和田山企画 公式ブログ

山口県下松市にある、フリーランスのライター・ディレクター・イベンター、大橋広宣の個人事務所・和田山企画の公式ブログです!

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熱球

2008-05-24 04:21:30 | Weblog
本屋さんでブラブラしていたら、「熱球」という重松清さんの小説に出会い、タイトルに惹かれ、購入しました。

「熱球」と言えば、僕にとっては、山口市にある名門・山口高校の応援歌として、忘れられない歌の題名です。

僕は山口市で生まれ育ちましたが、山高OBではなく、その隣り町の高校に行きました。山高は旧制中学の香りが僕たちの時代も少し残っていて、バンカラだけど進学校、という自由な気風に僕は中学時代からあこがれを持っていました。

当然、僕の成績では行けるはずもなく、高校生になってからは山高生に対してコンプレックスも持っていたのですが、高校2年のころ、山高生の友達から「クラス対抗の合唱コンクールで校歌が課題曲で、自分たちで編曲しなければならないんだけど、お前、やってくれない?」と頼まれました。

僕は成績はドツボでしたが、高校に入って音楽だけは何故か得意になって、吹奏楽に熱中していました。独学でピアノなんか弾いたりして、編曲や作曲が趣味だったので、それを知った友人が依頼してくれたのです。

「いいよ」と500円で依頼を受けたところ、それが意外に好評で、今度は別のクラスのヤツが頼んできました。

それで「コウノミネ・・・ふうかーきー、みーどーりのー」とすっかり、他校の校歌を暗記してしまいました。

そのとき、編曲を依頼してきた友人から「俺達山高生にとっては、この校歌は大して大事じゃない。やっぱ、熱球なんだよね」と言われ、初めて「熱球」という歌を知りました。

「どんな歌なの?」と聞くと、友人はその場で歌ってくれましたが、聞いていて身体が熱くなるような、本当にいい歌でした。

それから数カ月経って、当時山高の3年生で尊敬していた中学時代の先輩・Hさんが、アメリカに留学することになりました。

僕は駅まで見送りに行ったのですが、ホームにはHさんの山高の同級生や後輩たちもたくさん来ていました。

そのとき、山高の先生もやって来て、その先生が「おいお前ら、熱球で送りだすぞ!」と言うと、みんな、ホームに並んで「熱球」を歌い出したのです。

Hさんは感激で泣いていました。僕はその姿を見て、心から感動しながらも、山高生ではない故に、「熱球」は歌えるのに、その輪に入れないのが残念だったのを今でもよく覚えています。

でも、歌の「力」というか、ひとつの歌が持つ伝統やエネルギーのようなものを感じて、その体験はのちのち僕にとっても大切なものになりました。

そのずーっと後に、僕はまちや保育園、会社の歌を作ったりしましたが、イベントを企画するとき、音楽や歌を大切にする姿勢は、このときの経験が大きいと思います。

ちなみに、下松市のショッピングセンター、ザ・モール周南で午後5時になるとかかる「来てごらん」というCMソングは、僕の作曲です。

「熱球」という歌にはそんな思い出があるのですが、この小説、読んでみたら、何と、そのものズバリ、山高の「熱球」をモチーフにした小説でした!

小説では「周防高校」が舞台で、「熱球」は歌ではなく、その野球部に昔から継がれてきた精神として登場しますが、あとがきを読むと重松さんの母校である「Y高」の応援歌で、それを同級生がみんな大切にしていて、同窓会でその歌をモチーフに小説を書くことを約束させられた旨のことが書いてありました。

重松さん、直木賞作家というぐらいの知識しか僕にはなかったのですが、実は山高出身だったんですね。僕と同世代ですから、同じ時代に山口市で高校生をしていたんだ、とビックリしました。

小説は素晴らしい物語で、僕も感動しましたが、是非、映像化されたものも見てみたい、と思いました。この小説がきっかけとなり、各地の高校野球部のOBたちが甲子園で大会を開くことも実現したそうです。

ひとつの歌がここまで広がるなんて、やはり、歌には「力」があります。ちなみに、最近知ったのですが、この「熱球」という歌、もともとは旧制第七高等学校(現鹿児島大学)の応援歌だそうで、他にも応援歌として歌っている高校があるそうです。

これを知ったのは、第七高等学校をモチーフにした映画「北辰斜にさすところ」の上映会で、この映画の原作・脚本を担当された室積光さんのトークショーの司会をさせて頂いた縁からでした。

「熱球」という歌との不思議な縁を感じました。この歌、山高のOBにとっては、本当に特別な歌なので、山高OBではない僕がこんなことを言うのは申し訳ないのですが、僕にとっても、特別な歌なのです。

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1 コメント

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本、読みました! (有富)
2015-10-04 22:53:21
私は、隣の防府の出身です。
この熱球のあとがきか前書きに出てくる同級生は、たぶん戸野さんという防府から山高にいった私の中学の先輩のことだと思います。一年から試合に出て活躍してましたから!ちなみに、私はその戸野先輩とは、町内会も一緒で兄が同級生だったので、かなり思い出があります。

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