マガジンひとり

人権と民主主義を尊重し、自由民主党・日本維新の会の政策に反対します

Stigmanga

2017-01-29 20:57:23 | マンガ
「ガロ」編集部が、一番重視したのは「オリジナリティ」でした。だから、ほかのマンガ雑誌にはとても載せてもらえないようなユニークな作品がつぎつぎに掲載されたのです。マンガ家にとって「ガロ」は、「描きたいものを載せてもらえる」「自由に書ける」という初めての雑誌だったのです。だから「ガロ」は憧れの場でした。

そのころは、あんまり考えていなかったのですが、商業主義のメジャー雑誌とはまったく違う、表現第一主義の雑誌だったということです。それがとにかく恰好よかった。描き手も読み手も、会社も「貧乏」で、「売れたら負け」みたいな空気でした。

長井さんの後、南伸坊さんや、渡辺和博さんが編集長を務め、「ガロ」は最終的に2002年まで生き続けました。

「ガロ出身」といってもいいマンガ家はたくさんいます。内田春菊、杉浦日向子、根本敬、やまだ紫、蛭子能収、滝田ゆう、みうらじゅん…まだまだいますよ。泉晴紀、泉昌之、花輪和一、平口広美、日野日出志、丸尾末広、森真之、近藤ようこ、桜沢エリカ、しりあがり寿、友沢ミミヨ、久住昌之、唐沢なをき、とり・みき、ねこぢる、湯村輝彦と挙げていたらきりがありません。マンガ以外でも、多士済々でした。アラーキーこと荒木経惟、安西水丸、赤瀬川源平、四方田犬彦、あがた森魚、糸井重里、上野昂志といったメンバーが登場しました。

(中略)ある時代に生きていること、ビンボーか金持ちかは関係なく、その場で生活していること、という「現実」は、なんらかの形をとって、その作品には反映されていなくてはいけないものだと思います。ギャグでもSFでも、それは同じことなんです。

自分を閉じた状態で、閉じた世界のマンガだけを読み始め、その世界の中でだけ生きていたいから、好きなマンガそっくりな絵を描いてしまうんですね。そこには、まったくリアリティがない。現実に君が生きている世界はどうなってるの? ちょっと聞いてみたい気分です。なぜ君はそこにいるのか、なんでちゃんと毎日おまんまをいただけてるのか、マンガを描く以前に、そこんとこから考えたほうがいいんじゃないか、と思うんです。

マンガはそれから描いてもいいんじゃないの、と。

マンガを描くことというのは、自分の繭を作ることではないんですね。

でも、若い人は、どうも好きな作家そっくりのマンガを描くことで、好きな作家と同じ繭に入り、そこだけで生きて行きたいと思っているふしがあります。すごく閉じた世界が好きなんですね。彼女たち、我らはそういう「閉じた世界」の中にある共通の空気とか雰囲気みたいなものを「世界観」とかいうんですが、意味わかりませんでしたねえ。

(中略)今の若い人は「お金のために」描いてない。これは一見「いいこと」っぽいのですが、逆説的な意味で「ダメ」です。

おそらく「描いたらたまたま売れた」みたいなマンガ家の絵を見慣れて、そういうものばっかりを読んで育ってきたからかなあ、と思います。

今の「メジャーの構造」というのは、たとえば、マイナーな読者と、メジャーな読者がいるとしますね。すると、メジャーな読者の中からしか描き手が出てこない、という感じなんです。「メジャーな読者」が「描き手」になれば、今まで愛読していたものと同じようなものを描いていれば、そこに読者がいることがわかっている、だからそこそこ売れた、というような構造。「あえて売れ線を狙って」ということではなくて、「見慣れた好きなマンガみたいなものを描いたら売れた」みたいな形。売れやすい絵しかまわりになくて、そういうものしか見たことがないから、その子の描く絵は「生まれながらに売れやすい系の絵」になってしまう。

