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オーボエ・プレイリスト

2016-03-14 20:16:41 | 音楽
先ごろ亡くなった、ビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティンは、オーボエ奏者として音楽家の経歴をスタートさせた。それにちなんで、というわけではないが、「メロトロン・プレイリスト」に続く、一つの楽器に焦点を当てた企画。ただ前回のメロトロンは、鍵盤楽器の体裁をしているものの、フルート、ヴァイオリンズ、クワイアなどの音色がプリセットされた、アナログ・シンセサイザー的な機材という側面もあるのに対し、今回のオーボエは極めて特徴的な音色を持つ純然たる木管楽器だ。

『白鳥の湖』の二幕の「情景」、いわゆる全体のテーマ。オーボエ奏者にとって一世一代の見せ場といえよう。逆に、あまりに決定的すぎて、他でオーボエが目立っている曲をパッとは思い出せないほど。

英ウィキで探すと、オーボエが目立って使われている曲は、むしろポップスに多い。ロキシー・ミュージック、キング・クリムゾン、ディペッシュ・モード、ジュリアン・コープなど、私の好きなバンド/ミュージシャンばかりだ。

クラシックでは、オーボエ協奏曲や、オーボエをフィーチャーした五重奏曲など室内楽があるものの、その作曲家の代表曲である例はほぼない。モーツァルトならクラリネット協奏曲が必須な名曲だが、オーボエ協奏曲は耳にしない。クラシックは曲数・時間をとことん絞るようにしている私のiTunesでは残らない。




先週のタモリ倶楽部で恒例の空耳アワードが決定。レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンの3連覇だそうだ。「ナゲット割って父ちゃん」とは気付かなかったが、Killing in the Nameなら私のiTunesにも入っている。彼らの代表曲だ。可能な限り広い範囲から聞きたいので、CDを買ったり借りても、どこかのお墨付きを得た代表曲しか入れない傾向なんですよ。

サカナクションの人が空耳アワードのゲストで、「使われやすいジャンルがある」と発言していた。同感である。レイジ・アゲンスト・ザ・マシーン、KORN、システム・オブ・ア・ダウン、ラムシュタインといった、オルタナティブ~インダストリアル~メタル系の、激しく、叩きつけるようなボーカル。すると、英語特有の横ノリというかグラインド感が薄れ、抑揚の乏しい、単線的な日本語の響きに近づくわけだ。

空耳が必要とするジャンルや傾向とは極端に異なるが、オーボエにもそれがあるといえよう。メランコリックで、寂寥感のある響き。下記に挙げたような曲でも、そう盛大に使われていなくても、曲のムードを決定づける力がある。キング・クリムゾンのFallen Angelなど好例だ。そして、このプレイリストでクラシックの空位を埋める存在たりうるのが日本の演歌。「津軽海峡・冬景色」「舟歌」と、定番ともいえる、人口に膾炙した2曲である。これら全盛期の演歌を聞いてみると、それが日本の心だなどというのは後付けで、音楽性は完全にクラシックを中心とする西洋からの輸入音楽を基盤としたものだと申せましょう―





iTunes Playlist "Oboe Playlist" 73 minutes
1) Wolfgang Sawallisch; Philadelphia Orchestra / Tchaikovsky: Swan Lake, Op. 20 - 10. Scène (1994 - Tchaikovsky: Swan Lake)



2) Sonny & Cher / I Got You Babe (1965 - The Very Best of Cher)



3) The Left Banke / Pretty Ballerina (1966 - Walk Away Renée/Pretty Ballerina)



4) Carpenters / For All We Know (1971 - Carpenters)



5) Roxy Music / Ladytron (1972 - Roxy Music)



6) Mike Oldfield / Hergest Ridge (Excerpt) (1974 - Hergest Ridge)



7) King Crimson / Fallen Angel (1974 - Red)



8) 石川さゆり / 津軽海峡・冬景色 (1977 - 青春歌年鑑 演歌歌謡編 70年代ベスト)



9) 八代亜紀 / 舟唄 (1979 - 八代亜紀全曲集「舟唄」)



10) Depeche Mode / Everything Counts (1983 - The Singles 81>85)



11) Julian Cope / Sunshine Playroom (1984 - World Shut Your Mouth)



12) Madonna / Crazy for You (1985 - Something to Remember)



13) Tanita Tikaram / Twist in My Sobriety (1988 - Ancient Heart)



14) Camouflage / Love Is a Shield (1989 - Methods of Silence)



15) R.E.M. / Nightswimming (1992 - Automatic for the People)



16) Seal / Kiss from a Rose (1994 - Best 1991-2004)



17) Stereophonics / Handbags and Gladrags (2001 - Just Enough to Perform)



18) József Kiss / Marcello: Oboe Concerto in D minor - II. Adagio (1991 - C.P.E. Bach; Marcello: Oboe Concertos)

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