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Kim Carnes Playlist

2014-08-24 21:10:11 | 音楽
ここ1年ほど、伊集院光、おぎやはぎのジャンク(TBSの深夜ラジオ)に加え、有吉弘行の日曜晩のFM番組を翌週にYouTubeでチェックするならわしなのだが、この3組のラジオ・パーソナリティーの中では有吉が抜きん出て面白い。
投稿ネタだけでなく、彼がアシスタント(同じ事務所の中堅・若手が月交代で務める)を相手に繰り広げるフリートーク部分に、私の高1~高2時の友人・永田との性格的類似が感じられ、懐かしい気持ちになるのだ。

畳み掛けるように下ネタ系のボケを重ねてくるところや、アシスタントへの容赦ない、しかし愛あるダメ出し。
永田とは同じ笹塚中で、中学の頃は話す機会はなく、高校で同じクラスになって意気投合したのだが、彼には私と異なり、軽妙な話術や、高偏差値の都立高でもクラスのリーダー格になれるような人望があった。
一方で、私・永田・村松の3人でツルんでいたのを、千野・奥村・山岸に交友を広げるにあたって、村松を除け者にするよう私に指図するような、ちょっと打算的で冷酷なところがあった。

似てるでしょ、有吉と。
そして、高2で私だけ別クラスになってしまい、それでも彼らを訪ねてツルんでいたのを、7月~9月にかけて私が次第に千野を熱烈に好きになってしまい、ダメ出しも糞も手の施しようもなく、10月のある日、今度は私がハブにされてしまったというわけ。
この過程で、私や永田や千野の背景に共通して流れていた大ヒット曲こそ、キム・カーンズの「ベティ・デイビスの瞳(Bette Davis Eyes)」であった。




この曲は、1981年の全米チャートで5月~7月に、途中ビートルズの曲をつなげてカバーした変なメドレー曲に1週譲るものの、計9週にわたって1位に輝き、翌年のグラミー賞でも主要2賞を受けた大ヒットなのだが、なかんずく当時の日本の若者にとって、その年に始まったTV番組『ベストヒットUSA』で流れたビデオクリップが与えるインパクトは多大であった。

マニッシュなスーツ姿で金髪をなびかせ歌うキム・カーンズ。彼女が地下世界の女王であるかのように取り囲み、ビンタし合ったり床を叩いたりする、サーカス団員のように異様な人びと。
今にして思えば『カリガリ博士』とかフェリーニ、ホドロフスキーの映画のようなビザールな世界観を、そうした名前も知らない頃、強力な音楽と共に3分半に凝縮して見せてくれたこのビデオは、前年のボウイの "Ashes to Ashes" と共にMTVのブーム火付け役となり、われわれを洋楽の世界に強力にいざなった。

この時点で彼女は36歳、カントリー/フォーク系で独特なハスキー・ヴォイスを聞かせてきたベテランだったが、前年にスモーキー・ロビンソンの "More Love" をウルトラヴォックスのようなシンセ・ポップに仕立てたカバーがヒット。
プロデューサーのヴァル・ギャレイによるこの路線を、さらに突き詰めたのが、ジャッキー・デシャノンの軽快なカントリー・ソングを、SM女王様のような倒錯した形に生まれ変わらせた "Bette Davis Eyes" であった。

自作の素朴な曲も収められたアルバム "MISTAKEN IDENTITY" も米1位となり、この成功で大きな期待がかかるなか翌82年にリリースされた次作アルバム "VOYEUR" (仏語で「覗き見」の意)は、保守的な人が無理してトンガった表現を試みているような、わが国のアニメや同人にも似た奇妙な魅力のある作品集だったが、セールスは盛り上がらず、以降、彼女の活動は次第に静かなものとなる。

提供した曲が2度ほど米カントリー・チャートで1位になるなど、元のカントリー/フォーク畑に戻り、69歳の今も活動中と伝えられるが、ベティ・デイビスの瞳は今もわれわれを捉える。
2012~13年には "MISTAKEN IDENTITY" など全盛期のアルバム5作が紙ジャケ米盤として再発。おそらく買い手の半分くらいは日本人では。
キム・カーンズ、千野、永田…1981年の夏は、私にとって、いつまでも終わることがない–





iTunes Playlist "Kim Carnes Playlist" 37 minutes
1) Swept Me Off My Feet (The Part of the Fool) (1980 - St. Vincent's Court/Romance Dance)



2) When I'm Away from You / Frankie Miller (1979 - The Very Best of Frankie Miller)
3) More Love (1980 - St. Vincent's Court/Romance Dance)



4) Bette Davis Eyes (1981 - Mistaken Identity)
5) Hit and Run (1981 - Mistaken Identity)



6) Looker (1982 - Voyeur)



7) Invisible Hands (1983 - Café Racers)



8) Crazy in the Night (Barking at Airplanes) (1985 - Barking at Airplanes)



9) The Heart Won't Lie (feat. Vince Gill) / Reba McEntire (1992 - At Her Very Best)



10) If I Was an Angel (2004 - Chasin' Wild Trains)



Voyeur
Culture Factory
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