こういう構造の中から「オリジナリティ」ってのは絶対に生まれません。

同時に、そこにはなんのリアリティもないと思いますねえ。 —(ひさうちみちお 『マンガの経済学』 朝日新聞出版・2011)





 ‏@kireina_mochi 12月20日
エロ漫画家さんと話してて「商業のエロ漫画だけだと生活できないからCG集とか同人誌でお金稼いだらまた商業に戻りますね」と言ってて商業と個人制作の逆転現象も起きてる。生き残り大変、生き残りてぇなぁ

藤原興@12/31東P46a ‏@oki_fujiwara 12月29日
ありとあらゆる「下層賎業」に見られる傾向なんで、概念化は重要ですよ。低賃金カルテル、こええ。「人手不足なら賃金あがる」という経済学の常識など「賎業どもの賃金は最低でよい」という世間の常識の前では何の役にも立たんのです。

ぐるぐる ‏@suzushi211 1月15日
作家が「売れないと打ち切られるんでなるべく予約して発売直後に買って下さい!できれば紙で買ってもらえた方が嬉しいです!」ってツイッターでワンワン言わなきゃいけない状況、あまりに地獄だし、そんなことを作家に言わせないであげてほしい システムをどうにかしてくれ

稀見理都『エロマンガノゲンバ』発売中! ‏@kimirito 1月18日
日本のマンガ出版社は、スマホアプリによるマンガ配信に若干限界を感じている。理由は、外国はエロに厳しく、アップルでもGoogleでも、すぐにアプリ自体をリジェクトするぞと脅されるから。だから、それをクリアするために、ブラウザー配信、ビューアーに活路を見ている気がする。エロは特に。

長谷円 ‏@hasetubura 1月18日
その前に書いてる人に全くカネが入ってこない、広告代理店と出版社のおこぼれもらいみたいな、ケータイコミックから続くおかしな支払いの仕組みを変えるべきだと思うんだが。

長谷円 ‏@hasetubura 1月18日
書き手を食いつぶすようなシステムなのに、すぐに限界が来て当たり前だと思わないのかなぁ… なんで200円とか500円で売っている読切が、作者の売上1円とか1円以下になるのかわからぬ…

TQ® ‏@taqqqro 1月20日
神絵師も多数載っている某有名なイラスト本の編集部から絵を載せませんか?という依頼が去年来たのですが、無償でという話だったので断りました。装丁担当のスーパーデザイナーさんには数十万円単位で報酬が入ってるだろうな~って想像できた分、イラストの価値の低さが強調されて聞こえたんですよね。

阿部清子 ‏@AbeChocotama 1月23日
誰か個人のために描いてる訳じゃない、画商の為に描いてる訳じゃない。では自分の為かと言うと違う。美?の為に描いてんの。
美を信じてる人達と「役割分担」して美に尽くしたい。だからこっちの役割に越権や侵害や利用や搾取や支配とかしてくる人とは組みたくない。誰かの小道具じゃないのよ私

n_n ‏@henoko_tushin 1月28日
小学館はビッグコミック、少年サンデーを中心にネトウヨ並みの中国脅威論をマンガで展開。自衛隊の島嶼戦略やオスプレイ購入を肯定しデマや虚偽を物語として青少年に植え付ける洗脳的なメディア展開をしています…MXテレビより悪質




ある時代を生きた証言になりうるような本を集めております。↑左上の『いま明かす戦後秘史』では、フジサンケイグループを今のような形につくり上げた総帥・鹿内信隆が、陸軍経理学校にいた頃、いかに慰安所を営んだか、を悪びれるどころかむしろ自慢話のように詳述。既に他で紹介されているが、いずれ当ブログで取り上げることもあるでしょう。

その右側に永島慎二の『漫画家残酷物語』。冒頭に引用した、ひさうちみちおさんの本の中で、彼がプロの漫画家を志すのに大きく影響した作品として挙げられており、買い求めた。もっと判型の大きい、新たに編集された版でも出ているようだが、私は小学館文庫(全4巻)で欲しかった。

