松永和紀blog

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鳥取県作成の「まるごとわかる農薬のはなし」

2009-05-08 21:24:41 | Weblog
 鳥取県農林水産部生産振興課の新居さんが、県が今春発行した「まるごとわかる農薬のはなし」という小冊子を送って下さった。
 今年2月、同県農林総合研究所園芸試験場で講演させていただいた時に、「作成中です」と聞かされていたのだが、完成したのだ。
 こちらのページからダウンロードできる。

 これまでも、群馬県が農薬の解説本を出すなど自治体の取り組みはいろいろとあったけれど、消費者を対象にしたものが目立っていた。今回の小冊子は、生産者向けだ。「なぜ農薬を使うのか」という素朴な疑問にはじまり、農薬の作用メカニズムや安全性確保の仕組みなどを分かりやすく解説している。
 
 特に、第三章の「農薬の使用にまつわる注意点」がいい。ラベルの見方や希釈方法、複数の農薬を混ぜて使う場合の混ぜ方、使用回数の数え方など、実地に役立つ情報が盛りだくさん。
 「似て非なるもの」という項目では、同じに思える作物が実は、違う作物として分類されていて使える農薬も異なることを説明している。ネギとワケギとアサツキはそれぞれ使える農薬が違うなんて、知ってましたか? 私は知らなかった。
 「うっかりこんなこと! ありませんか?」では、間違えやすいポイントを列挙。有袋と無袋の梨では、スプラサイド水和剤の使用時期も使用回数も違うとか、スイカの畝ごとに品種や定植時期など変えて収穫時期も異なる場合、間違えやすいので気をつけろ、とか、とても面白い。
 鳥取農業の特徴を踏まえた情報を生産者に提供して、役立ててもらおうという制作者の意気込みが感じられる。

 私は最近、生産者や指導者に講演する時には、「生産者も勉強が必要ですよ」と話している。「生産者が、農薬のことを誤解していて、間違った情報を広めているケースが目立つ。『自家用野菜で、農薬を使っていないから安全だよ』と消費者に言う生産者が未だにいるんです。そんな状態で、消費者に理解して、と頼んでも無理ですよ」と思い切って言う。
 まずは、生産者の理解から。生産者が農薬のことを分かって適正に使えるようになり、そのことを自分の口で消費者に説明できるようになったら、消費者の反応もうんと変わってくるのではないか。

 鳥取県も同じことを考えたようだ。「農薬を安全に使用している! と胸を張って言うことができますか?」と問いかけ、生産者が飽きずに眺めて理解できるように、いろいろと工夫してある。無難さを排して、チャレンジしている。頑張っている。それがとてもいい。

 自治体がまた改めて、生産者の方を向き出した。その一つの表れのように思える。消費者迎合の農業ではなく、生産者も消費者も大切にされる農業であってほしい。

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