フランスで104年の歴史があるカトラリー(ナイフやフォーク、スプーンなど)メーカー「クロード・ドゾルム社」の社長令嬢クロディーヌ・ドゾルムさんが来日した際のお話を…
ナイフを100年以上も製作してるだけあって、LAGUIOLEナイフの歴史にも詳しく、話しを伺ってるうちに新事実が分かったのです!
その前に「LAGUIOLEナイフって何?」という方もいらっしゃると思いますので簡単に説明をしますと、LAGUIOLEとは首都パリから南へ550km、フランスのほぼ中央にあるオブラック地域に存する村の名前です。(発音は「ラギオール」とも「ライヨール」とも呼びます。)
標高は1000から1500m位の山丘地帯に囲まれた平野で、昔も今も主たる活動は酪農、人口は1240人の小さな村です。この村で古くから使用されていた独特な流線形状のハンドルを持つナイフが「ライヨールナイフ」なのです。
このライヨールナイフの歴史について、さまざまな見解があるのですが、以前に雑誌で取り上げられた内容は・・・
独特な形状のライヨールナイフは、ライヨール村で産業が栄えたのが、時代の流れとともに過疎化が進んで、ナイフ産業が途絶えてしまった。そこでフランス最大の刃物産業地「ティエール」でライヨール形ナイフが製作されるようになったが、1981年にライヨール村のナイフ作りの伝統を見直し守っていこうと、村出身の若者が「ライヨール・ナイフ」協会を設立。その後フィリップ・スタルクをデザイナーに迎え、村の倉庫跡地に「ライヨール社」が誕生した。ティエール産のラギオールと、ライヨール産のライヨールナイフ、どちらも「本物」と論争になっている・・・と紹介されていたのです。
ですが、クロディーヌ・ドゾルムさんの話しは全く異なるのです!
ライヨール独特な流線形状は、元々はスペインから持ち込まれた簡素なナイフが原型で、ライヨール村でスタイルが変わっていき、今の形状になったとのこと。
元々ライヨール村は放牧を中心とした農村だったが、地域最大の雄牛の品評会がこの地で行われていたことから、周辺の村人の集散地となった。1829年にライヨールで生まれ育った1人の鍛冶職人が、ハンドル部分に地元の牛の角を取付けたポケットナイフを考案・・・しかし彼は農作業用の道具を作る鍛冶職人だったために、この特別な形状のナイフについては少量のみしか作られなかった。
その当時、ラギオール村には刃物製造の産業が無かったために、14世紀から刃物産業で有名なティエールで、ライヨールナイフが作られるようになったというのです。
彼女曰く、現在のライヨール村にはナイフを作る工場がありますが、全てのパーツ(刃やハンドルなど)はテイエールから買っているのです。ライヨール村の工場は組立てのみを行っています。
え~!そうなんですか!(全スタッフが唖然・・・)でも、ライヨール村で刃物産業が栄えていたと聞きましたが・・・
いやいや、刃物産業においてライヨール村は25年ほどの歴史しかありませんが、ティエールは500年以上も前から刃物を作っているのですよ。ライヨール村のお土産屋で販売しているナイフも、ライヨール村で組立ててる商品はほんの少しで、ほとんどのライヨールナイフは今でもティエールで作られているのですよ。
ではティエール産のラギオールが本物となりますね。と聞くと、彼女は
フランスワインは生産地など厳しい規制があるけど、ナイフには規制がないので、ナイフのパーツ(ステンレスや牛の角など)をティエールから仕入れても、ライヨールで組立てればライヨール製に、中国で作れば中国製になる訳ですから、「どれが本物か」という判断は難しいですね。。。
ただ、品質管理がきちんとされていて、オリジナル性を持ってることが、大切なのです。
なるほどー。私達もブランドに群がるのではなく、品質やオリジナル性のある商品を見極める「目」を持たなければなりませんね。
ライヨール形のワインオープナー(ソムリエナイフ)については、ティエールで産声をあげた「シャトーラギオール」が元祖(最初)なのは分かっていましたが、まさかライヨール村の伝統的なナイフ自体が、パーツを含めると全てティエールで作られていた話しにはビックリしました。
(※シャトーラギオール製造メーカー「SCIP社」に確認のため質問をしたところ、同じ内容の返答を頂きました。)
クロディーヌ・ドゾルムさん、貴重な話しをありがとうございました!
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