私が小6になる春(1976年)、小学館を皮切りに、漫画の文庫化ブームが到来。すぐに講談社・集英社・秋田書店などが続いた。小学館は「小学館文庫」。講談社は「講談社漫画文庫」。両社はサンデーとマガジンの創刊当時から、特に漫画界の覇を競うライバル関係にあり、小学館文庫・講談社漫画文庫は装丁の格調や作品のセレクトなど、文庫化ブームの中でも漫画の位置付け自体を高めようという意欲の感じられる点で抜きん出ていた。

小6の夏に、親戚の家に泊って、従姉が偶然貸本屋から借りてきていた『火の鳥・復活編』を一晩読みふけり、私の人生は変った。後にデビッド・ボウイに出会ったのと同じくらいの衝撃度だ。同じ年には文庫化ブームで「ねじ式」にも出会っている。漫画は私にとって、映画や小説より重要な存在であり続けている。が、世間的には決してそうではない。蔑視されている(私が出会った頃『火の鳥』は一般の書店では流通しておらず幻の作品だった)。小説より上だなんて、とんでもない。私も、よい漫画は極めて少ないと思う。最近の売れ筋の漫画など、手に取る気も起こらないが、当の出版社や場合によっては漫画家自身も、漫画を卑下しており、そのこと自体が漫画を縛って、低い位置にとどめ、また出版不況に伴い稿料や労働条件さえ現状維持どころか切り下げられる要因となっているのだ。




「売れたら負け・描きたいものを自由に描く・ビンボーがかっこいい」という、ひさうちみちおさんの話。漫画家残酷物語やガロ誌によって培われた、この考えは、負の側面もある。ガロの原稿料は1ページ500円という信じられない安さ。それも「あるとき払い」。経営は常にカツカツ。

それでもユニークな顔ぶれがガロで描きたがった。出版は昨年の売上高が1兆5千億円=国民一人当りにならすと1万円ちょっとと、大きな経済ではないが、影響力はもっと大きい。ガロが細々とでも続けてこれたのは、そこで頭角を現せば、出版に限らない他の仕事につながって、経済成長やバブルのもたらす余禄に預かることができたから。一目で分かる作家性がある強み。

版元の青林堂は、90年代に内紛があって、青林工藝舎と青林堂に分裂。先ごろ、青林堂から元タレントの千葉麗子が本を出し、神保町の老舗書店・東京堂書店に併設されたホールを借りてサイン会を行おうとしたのだが、いわゆる「ヘイト本」のため、内容を知った東京堂書店がホール使用をお断りし、サイン会中止の運びに。百田バカやネトウヨは「左翼が脅迫電話で中止に追い込んだ」とウソ・デマを流してプチ炎上。

↑のツイートによれば、最近は小学館の一部の漫画もひどいらしいね。かつて萩尾望都も白土三平も小学館文庫で揃えたのに、残念なことだ。貧すれば鈍す。すなわちガロの「ユニークな個性」は青林工藝舎が継ぎ、「漫画家を安く使って影響力を行使」は青林堂が継いだといえよう。沖縄ヘイトのDHC『ニュース女子』のスタッフは、百田バカの殉愛に携わっており、殉愛が扱ったやしきたかじんの番組に野党時代の安倍首相がよく出ていたそうだ。ネトウヨの火元はとても狭い内輪の世界。

蔑視されがちでも漫画・アニメ・ゲームは子どもにとって夢の世界。人付き合いの苦手なナイーブな若者を囲い込んで、常識外れの低賃金で働かせて搾取し、使い捨てることが可能。生み出されるコンテンツが麻薬のようにさらなる若者を誘い込む。デフレ永久機関。♪いつか動かなくなる時まで遊んでね~



マンガの方法論 マンガの経済学 お金とマンガの不思議な関係
ひさうちみちお
朝日新聞出版
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