和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

京都の夏。

2018-06-20 | 短文紹介
京都の古本屋さんから
堀口大學の詩集「東天の虹」(彌生書房)を買う。
送料共で480円。函入りでした。

この詩集の最後の詩を引用。

   ご時世

  天下の形勢
  変りなし

  物は高いが
  詩は安い



有難いことに、古本も安い(笑)。
うん、せっかくなので、この詩集から
詩をもうひとつ。


    念じていれば

  雲をつかむような思いも
  
  念じていれば
   
  詩に凝(こご)る



さてっと、古本で注文してあった
池島信平著「雑誌記者」(中央公論社・単行本)が
届く。送料共695円。装幀・花森安治。
表紙カバーはというと、
机上に、鉛筆・ペン・Peace(たばこ)・手帳・メガネ
ポケットウイスキー(VAT69)・懐中時計・クリップ
インクツボ・それにライターみたいなマッチ箱(?)、
携帯の鉛筆削りらしきもの。
用紙の角を手でちぎってあり、その断片に
題名と著者名と出版社名が記載。

それらを、上から写真撮影した表紙。
「暮しの手帖」の表紙でおなじみの感じですが、
花森氏が思い描く編集者の机が簡潔に、
表現されておりました。

ちなみに、中公文庫にある
池島信平著「雑誌記者」には解説があり、
その解説は、今日出海。

はい。この解説から適宜引用。

「菊池寛氏が文藝春秋も大きくなる一方で、
今年から社員を公募すると言って、確か文化学院
だったかの教室を借りて入社試験を試みた。その日の夕方、
『どうだ、君に出来るか』
と菊池さんは自分で考えた試験問題を私に見せた。
なかなかむずかしい問題だ。
『これを皆んな出来た奴がいるんだよ』
そんな俊秀の池島が入った時、入社一番先に
彼は私に親しげに話しかけて来たのが
因縁のそもそもだった。・・・」

解説の最後には、京都の夏が登場しており、
そこを引用。

「私が眼が悪くなった時、
東京ではどうしても癒らず、
京都の病院へ行く羽目になり、
彼がつき添って京都まで行ってくれたものである。
そして入院の手続きやら、・・・・
そして約半年の入院生活中、
必ず毎月見舞いに来てくれた。

京都の暑さに辟易して、着くと直ぐ
上りの列車に乗って帰ろうかと思ったよと言いながら、
終日枕頭に坐って、面白い話をしてくれ、
看護に疲れた妻を連れて、飲みにも行ってくれた。
いま思い出しても、池島の明るい笑顔が浮かび、
涙さえ出そうになるのである。
・・・・
京都に入院中私の妻を連れて、貴船の料亭といっても、
あの急流に板を渡した納涼大衆の飲み屋で、
鮎を御馳走してくれるのだが、
京都の町家の連中と同じく、
池島も料理が出る前に汗に塗(まみ)れた
アンダーシャツを川で洗い、
手すりに乾しておき、
裸で一杯飲んでいるうちに乾くという
趣向を喜んでいたと、妻はよく思い出しては笑っていた。」


はい。今日みたいに一日中雨の日は、
こんな夏の一日を想像してみたくなります。
とくに私は汗かきで、暑い日はすぐに肌着が
ビチョビチョになるタイプでして、
こんな風にして、一杯やるなんて、
最高の贅沢なんじゃないかなあと、
夏の一日を思うわけです。


せっかく、京都がでてきたので、
今月発売の「新潮45」7月号の
特集「こんな野党は邪魔なだけ」
から八幡和郎氏の文を引用。
そのはじまりから

「安保法制で国会が荒れた3年前から、
現在にいたるまで、京都市民のかなり多くは、
テレビ報道の動画や新聞報道の写真を見て、
複雑な気分になりっぱなしである。

福山哲郎立憲民主党幹事長など
京都選出の旧民主党系の議員たちが、
共産党の幹部と一緒に演説したり、
乱闘国会での武闘派として醜悪に歪んだ顔で絶叫し、
政府を口汚くののしるのを見せられているからである。
とくに、共産党との共闘については、
裏切られたという思いが強い。

なにしろ、京都では、
日本共産党との戦いというのが、
政治における最大の関心事なのである。
京都の政治地図は他都道府県とまったく違ったものだ。
なにしろ、日本でいちばん共産党が強い都道府県なのである。

・・・・・・・
また、京都府知事選挙や京都市長選挙では、
共産党系候補vs.非共産党系候補の熾烈な争いが
毎回、繰り広げられている。

・・・・
なぜ、共産党がかくも強力かといえば、
大学が多く人口の約1割が学生だとか、
教員が多いというのも理由だ。それとともに、
革新府政が長く、他の都道府県では考えにくい
分野に共産党が進出していることもある。・・・」
(p24~25)

そうか。京都の夏。そして政治。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 思考をシャットダウンさせる... | トップ | 併読紙である。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
京都の夏 (きさら)
2018-06-22 08:23:52
京都>大阪>神戸
暑さの順位です(笑)

先日も京都を訪れましたが
鴨川では有名な光景~
 たくさんのカップルが少し間隔を開けて 河原に腰掛けていました。蚊がこないのかなあ~ もっと空いた場所に座ればよいのに~と 橋から見下ろすオバサンでした。( ̄▽ ̄)V
鴨川の流れ。 (和田浦海岸)
2018-06-22 09:41:53
鴨長明なら、
ひとり川を見ている。
カップルは、
ふたりして、ゆく川の流れを見てる。
そして
おばさんは、
川の流れを見ているカップルたちを、
心配そうに、橋の上から見ている(笑)。

川は、流れている。

コメントを投稿

短文紹介」カテゴリの最新記事