を乗越えるもので、経過措置があるので直ちに完全自由化ではありませんが、これで世界GDPの30%、世界貿易の40%の地域が含まれるWTO内での最大の自由貿易投資圈が誕生しました。

日本とEUとの経済連携協定EPA交渉は長期間成立が危ぶまれていましたが、昨年、急転直下合意に至った原因は、皮肉にもWTOに参加して違反を続ける中国とアメリカファーストの米国の経済的正面衝突だったのです。習近平の既存秩序破壊行為とトランプの報復関税に危機感を持った日本とEUは、これ以上の世界経済の停滞は避けねばならぬと決意したからです。

米国と中国は互いにWTOルール違反で世界貿易を危機に陥れていますが、同じ価値観と制度を持つ日本とEUは、部分的でもWTOを護ろうとした結果です。日本はアジアでのTPPと欧州とのEPAを繋ぐ役目を果たし、WTOの機能回復に貢献することができます。更にEU離脱の英国をTPPに受け入れて英国とEU双方にBREXITの衝撃を緩和することも出来るのです。
(以上)
コメント   この記事についてブログを書く
« サイバー戦争は今たけなわ ... | トップ | 米露のINF条約離脱を日本防衛... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

現代」カテゴリの最新記事