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Neil Diamond Playlist

2015-06-17 21:11:56 | 音楽
気難しいシンガー・ソングライター。ディランよりは快いがバカラックよりは暗い。ダイアモンドのヒット曲はおびただしい数にのぼるが―トップ40に入ったものが20曲以上ある―明らかに、それが彼の真からの願いであるのに反し、ディランのように「シリアスな」アーティストとしての自分を確立したことがない。


1979年に出た、最初のローリングストーン・アルバム・ガイド(当時はレコード・ガイド)で、ニール・ダイアモンドの項目は、このデイヴ・マーシュによる辛辣なコメントから始まる。
アルバムの評価も総じて低く、ベスト盤に★4つ、ライブHOT AUGUST NIGHTに★3つ付いているのが目立つ程度。

ローリングストーン誌は、ヒット曲を生むティン・パン・アレー(音楽関係者の集まっているニューヨークの地区)が没落し、代ってロック音楽がアルバム単位で社会現象にまで至るのと並行して発言力を築いてきた雑誌なので、他人に大ヒットを提供しつつ、自分はヒットが多いわりに名盤といえるアルバムの見当たらないダイアモンドのようなタイプは、中途半端な存在に過ぎないというわけか。「ディランやポール・サイモンのようにアーティストぶらず、背伸びしない時こそ才能が最大限に発揮される」との指摘も。

私が洋楽を聞き始めた頃、アメリカで1位になっていた、バーブラ・ストライサンドとの甘いデュエット曲(15)。が、2人ともユダヤ人であることを知る時、甘さは苦さに変る。
白人の音楽、黒人の音楽、都市の音楽、南部の音楽、あるいはクラシック、ジャズ、ロック、オルタナティブと、アメリカの音楽をさまざまに彩るカテゴリーを、まるで共通の回答であるかのように、どこまでもユダヤ人の音楽がしぶとく貫く。

ディープ・パープルやUB40のカバー・バージョン(5, 19)にも、かすかに宿るニール・ダイアモンドの体臭。
あるいは、彼がBang⇒Uni(MCA傘下の今はないレーベル)⇒Columbiaと所属レコード会社を変え、すべてを網羅する手頃なベスト盤がないことも、(特に日本での)過小評価につながったのかもしれないが、THE JAZZ SINGERを経て、いま常に曲の単位で相互的に音楽の力が問われるデジタル時代を迎え、マーシュが引き合いに出した人たちに劣らぬ重要な存在であることがおのずと知れよう―






iTunes Playlist "NEIL DIAMOND PLAYLIST" 78 minutes
1) Solitary Man / Neil Diamond (1966 - The Bang Years 1966-1968)
2) Cherry, Cherry / Neil Diamond (1966 - The Bang Years 1966-1968)



3) I'm a Believer / The Monkees (1966 - The Definitive Monkees)
ダイアモンドの未レコード化の持ち曲を、「作られたアイドル」モンキーズが歌い、1966年暮れから翌年まで7週連続米1位の大ヒット。ダイアモンド自身も注目を浴びることに

4) Shilo / Neil Diamond (1967 - The Bang Years 1966-1968)



5) Kentucky Woman / Deep Purple (1969 - The Book of Taliesyn)



6) Sweet Caroline / Neil Diamond (1969 - The Neil Diamond Collection)
幼いキャロライン・ケネディ(現駐日アメリカ大使)の姿に触発され、この曲を書いたという。米4位のヒットで、90年代以降MLBボストン・レッドソックスの本拠地の試合中など、さまざまなスポーツの試合で流れることでも知られる。2013年、ボストン・マラソンが爆弾テロに襲われた際、応援の意を表するためライバル球団ニューヨーク・ヤンキースのホームゲームでも使われて話題に



7) Juliet / Neil Diamond (1969 - Gold)
8) Cracklin' Rosie / Neil Diamond (1970 - The Neil Diamond Collection)
9) I Am... I Said / Neil Diamond (1971 - The Neil Diamond Collection)
10) Stones / Neil Diamond (1971 - The Neil Diamond Collection)
11) Song Sung Blue / Neil Diamond (1972 - The Neil Diamond Collection)
モーツァルトのピアノ協奏曲21番2楽章から想を得て書いたとのこと。Cracklin' Rosieに次いで2曲目の米1位に



12) Girl, You'll Be a Woman Soon (Live) / Neil Diamond (1972 - Hot August Night)
スタジオ・バージョンは67年リリース。映画『パルプ・フィクション』でアージ・オーヴァーキルによるカバー・バージョンが使われたことで再評価が高まる

13) Holly Holy (Live) / Neil Diamond (1972 - Hot August Night)



14) If You Know What I Mean (Live) / Neil Diamond (1977 - Love at the Greek)



15) You Don't Bring Me Flowers / Barbra Streisand & Neil Diamond (1978 - The Essential Barbra Streisand)



16) Forever in Blue Jeans / Neil Diamond (1978 - You Don't Bring Me Flowers)
ジーンズのCM等にも使われ、中期以降の最人気曲の一つに



17) America / Neil Diamond (1980 - The Jazz Singer OST)
18) Love On the Rocks / Neil Diamond (1980 - The Jazz Singer OST)
彼自身が主演した映画『ジャズ・シンガー』はサントラ盤が大ヒットしたものの、映画はさんざんで、第1回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)の最低男優賞を受ける結果に



19) Red Red Wine / UB40 (1983 - Labour of Love)
彼自身のバージョンは67年リリース。69年にTony Tribeなるシンガーがレゲエ風にカバーしていたのに基づく、UB40のバージョンが83年に英1位、88年に米1位



20) Tennessee Moon / Neil Diamond (1996 - Tennessee Moon)



21) What's It Gonna Be / Neil Diamond (2005 - 12 Songs)



22) The Art of Love / Neil Diamond (2014 - Melody Road)
最新作で32作目のスタジオ・アルバム。2011年にロックの殿堂入り。74歳の今も元気な様子だ



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