前回はフランス国内最大の刃物産地「ティエール」の誕生と「LAGUIOLE」の
ナイフがどのようにしてパリに進出したかを説明させて頂きましたが、今週
は「LAGUIOLE」形のソムリエナイフ(ワイン専用ナイフ)誕生から現在まで
の流れを述べたいと思います。
ライヨール村からパリへ移住した人々がカフェの経営で成功してから100
年後の事、フランス随一といわれる名ソムリエ、ギー・ヴィアリス氏がラギ
オールの村からやってきたカフェの主人達が持っていた美しいナイフに魅せ
られ、その独特な流線形をしたワイン専用ナイフ(ソムリエナイフ)の製品
化を考えていた。
しかし、そのころライヨール村の刃物産業はほとんど途絶えていたために、
ヴィアリス氏の注文に応えることが出来なかった。
そこで刃物産業の一大中心地、オーベルニュ地方のティエールにあるナイフ
ビルダー、1850年創業スキップ社の現当主サンジェスト氏に話しを持ち
かけ、1978年に共同開発して誕生したのが、ライヨール形最初のソムリ
エナイフ「シャトーラギオール」なのです。
それから3年ほど後の1981年、絶滅の危機にひんしていたラギオール村
のナイフ作りの伝統を見直し守っていこうと、村出身のカフェのオーナーら
5人の若者が「ライヨール・ナイフ」協会を設立。
1985年にはフィリップ・スタルク(日本では浅草のアサヒビール本社
屋上にある黄金のオブジェ「フラムドール」が有名)をデザイナーに迎え、
村の倉庫跡地にFORGE DE LAGUIOLE(ライヨール)社が誕生し、その10年
後の1995年にライヨール社がソムリエナイフを発売。
よく見比べば細部のデザインや作りはまったく違うものの一見、雰囲気があ
まりにも似ているために、販売店や消費者をこまらせる結果となったのです。
ライヨール社がソムリエナイフを発表した当時、すでに確固たる地位を築い
た「シャトーラギオール」はトゥール・ジャルダンをはじめとする名だたる
レストランのソムリエ達がこのナイフを使っていたが、そこへフランス歴代
大統領やあのジャック・イヴ・クストー船長(フランスの海洋学者で、アク
アラングの発明者でもあるそうです。)らも所持し、国民的ナイフのメーカー
として名をなしていたライヨール社が殴り込みをかけた格好になったのです。
スキップ社(シャトーラギオール側)の主張
Laguiole村の伝統とイメージを生かし「ソムリエナイフ」を生み出したの
は我が社である。ワインを熟知した者だけが真のソムリエナイフを作るこ
とが出来る。
ライヨール社(ライヨール ソムリエナイフ側)の主張
相手方はLaguiole村ではなく、ティエールという場所で作っている、我が社こそがLaguiole村の歴史を背負った本物である。
こうしてソムリエ案の「シャトーラギオール」とデザイナー案の「ライヨー
ル」は、いまだに熱い火花を交わす間柄となった訳である。
さて次週は、両社ソムリエナイフの違いと、新たなライヨール形ソムリエナ
イフの出現について説明を致します。
ワイン・アクセサリーズ・クリエイション(www.wineac.co.jp)
ナイフがどのようにしてパリに進出したかを説明させて頂きましたが、今週
は「LAGUIOLE」形のソムリエナイフ(ワイン専用ナイフ)誕生から現在まで
の流れを述べたいと思います。
ライヨール村からパリへ移住した人々がカフェの経営で成功してから100
年後の事、フランス随一といわれる名ソムリエ、ギー・ヴィアリス氏がラギ
オールの村からやってきたカフェの主人達が持っていた美しいナイフに魅せ
られ、その独特な流線形をしたワイン専用ナイフ(ソムリエナイフ)の製品
化を考えていた。
しかし、そのころライヨール村の刃物産業はほとんど途絶えていたために、
ヴィアリス氏の注文に応えることが出来なかった。
そこで刃物産業の一大中心地、オーベルニュ地方のティエールにあるナイフ
ビルダー、1850年創業スキップ社の現当主サンジェスト氏に話しを持ち
かけ、1978年に共同開発して誕生したのが、ライヨール形最初のソムリ
エナイフ「シャトーラギオール」なのです。
それから3年ほど後の1981年、絶滅の危機にひんしていたラギオール村
のナイフ作りの伝統を見直し守っていこうと、村出身のカフェのオーナーら
5人の若者が「ライヨール・ナイフ」協会を設立。
1985年にはフィリップ・スタルク(日本では浅草のアサヒビール本社
屋上にある黄金のオブジェ「フラムドール」が有名)をデザイナーに迎え、
村の倉庫跡地にFORGE DE LAGUIOLE(ライヨール)社が誕生し、その10年
後の1995年にライヨール社がソムリエナイフを発売。
よく見比べば細部のデザインや作りはまったく違うものの一見、雰囲気があ
まりにも似ているために、販売店や消費者をこまらせる結果となったのです。
ライヨール社がソムリエナイフを発表した当時、すでに確固たる地位を築い
た「シャトーラギオール」はトゥール・ジャルダンをはじめとする名だたる
レストランのソムリエ達がこのナイフを使っていたが、そこへフランス歴代
大統領やあのジャック・イヴ・クストー船長(フランスの海洋学者で、アク
アラングの発明者でもあるそうです。)らも所持し、国民的ナイフのメーカー
として名をなしていたライヨール社が殴り込みをかけた格好になったのです。
スキップ社(シャトーラギオール側)の主張
Laguiole村の伝統とイメージを生かし「ソムリエナイフ」を生み出したの
は我が社である。ワインを熟知した者だけが真のソムリエナイフを作るこ
とが出来る。
ライヨール社(ライヨール ソムリエナイフ側)の主張
相手方はLaguiole村ではなく、ティエールという場所で作っている、我が社こそがLaguiole村の歴史を背負った本物である。
こうしてソムリエ案の「シャトーラギオール」とデザイナー案の「ライヨー
ル」は、いまだに熱い火花を交わす間柄となった訳である。
さて次週は、両社ソムリエナイフの違いと、新たなライヨール形ソムリエナ
イフの出現について説明を致します。
ワイン・アクセサリーズ・クリエイション(www.wineac.co.jp)