明日天気になーれ

情報発信ネットワーク「ワイワイネット」代表で教育ジャーナリストの中曽根陽子が"ちょっと気になる話"などをつづります。

命の授業

2006-06-28 | 子育て
こんにちは 中曽根陽子です。

今日は関東は真夏日だったそうで、蒸し暑い一日でした。
秋に行う講演会の打ち合わせと、(後日詳細をお知らせしますね)
読売新聞の取材を受けてなんだかあわただしい1日でした。

夜、たまたまつけたテレビで、所ジョージの「笑ってこらえて」という番組で
赤ちゃんの誕生に立ち会う旅というコーナーをやっていました。

長崎の小学校の先生が赤ちゃんを授かり、生まれるまでを追っていたのですが
2度の切迫流産を乗り越えて、
小学校の先生を続けながら無事赤ちゃんを産んでいました。

先生は、小学1年生の子どもたちを見ていたのですが、子ども達は先生のお腹に赤ちゃんがいることを知った時から、荷物を持ったり、自分でできることで協力したり、お腹を触ったりして日々大きくなっていく命をいとおしむ気持ちを育てていきました。
そして、生まれた赤ちゃんに合いに病院をたずねた子ども達に、先生は生まれるとき赤ちゃんもお母さんも一緒に頑張って生まれたことを話して聞かせ、
一人ひとりがそうやって、生まれてきた尊い命だということを教えていました。

その話を聞いている子どもたちの瞳は嬉しそうにきらきら光って、
自尊心にあふれているように見えました。

なんだか、久しぶりに私も涙が出てきてしまっていました。

私も切迫流産を超えて子どもを産んだことを思い出して、
多くの人に助けられて、つながった命だということをもう一度子どもに伝えようと思いました。

ついつい、目の前のことにわずらわされて、最初に子どもを持ったときの気持ちを忘れてしまいがちですが、今日は改めて原点を思い出しました。



子どもを伸ばすコミュニケーション

2006-06-08 | 子育て
こんにちは 中曽根陽子です。

首都圏も露入り。
しばらく、うっとおしい天気がつづくのでしょうか?
でも、露があるから、おいしいお米が育つ。万物にとって、恵の雨と捉えて、うっとうしい日も心は晴れやかに過ごすクセを身につけたいものだと、思っています。


さて、今日はコーチの友だちに誘ってもらって、「受験生を持つお母さんのための今日から使える会話術」というセミナーに行っていました。

ここ数年、この友人の影響もあって、コーチングに触れる機会があるのですが、
知れば知るほど、なるほどコミュニケーションというのは、学ぶべきものだと実感します。
学校でもコミュニケーション講座と、経済に関する講座があればいいのにと、常々思っていましたが、今日のセミナーを開催しているコーチの方々は、共育コーチング研究会のメンバー。
メンバーの中には現役の学校の先生や、塾の講師などもいて、日々の仕事の中でコーチングの手法を生かし、また、学校や家庭において、コーチングを普及しようと、セミナーなどを行っている方々です。


コーチングもあるスキルなので、
プロではなくても、これを身につけることで、日常生活のあらゆるシーンでコミュニケーションが楽になると思います。

今日は、実践で人の話を聞くときに、まるで表情を変えず、反応もせず、でも頭の中では真剣に相手の話を聞いた場合と、話はまるで聞き流しているけれど、
とにかく、相槌や、アイコンタクトなどで反応し、「それで?」と合いの手を入れた場合、話し手にどのような感じがしたかを実感してみるというワークショップを行いました。

予想できる通り、こちらが一方的に話していると、頭もフリーズし、話も弾まないし、不安な気持ちになってくるのです。
反対に、相手が聞き流しているとわかっていても、
ちゃんとこちらを見て、話に相槌をうったり、「それでー」と反応してくれたりすると、こちらも話がどんどん弾んで、体も暖かくなって、脳はすっきりした感じになり、制限時間が過ぎても、もっと話たいと思うほどでした。

会話はキャッチボールといいますが、
声による反応だけでなく、アイコンタクト、ボディランゲージ、すべてを含んでいるということがよくわかりました。

一方的に親が上から話をするのではなく、子どもの目線で話そうとか、
よく話を聞いてあげようといわれますが、
聞く態度もとても大切だと思いました。

子どもをやる気にさせるための1歩としても、
子どもの話は、子どもの目を見て、相槌をうちながら、
時には、「へえー」とか「それで?」とか合いの手を入れながら、
一生懸命聞いてあげるのが良いようです。


