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旧作探訪#15『刑事ジョン・ブック 目撃者』

2008-03-01 23:37:50 | 映画(レンタルその他)

Witness@レンタル、ピーター・ウィアー監督(1985年アメリカ)
暴力は銃で制す。男はそう思っていた。しかしある事件を通じ、暴力にはまったく無抵抗、あたかも風にそよぐ稲のようにしなやかに生きている人々に出会った…。
刑事殺害事件を縦糸に、ジョン・ブックとレイチェルの出逢いと愛情を横糸に、アーミッシュ(ペンシルバニア州などで現在でも18世紀当時の生活様式で暮らしているキリスト信徒)社会という特殊な世界を背景に織りあげたロマンチック・サスペンスの傑作。
事件はフィラデルフィア駅構内で起きた。麻薬課の刑事が何者かに殺されたのだ。目撃者はアーミッシュの8歳の少年サミュエル(ルーカス・ハース)。担当刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)はサミュエルを証人として捜査にあたるが、犯人は意外な人物。なんとブックの上司シェイファーが黒幕で、警察内部の腐敗による組織的な犯行だったのだ。逆に一味から命を狙われてしまい、傷ついたブックはサミュエルとその母親レイチェル(ケリー・マクギリス)が住むアーミッシュの村に身を隠した。レイチェルはブックを親身になって看病し、回復したブックはアーミッシュの村の機械文明を拒む素朴な暮らしに触れ、やがて二人の間には愛情が通ってくるのだが、村のおきてはそれを望まない。
そしてさらにジョン・ブックと目撃者サミュエルの口を封じようと、3人の男がペンシルバニアの夜明けの静寂を破ってやってくる…。

オールド・スクールなアクション映画であり、『チョコレート』のような異文化間の恋愛映画であり、そしてまた社会派ドキュメンタリーとしての意義も兼ね備える。
公開当時に見てもドキュメンタリー要素からいろいろ考えさせられることはなかったかも。待った甲斐あり。
ここに描かれるアーミッシュの生活は、電気や自動車を拒み、建築作業や農作業は全員で力を合わせ、教会で神に祈ることをなによりも大切にするが、特に狂信的な宗教集団というわけではない。アルプスの少女ハイジ風?もともとはスイスのドイツ語圏から渡ってきた移民なのだとか。
牛の乳しぼりも農作業も土木作業もすべて自分の手で行い、手に負えない、コントロールできないようなことは生活に取り入れない。
現代社会のわれわれは、テレビ、自動車、ケータイ、パソコン、自分の手では修理ひとつ満足にできないものに囲まれて暮らしてるじゃないですか。
オラの母親はビデオの録画予約もできなかったがミシンや編み機を操作して洋裁をすることができた。父親はパソコンなど触ったこともないが印刷の職工で園芸や日曜大工も器用にこなした。もはや永遠にそれらを受け継ぐこともできず、どうしてつながるのかさっぱりわからないインターネットに依存して生きるオラは、どう考えても進化ではなく退化している。
オラほど無能でなくとも世の中全体もそうした方向に進み、またそのスピードも加速するいっぽう。国家が巨大化すればアーミッシュのような原始共産・直接民主のやりかたを続けることはできない。それにしても機械文明や高度資本主義社会の行く末やいかに。誰もやりたがらない精肉工場の過酷な仕事を、弱い立場の不法移民に低賃金で押しつけ、あまつさえ「家が持てますよ」と甘い夢を見させて高金利の借金の奴隷に仕立てる。
「食の安全性」も「サブプライム問題」も、現代世界全体が、あまりにも多すぎるさまざまな要素を積んでよろよろ進む車のようなもので、もはや誰も制御できない。
今年、直接民主制では世界でもっとも影響力のあるアメリカ大統領選挙が行われるじゃないですか。「公的な医療保険制度の創設」を訴えてたヒラリー・クリントンが負けそうな様子ですが、オバマとかマケインとかは医療保険についてはどうなのか。
公的な医療保険が導入されると、民間の保険会社のやつらはいろいろと不都合なことが起こるよなあ。
♪よ~く考えよ~~お金は大事だよ~~AFLAC・誰にとって大事なのか言ってみんさい。消費者金融が♪忘れないで~お金よりも~たいせつなものがある~と歌うにっぽんもなかなかタメ張ってる㌔な。


L刑事ジョン・ブック 目撃者 (英語/日本語字幕)

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