さて今週はフランスの名ソムリエ「ギ・ヴィアリス」考案の「シャトーラギ
オール(Chateau LAGUIOLE)」と、世界的な有名デザイナー「フィリップ・
スタルク」考案の「ライヨール(LAGUIOLE)」ソムリエナイフの違いについ
てご説明致します。
お互いに、古くから「LAGUIOLE村」で活用されている、流れるようなライン
形状が特徴のナイフをデザインしたソムリエナイフだけあって、一見、雰囲
気がよく似ているのですが、よく見比べれば細部のデザインや作りはまった
く違い、握った感触や使用感はまったく異なるのです。
【シャトーラギオール】
▼ボディ▼
ライヨールナイフの優雅で緩やかにカーブしたハンドルが、手にフィットし
て一体感を作り出す形状が人気です。
ソムリエコンクールの上位入賞者のほとんどが使用しているだけあって、プ
ロなどの使用頻度が多い場合にも耐えられるよう フォイルカッターやスク
リューの出し入れが硬くなっているのですが、自分好みになじませる楽しみ
があるという人も多いです。
▼スクリュー▼
コルクにより深く入るよう根元が矢の形になっています。
▼フォイルカッター▼
ノコギリ状の刃の部分が30mmと長く、少ない力でボトルの周囲を回転出来る
のが特徴。
▼ライヨール村のシンボルマーク(ミツバチ)▼
ティエール産シャトーラギオールのほうが、伝統的なラギオールのミツバチ
マークをそのままに使用しています。
【ライヨール】
▼ボディ▼
村の伝統を見直し守っていこうと設立した会社製品だけあって、ハンドルに
は大小の鋲(びょう)で十字架の模様が付けられています。
これは昔、ライヨール村の牧童たちが十字架の装飾が付いたナイフを大地に
刺し、神にお祈りをしていたなごりなのです。
シャトーラギオールに比べるとハンドルの中央にやや膨らみがあり、握った
ときにこの厚みが手にやさしく安定感があります。
▼スクリュー▼
スクリューはラギオール村のホテルレストラン「ミシェル・ブラス」のソム
リエがデザインに参画しているそうですが、スクリューの根元が直角になっ
ているためスクリューを深く入れるとコルクが崩れてしまうのが難点。
▼フォイルカッター▼
栓抜きを兼ねたフォイルカッターは、ボトル口にあてて回転させる動きを計
算して設計したノコギリ刃。根元にはフランスの特許庁にあたる機関に承認
を得た原産地表示を兼ねたロゴマークが刻印されています。
▼ライヨール村のシンボルマーク(ミツバチ)▼
シンボルのミツバチがモダンにデフォルメされていて、菱形の平らな金属板
が付いています。
以上のように、日本で有名な2タイプの「LAGUIOLE形ソムリエナイフ」は、
細かく比較すると違いがあるのものの、どちらも各社オリジナルの「本物」
なのです。
そこへ昨年、LAGUIOLE EN AUBRAC 【ラギュオール・アン・オブラック】社
がハンドルにロシアで発掘されたと言われている「マンモスの牙」を使用し
たソムリエナイフが発表され、またまた市場は混乱!
WACにも「マンモスの角を使用したシャトーラギオールが欲しい」と問い
合わせが来るぐらいでした。
※シャトーラギオールやライヨールには「マンモスの牙」を使用したソムリ
エナイフはありません。
さまざまな LAGUIOLE 形ソムリエナイフの中で、「こっちが使いやすい」と
か「このソムリエナイフの方が格好良い」などの議論が飛び交っていますが、
一番大切なのは「自分に合ったソムリエナイフを格好良く使いこなす」事だ
と思います。
皆さまも、惚れ込む1本を見つけ出し、大切にお使い頂ければ幸いです。
ソムリエナイフ続きとなりますが、次週からは「ソムリエナイフの選び方」
をお届け致します。
ワイン・アクセサリーズ・クリエイション(www.wineac.co.jp)