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演劇・ダンス・アートのための備忘録

福井健策著『著作権の世紀──変わる「情報の独占制度」』(12.5.30.読了)

2012-05-30 23:48:43 | 書籍・雑誌
福井健策著『著作権の世紀──変わる「情報の独占制度」』

2010年集英社新書刊

●目次
はじめに

第1章 情報の独占制度
情報の「非競合性」と「非排除性」/「創作的な表現」と「ありふれた表現」/普通のスナップ写真も著作権か──『東京アウトサイダーズ』事件/キャラクターの保護範囲──「村上隆対ナルミヤ」事件/二行のフレーズを独占できるか──「槇原敬之対松本零二」事件/侵害が成立するふたつの条件/批評の問題と法的な禁止/著作物から除かれる実用品のデザイン/実用品とは何か──「海洋堂フィギュア」事件/フィギュアは実用品か?/「薄い著作権」という考え方

第2章 対立するテクノロジーと著作権
ネット配信にかかわる権利/ネット配信での大規模侵害──「464.jp」事件/発信者にとってのネットリスク/動画投稿サイトの登場/「ノーティス・アンド・テイクダウン」というルール/ビジネスモデルによる対応の差/正規配信ビジネスと「権利処理」の壁/権利バイアウトが一般的なアメリカ型モデル/ビジネスモデルの選択と、過去の映像資産の活用/拡大する私的複製/「私的録音・録画補償金」とは何か/補償金「拡大」問題/ネット流通と私的複製を考える三つの視点

第3章 多次的創作の時代──カヴァー、アレンジと二十世紀芸術
『おふくろさん』騒動/「集中管理」により『おふくろさん』は歌える/「編曲」について、JASRACは許可を
おろせない/川内さんの「同一性保持権」/『おふくろさん』騒動は、カヴァー曲全体に波及するか/『大地讃頌』事件/なぜ、これまでカヴァーは問題になりにくかったのか/著作権が注目される環境はどう整えられたか/文化の面での五つの変化/「複合的、産業的、多次的作品」の増大/さまざまな多次的作品/著作権の重要性とともに、高まる「権利処理の壁」/「社会の法化」と、狭まるグレー領域/文化史の分岐点

第4章 PD、オア・ノットPD、それが問題だ──著作権は何年間守られるべきか
欧米では90年代に一律20年以上延長/延長を繰り返されてきた保護期間/日本での延長論議の経緯/新しい創作は促進つれるのか/著作物は概して市場的には短命/保護期間の切れた作品に基づく再創造/「許可をとればいいではないか?」/網羅的なデータベースと作品の集中管理/作品や創作者の尊厳と著作権/最適な保護期間を求めて

第5章 アーカイヴィングの現在──電子図書館、番組ライブラリー、フィルムセンター
情報の収集・保存・紹介/「青空文庫」と「近代デジタルライブラリー」/テキスト・アーカイブのさまざまな可能性/アーカイヴィングには著作権者の許可が必要/国会図書館が直面した「権利処理問題」/「全世界電子図書館化」──グーグルの挑戦状/放送番組のアーカイヴィング──NHKアーカイブス/映画のアーカイヴィング──東京国立近代美術館フィルムセンター/日本映画の悲劇/「文化資源」を生かすために

第6章 変容する著作権──リフォーム論、DRM、パブリック・ライセンス
テクノロジーや表現と著作権との衝突/第一の方向性──著作権リフォーム論/リフォーム論(1)──作品登録制/「作品登録制」の試み──義務的登録制/「作品登録制」の試み──任意的登録制/リフォーム論(2)──報酬請求権化/報酬請求権化の三つの課題/リフォーム論(3)──日本版フェアユース/映り込み、検索エンジン/日本版フェアユース導入論/第二の方向性──権利の切り上げとしてのDRM(Digital Rights Management)/「強すぎるDRM」の問題点/第三の方向性──権利の切り下げとしてのパブリック・ライセンス/パブリック・ライセンスとしての集中管理/集中管理への期待

第7章 擬似著作権と情報の「囲い込み」
増える擬似著作権/「肖像権」「パブリシティ権」とは何か/ペットの肖像権や物のパブリシティ権/寺社・公園の「撮影禁止」/菓子・料理の「著作権」/「オリンピック」「ワールドカップ」という言葉と「知的財産」/ネット化で激増した情報量とその囲い込み

終章 情報の「世界分割」
自由流通する情報と独占される情報/グれーな境界と、境界の変動/情報大航海時代と新たな「世界分割」

あとがき
主要参考文献
索引

(2012.5.30.読了)

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