ある塾講師のお話

2006-06-01 | 子育て
こんにちは 中曽根陽子です

しばらく更新できないでいました。
6月になったし、またがんばります。

さて、31日の読売新聞の記事をみてたくさんのかたから掲示板にも書き込みをいただきました。

受験を終わったおとうさん、おかあさん、またプロの講師の方、
これから受験を考えているお母さん。
それぞれの立場からの書き込みがありました。

一つのテーマに対してもいろいろな目線で考えられる場として盛りあっていったらおもしろいなと思います。

先日、とある塾にお邪魔してお話を伺いました。

その中で気になったお話をひとつ。

その方は、新たに塾を起されましたがそのきっかけは一人の生徒から。

十数年前、教えていた子どもがある日尋ねてきたそうです。
その子どもは、中学受験で一流校に合格し、その後東大を卒業して一流商社に就職したそうですが、
しばらくして、会社にいけなくなり引きこもり状態になっていたそうです。

どの過程でそうなっていったかは分かりませんが、
その講師の方は、その子どもの教育に関わった人間として、
また、それまでの自分を振り返って、
知識を教え込むことに偏っていたのではないかと率直に反省し、
これからは、自分の教え子からは、このような子どもを出したくないと誓ったそうです。
そして、今新たに塾を起し、「自分の頭で考え、自分の力で歩いていける子ども」にする後押しをしたいと今の塾を運営されていました。

また、「進学塾である限りは、結果を出すことはもちろんだが、それだけでいいのだろうか。
今公教育も不安になっている現在、塾ももう一歩踏み込んだことをしていってもいいのではないか。。。」と熱く語っていらっしゃいました。
半分、悲しく、半分明るい気もちになってその日は帰りました。

今、毎日悲惨なニュースばかり流れてきます。
ほんと、子どもを育てるのって難しいし、なにが正解かなんて、分からないけれど、どうしたらみんな幸せになれるのかなって、また考えてしまいました。



NHK特報首都圏 子育てに悩む親たちから 

2006-05-26 | 子育て
こんにちは 中曽根陽子です

今日は作業をしながら久しぶりに夕方のNHKを見ていました。

その中で2つ気になったことがありました。

一つは、東京都の幼児の生活リズムの深夜化が進んでいるという調査結果について
東京都が都内に住む4,5歳児をもつ親にアンケートをとった結果、
10時過ぎに就寝している家庭が増えていると伝えていました。
私は2年前子どもの睡眠について「子どもを伸ばす眠りの力」という本を書きました。
その中で、夜10時過ぎに寝る3歳児が50%を超えているという調査結果を紹介しました。
調査を実施した先生によると、就園前の子どもは特に親の都合に合わせて生活しているケースが多く、夜更かしの朝寝坊になりがちであるということでした。

幼稚園に通うようになると朝は強制的に起きなくてはならなくなるので
生活リズムは自然に直ると思っている人も多いようです。

しかし、実際には、幼稚園に行くようになっても早く寝ない子どもが増えている。

このことについて、テレビでは東京大学大学院の汐見教授が原因として、次のように述べていらっしゃいました。
①「夜更かしの原因は、親(特に父親)が遅く帰宅するのでその生活リズムに子どもを引きずっている」②「今の子ども達は昔の子どもに比べて運動量も少なく睡眠時間が少なくてもいられるようになっている」
一見、睡眠時間が少なくてもだいじょうぶなように進化しているようにも取れますが、実は人間はたくさん体を動かして十分な栄養と睡眠をとら無ければ免疫力などストレスに対応する力を発達させることができないのだそうです。と言うことは、今のような生活リズムを続けていると次第にストレスに弱い子どもが増えていく可能性が高いということになります。
特に、著しい成長の過程にある子ども時代に生活リズムが乱れることの弊害は、計り知れないのではと改めてこの問題にみんながもっと関心を持って欲しいと思いました。

二つ目に今、小学生の低学年の子どもを持つ親向けの雑誌の創刊が相次いでいるという特集番組で、
プレジデントファミリー・日経キッズ・AERA with kid'sの編集長も交えて今子育て中のさまざまな家庭を取材していました。

子どもを育てる環境が悪化し、将来像が描きにくい時代に子どもの幸せを願って子育てに取り組んでいるパパやママ達。

「今後ますます格差が広がるだろうから、その格差社会で乗り遅れないように、なるべく最短距離で子どもの可能性を伸ばせる道をとってやりたい」と語って、中学受験を見据えて子育てをしているという2歳の子どもを持つ両親。

「多くの情報に振り回され、何が一番良い方法か分からなくなった」という母親。

「多くの情報の中から自分で取捨選択をしていく方法をとっている」という父親。
などが登場していました。

そして、番組は「最終的に、子育てでなにが正解かなんて分からない。
結局はその家庭それぞれに考え、判断をしていくしかない」という投書を紹介して終わっていました。

私はこの番組を観て、最後のコメントが私の「後悔しない中学受験」という本で書いたコメントと一緒だったことに驚き、だからこそ、情報発信ネットワークを主宰しているものとしては、
子育て経験者の声を今子育て中の人に伝えていく作業をこれからのテーマの一つの柱にしていこうと、強く思いました。



