花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

父が帰って来たときに

2019年01月08日 09時33分31秒 | 日記

幼い私達兄妹を残して父は出征したのです
父は言ったのだそうです
「長男の中学入学試験には自分が連れて行く」と
そしてこうも言ったそうです
「家の中に何が無くなってもいい
子供達に寂しい思いをさせないように友達になってやれるように」
母はそれを忠実に守ったと思います
そして父が帰って来た時にビックリする様に
兄弟でお行儀よく礼儀正しく素直な子どもに育って欲しいと
私達の行儀には厳しかったと思います
毎朝父の陰膳には手をついて挨拶していました

お正月に何時ものように兄が「おはようございます」と挨拶すると
母が今日は何時もとは違って
「明けましておめでとうございます」と教えました
傍で聴いていた私は教えて貰わなくても正しく挨拶して褒めて頂こう
覚えておこう
そして明けましての“あ”を覚えたつもりが
幼い子供のことです 色んなことをしているうちに
“や”と覚えてしまい
いざ挨拶をする時は
「やぶれましておめでとうございます」
と言ってしまいました
その年の正月はみんなから大笑いされてしまって

父の戦死の知らせを聞いたのはそれから間もなくのことでした




黄色センダイハギが可愛い芽をだしています
柔らかな黄色い花の咲くころは爽やかなよい季節になっています