他方の、「親と同じもの・似たようなものを食べる」方式にも問題があります。これは、草食動物の場合と肉食動物の場合に分けて思考実験するとわかります。
まず草食動物の場合だが、前述のように、草食動物は草そのものを吸収しているわけでなく、胃や腸に共生するセルロース分解菌に植物のセルロースを分解してもらい、細菌が作り出した栄養素や菌体成分を吸収することで生きています。つまり、待られるエネルギー量や栄養素は共生細菌の数で決まり、細菌の数は胃や腸の容積で決まります。一方、体積は長さの3乗に比例するため、体のサイズが2倍になれば、容積(=共生細菌数) は8倍に増えるが、体のサイズが半分になれば、容積は8分の1に減少します。
つまり、新生児の賃が親の半分の場合、食物.から得られるエネルギー量は8分の1しかないのです。一方、体表面穐は体長の2乗に比例します。そして、体の表面から逃げていく熱エネルギーは体表面頓に比例します。つまり、半分サイズの新生児の表面積は親の4分の1 、逃げる熱エネルギーも4分の1 です。
ということは、待られるエネルギー量が親の8分の1 で、外に逃げていくエネルギーは親の4 分のlとなり、獲得エネルギーがどうしても追いつかない計算です。その結果、どんどん体が冷えていき、やがて凍死することになります。だから、草食動物の子どもは、ある程度の体のサイズにまで育ってからでないと、完全草食生活に切り替えられず、それまでの間、草以外の食物を必要とすることになるのです。
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