ハートフルコミュニケーションから

2006-05-20 | 子育て
こんにちは 中曽根陽子です

久しぶりの五月晴れ。気持ちのよい一日です。
でも、これからまた崩れてくるようですね。
今日は、次回作の「いぬだす」という本の取材をかねて、総合ペットショップに行って来ました。

神奈川県の海老名市ということろにある「DOG CLUB IST」
ペット関連のグッズや子犬の販売、ペットホテル、クリニック、トリミングサロン、セルフウォッシュコーナー、ドッグラン、わんこと一緒に食事ができるカフェまで揃ったまさにペットのためのオールインワン施設です。

今、各地にこうしたショップができていますが、わんこが生活の中心にいるというお宅が増えているので、どこも賑わっています。
熟年夫婦の接着剤としての役割を担わされているわんこが、私の周りにはたくさんいます。
みな、子ども達が大きくなり、共通の話題もなくなって、愛情を注ぐ対象がわんこになっているのです。
中学受験の意外なメリットの一つに「夫婦の会話が増える」というのがありますが、受験も終わってしまうと、今度はペットが取って代わるというわけです。

中学受験のメリットの一つが夫婦の会話だとして、子どものことがよく見えるというのもあると思いますが、見えるからこそつい言い過ぎてしまったり、トラブルの種にもなりかねないのですが・・・。

さて、今日は私の本でもご紹介した菅原裕子さんの『ハートフルコミュニケーション』から。

ハートフルコミュニケーションでは、連続してワークショップやハートフルコーチ養成講座を開いていますが、そこに通われている中学校教師の方の感想を読みました。

20年間教師をしてきたその方は、このように言ってます。
「できないことをできるようにすること」が教育だと思っていた。教師の仕事は、苦手な化学方程式を理解させること、学習の方法を身につけさせること、こじれた人間関係も、早期に発見し、話を聞き、
アドバイスを与え、大きな問題になる前に、解決すること(教師主導で)
であると思っていました。
ですから、私の目は、生徒の出来ていないことに向いていたように思います。
「私がなんとかしてあげる・・・」という思いとともに。

しかし、ハートフルコミュニケーションを学ぶにつれて「子どものできないことを見つけて、教えることが教育ではない。・・・
その子のできることに目を向け、認めることである」と変わって行ったようです。

菅原さんは、不登校や引きこもり家庭内暴力の子どもを預かって社会生活に適応させる施設の関係者が逮捕される事件に寄せて、
そうした施設に預ける親の苦渋はよく理解した上で、「ベストは、自分の手元で子どもを自立させて、子どもが自然に巣立っていく姿を見送ることです。
もともと子どもに障害があるわけではありません。
平均的な能力を備えた子どもたちです。
彼らにとっては親元で自立するのが一番です。
そのために必要なのは、親の智恵です。
どのように育てると、子どもはどうなるかを知ることです。
特別な知識ではありません。
人に関する智恵です。」
と述べていらっしゃいます。

ハートフルコミュニケーションでは、親がコーチになるための条件を3つ
揚げています。
「子どもは無限の可能性をもっていることを知っている」
「子ども自身がもっとよくなりたいと思っていることを知っている」
「子どもが望んでいることが起きるまで待ち、必要なサポートは何でも
しようとする柔軟性がある」

そして、「ハートフルコミュニケーションを答えにしないでほしい」「私たちは人生の答えまで持っていない」といわれます。

私の本でも書きましたが、私自身試行錯誤で子どもと相対し、菅原さんのおっしゃる「どのように育てると子どもはどうなるか」ということが分からず、ずいぶん回り道迷い道を歩いてきました。

3年前にハートフルコミュニケーションと出会いまさに目からうろこ。
もっと前に出会っていたら・・・と悔しい思いをしました。
私自身も上記の中学校の先生と同じように、「子どもにアドバイスを与え、大きな問題になる前に、解決しようとしていた。子どものできているところより、出来ていないことに向いていた」ように思います。

親のスタンスがどちらにあるかによって、子どもとの関係も、子どもの未来も大きくかわってしまうだろうと、自省をこめて確信した私は、そのことを少しでも伝えたくて「後悔しない中学受験」を書いたと言っていいくらいです。

具体的な受験のノウハウでないので、物足りないという方もいるかも知れませんが
次にぜひ菅原裕美子さんの『子どもの心のコーチング』を読んでください。

特に受験生を抱えるお母さんにオススメです。