早稲田大学山岳部 活動記録(2014年度~)

早稲田大学山岳部です。2014年度より活動報告をこちらで行います。

ネパール合宿 4月3日 アタック日

2015-04-03 11:52:02 | 2015年度ネパール合宿
体調不良によりアタック前日にACまで上がれなかった犬塚と福田は、BCから直接アタックをすることになっていた。2人は23時50分に起床し、ポーターから頂いた軽い朝食を食べ出発。2時30分にはACに到着する。

その後、2人も交えてティーを飲み、出発する。クランポンポイントまではロープを出す程危険な箇所は無かったが、気温が低い時間帯だったので氷が張っていて少し危険な箇所がいくつかあった。いつも通りゆっくり歩く事を心掛けるが、アタックの事を考えると、ここで時間を使い過ぎたくもなかった。シェルパのダワさんは先を急ぎたがっていた。


クランポンポイント前のスリリングなガレ場を通過する隊員
写真:神田雅也

6時15分、クランポンポイントに到着する。緊張感を高め、クランポンを履き、傾斜35度程の斜面を登る。するとすぐに、大きなクレバスの姿が見え、初めて見るクレバスに興奮と小さな恐怖を感じた。

その地点で一度、ロープを出した。左右切れ落ちており、幅2m長さ15m程のスノーブリッジである。小川がリードで登る。難しいところではなかったが、落ちたら危ないという箇所だった。
その後2箇所、残置されていたFIXロープを使い、核心の雪壁に到着する。大谷さんの「残置ロープを絶対に使わないという事ではなく、柔軟に対処していこう」というアドバイスがあった為に、この2箇所は他の隊のロープを借りて登った。

クレバスに囲まれたスノーブリッジをリードで通過する、小川惇一郎
写真:福田倫史


クレバスの真上でアイスクライミングを楽しむ田中颯
写真:鈴木雄大


氷壁を登る田中颯と、6000m地点でも自分が記録係であるという事を忘れない鈴木雄大
写真:神田雅也


最初の危険地帯を超え、ほっと一息つく神田雅也
写真:福田倫史

核心の雪壁にも予想通りロープが張られていたが、ここまで来たのだから 自分達でルート工作をしたいと思い、2年生がロープを張ることに。1ピッチ目を田中、2ピッチ目を小川、3ピッチ目を鈴木雄大がリードする。しかし、標高6000mでのクライミングは予想以上にシビアなもので、アックスを突き刺す度に息が上がる。登るスピードは日本での半分以下だっただろう。また、頭上を登るパーティがクランポン、スマートフォン、ミトン、サングラスを落下させるという恐ろしい状況だった。もちろん雪や岩も時々落ちてくる。加えて、スノーバーが刺さらない程に雪は硬く、一方、気温は高かったのでアイススクリューを安心して決めれる程に安定した氷は少ないという状況だった。(特にアイスクライミングの経験が少ない我々にとっては不安だった。)
体感にして70、80度はあろうかという雪壁で、1つ前の危ういアンカーから20m程ランナウトしているのは大丈夫なのだろうかと思いながらも上を目指す。


左手に見える白い壁を登っていった 、登り切るとすぐ山頂だ
写真:福田倫史

結局、全セクションの5分の3程を自分達でルート工作し、後は時間短縮の為に、残置されていたロープを使って登った。力不足を実感し、悔しさが込み上げる。だが、ガスも掛かりはじめていたので、登頂という最大の目的と、安全な下山タイムの確保を考えると悪い判断では無かったかもしれない。

アイランドピーク山頂まで最後の10mを登る小川惇一郎 
写真:鈴木雄大

12時を過ぎた頃、1年生を含めた全員が登頂した。

アイランドピーク山頂にて伝統の部旗を掲げる早稲田大学山岳部 
写真:ダワ


1年生ながらも6189mに立った10代の2人 (写真右下の時間は日本時間)
写真:犬塚智之

写真を撮り、気を引き締めて懸垂下降で下山する。天気は悪くなる一方で、雪壁を下り終えた頃には、雪と強風でとても寒かった。時折ホワイトアウトという状況の中、懸垂を繰り返し、14時45分にクランポンポイントまで辿り着いた。

右手にクレバスを見ながらガスの中を懸垂下降で下山する福田倫史 
写真:鈴木雄大

岩に雪が張り付いていたため、クランポンを履き続けたまま、ACまで慎重に下山した。途中、驚く事に、ポーターのカンツァがBCから5700m地点まで、温かいミルクティーを運んできてくれた。しかも雪の中をローカットのランニングシューズでだ。隊の雰囲気は一気に明るくなった。長時間の行動と低酸素、悪天候という状況で、疲れ切っていたが無事に下山する事ができた。


暖かいマイホームに辿り着き、何もしないでくつろぐ3人
写真:鈴木雄大

サポートしていただいた皆様、本当に有難うございました。





鈴木雄大

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