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『敵こそ、我が友 ~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』

2008-08-06 21:57:16 | 映画(映画館)
Mon Meilleur Ennemi@銀座テアトルシネマ、ケヴィン・マクドナルド監督(2007年フランス)
クラウス・バルビー―先天の怪物か、戦時の産物か!
クラウス・バルビーの一生は、一個人の冷血非道というよりは政府や政府が秘密裏に動かす組織との醜悪な関係なしには成り立たなかった。第二次大戦後、ともに勝者となったアメリカとソ連はすぐに冷戦に突入。ソ連の共産主義が広まるのを防ぎたいアメリカは、敗戦国ナチス・ドイツの幹部で、さまざまな残虐行為にも直接関与したバルビーを戦犯と知りつつも対ソ連の諜報活動に利用し、彼をバチカン右派の神父たちの助けを得て南米へ逃走させることまでしていた。その南米ではチェ・ゲバラらの左翼革命運動に対抗するいくつもの軍事独裁政権が誕生。バルビーはボリビアの軍事政権を支援しつつ、自らを総統とする第四帝国の再建さえも企てたが、1982年に軍事政権が倒れて左派政権が樹立されるとついに逮捕され、フランスに送還されて裁きを受けることになった。



戦争は今も続いている―
ヒトラーは、ユダヤ人を完全に掃滅させてしまうのでなく「姿の見える敵を持っていることが絶対に必要だ」と語ったとされる。
国民の不満が為政者に向かうことをそらすために、常に「仮想敵」をつくり、戦争に近いような状態を演出する。橋下徹や小泉純一郎のようなファシストの資質じゅうぶんなポピュリストが「抵抗勢力」とのバトルを演出するゆえんである。
自分たちの家族や親戚が兵隊にとられて死んでしまうかもわからない、日中戦争の戦局がどんどん拡大してゆき太平洋戦争となってゆくときでさえ、国民はそれを熱烈に支持した。
ましてや自分たちの身に危険のおよばない、テレビでプロレスを楽しむように政治家のバトルを高みの見物できるとしたら。
身の危険およばないようでいて、もっと根本のところで危険のおよんでいる。政治家や軍人の獣性の強さというものは、通常の犯罪者の数十倍~数万倍。
最近の殺人犯は被害者など「誰でもよかった」~政治家や芸能人がマスコミを通じて暴言を吐くのも、視聴者は誰でもよい。殺人犯は逮捕されるが、政治家や芸能人はどれだけ悪意の種を撒いても飽くことを知らず野放しのまま。ドイツ占領下のフランスで、レジスタンス活動家やユダヤ人に対して背筋の凍るような残虐行為を行ったクラウス・バルビー。晩年に逮捕されて、裁判の席で同じように年老いた被害者たちの証言を聞いても平然。うす笑いさえ。
弁護士の言葉がふるっている。「彼は組織の方針に従ったに過ぎない。このような顔も名もない暴力行為は、以後も絶え間なくあらゆる国家によって採用された」
「顔も名もない暴力」という言葉に、「誰でもよかった」殺人と一脈通じるものが流れてはいないか。ひょっとすると第二次大戦は今でも続いているのかも…
ドイツと同じように日本も敗戦したものの、どちらの国もアメリカによって共産主義に対する防波堤として利用されることとなった。岸信介、児玉誉士夫、笹川良一という、なんらかの取り引き材料のため戦犯訴追を免れた、日本のクラウス・バルビーたち。その材料の中には、中国人捕虜に対して細菌兵器などを人体実験した731部隊のデータも含まれるとされる。
戦時中に特務機関を指揮して、中国大陸で大がかりな麻薬売買を行ったとされる児玉。盟友・笹川の三男・笹川陽平が「たばこを1000円に」との火付け役となったのは、売国右翼によるアメリカン・ジョークのつもりでしょか。
卑劣な手段による不倫の発覚した渡辺和洋アナが、山本圭一のような長期間の謹慎をくらうこともなく、右翼フジ産経の意向というわけでもないが「竹島は日本の正当な領土です」とかの原稿を読むのけ?あほづらのくせに奸智には長けちゃって。
韓国の若者がさあ、アメリカ産牛肉輸入反対とか大統領への反発とか竹島問題での反日とか理由はどうあれ、即座にデモ行進とかを組織できちゃう連帯意識なり権利意識がうらやましいよ。
日本人はなんでも他人事で、ジャンクフード食いながら寝そべって右翼の妄想みたいなテレビ見たりゲームやったりケータイいじったりしてんだろ?
竹島だってデモ行進とかするほうの領土になりたいに決まってんじゃん!「人間をおとしめる」作戦が図に当たりすぎまちたな。
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