憂太郎の教育Blog

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現場教師は大阪府教育基本条例をこう読む~その2

2012-02-26 17:15:52 | 生徒指導論

 2月23日、大阪府議会に、大阪維新の会による教育2条例案が提出された。大阪府議会は維新の会の議員が過半数を占めているから、条例は可決され今年の4月から施行されるという。

 前回より話題にしている教員評価については、2条例のなかの「大阪府立学校条例案」の19条だ。なかでも注目されているのは、教員の評価を保護者や生徒にさせるという文面だ。
 原文は、こうだ。

第十九条  教員の勤務成績の評定は、校長による評価に基づき行うものとする。
2 教員のうち授業を行う者に係る前項の評価は、授業に関する評価を含めて行うものとする。
3 前項の授業に関する評価は、生徒又は保護者による評価を踏まえるものとする。


 前回の繰り返しになるが、この橋下大阪市長による維新の会がやりたがっている教育改革の発想というのは、行政改革の一環であるということだ。
 であるから、教職員を教育者として扱うというよりも、まずは公務員であるというところから、こうした条例案は起草されている。私は、何も、教師は教育者であるべきか、それとも公務員であるべきか、といった議論をしたいわけではない。そんなもの、両方であるに決まっている。そうではなく、今回の橋下教育改革というのは、教師は公務員であるという一方の側面で発想されているということを言っている。だから、こうした条例案が子どもの成長のための教育現場にふさわしくないと批判しても、それは議論にならない。そんなことは承知の上での条例提出なのだ。
 条例の教員の評価というのも、教育者としての人格向上とか教育のプロとしての技量評価ということよりも、地方公務員として住民に満足のいく教育サービスを提供できたかどうかを評定するという発想になっている。そういう発想に基づいている以上、サービスを受ける側である、保護者や子どもによる評価は至極当然ということになる。教育者である教師としては、そんなことになったら、教育なんてできやしないと、誰もが直感的に思うだろうけど、それも「だって、教師は公務員でしょ」で片づけられてしまうだろう。

 ただ、ここまで教育現場を混乱させてまで、こうした行政改革を断行する必要があるのかどうかについて、私は疑問を持つ。私は、大阪の現場教師じゃないから大阪の現場はわからないけど、ここまでして行革をしなくてはいけないようなヒドイ状態になっているとはどうにも思えない。
 そもそも、保護者や子どもがこういう教員評価を果たして本当に望んでいるのかということだ。橋下氏は、保護者や子どもは自分たちによる教員評価を望んでいると主張する。そりゃ誰だって「あなたは教員を評価したいですか」と聞かれりゃ、「はい」と答えるだろう。受けたサービスを評価するのは自分たちの権利であると言うのは、サービス受給者としては当然のことであろう。そんなもの当たり前だ。だから、そんな当たり前のことを橋下氏が、この点を子どもと保護者の評価を導入しようとする根拠にあげているのは、論点としては質が低いと思っている。
 それよりも、現在、「7割の保護者は学校に満足している」という2008年のベネッセの全国統計を重視するべきだ。つまり、現状では、多くの保護者は学校に満足しているのだ。これが、もし、保護者や子どもが学校に不満があるというのであれば、こうした改革も必要かもしれない。けれど、現状に満足をしているのに、ことさら保護者子どもと教職員の対立を煽るようなことをするのは、愚かなことだと思う。

 それに、今回の生徒や保護者の評価については、学校現場に実は既に導入されている。今から10年ほどまえから、「学校評価アンケート」というような名目で生徒と保護者に対して行われている。10年前に私が勤務していた過疎の田舎町の中学校でも行われたし、現在でも、私の子どもが通っている小学校でも行われている。私が現在勤務している養護学校でも子どもにはやっていないけど、保護者を対象として学校評価アンケートはある。田舎の学校でやっているのだから、大阪府内の学校でもやっているはずである。
 これは、教師の勤務成績の評定には関係がないけれど、十分、教師にはプレッシャーになる。この項目に「あなたは授業がわかりやすいですか」(児童生徒)、とか「お子さんは、授業がわかるといっていますか」(保護者)といった文言を加えればよい。恐らく、多くの学校評価アンケートではそういう文言が既に加えられていると思う。
 このアンケートで、子どもや保護者からの評価は十分ではないかと私は思う。さっき述べた通り、このアンケート結果は、教師の成績評定とはリンクしていない。だから、このアンケートで評価が低くても教員の勤務成績には関係がない。けれど、これが公表されることは、教師にとっては十分にプレッシャーである。教員の資質向上についていえば、この程度のことで達成されると思う。

 つまり、私は何がいいたいかというと、現状で十分うまくまわっている現場の諸制度を、行政改革や公務員改革の一環としてドラスティックにいじくらなくても、現行の制度をうまく運用するだけで、教員の資質向上は果たすことができるということだ。
 にもかかわらず、こうした条例でもって現場を混乱させようとするのは、繰り返すけど、やはり、子どものためというよりも、別の発想によるものと私は思うのである。
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学校
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3 コメント

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発生過程が怪しいかと。 (安藤豊)
2012-03-01 11:20:56
久しぶりに大局観に立つ議論ありがとうございます。

私は、大阪維新の会の他の政策へのコメントを

すべてペンディングしますが、

「現行の制度をうまく運用するだけ」は、諸事

が達成できないと判断したから条例案提出に

及んだのだと判断します。旭川市もそうです

が、教育委員会が機能不全ですから。

これは、ディベートでいえば政策論題です

が、憂太郎さんの立論はデメリット「現場の混

乱」だけですが、メリットは何ですか?デメリ

ットはどうして発生しますか。

お説によると現状をほぼ同じことをやるわけで

すから、「現場の混乱」は起こらないでしょう

し、各種の憶測は猜疑心から一部の混乱が起き

たしてもそれは限りなく小さいと推測できま

す。

 昨日(平成24/2/29)大阪市東京から

始まった国旗・国歌条例は、教育現場が立ちゆ

かなくなるような深刻な混乱は起きませんでし

た。逆に少数の「確信犯」を炙り出すという効

果がありました。北海道ではぐるみで誤魔化し

ていますので効果の程度は「?」ですが。

 この度も人事査定をめぐって「確信犯」が炙

り出されるのでは・・・。

 私が考えるメリットは「教員資質のボトムア

ップ」。もっと敷衍して大きなカテゴリーにし

ても良いかとも思っています。「教育の健全

化」とか「教育の正常化」とか・・。

 もっとも、これ大阪の教育現場の現状がわか

りませんので、つまり「現状分析」ができませ

んので、発生過程を立論できません。

ちょっと狡ですみません。

 でも、私の若い頃、空知や帯広の学校や北教

組地区教研の講師で呼ばれて、「あいつらヤク

ザだ」と確信しました。大阪はその比ではない

との先入観で現状を推測しています。かってヤ

クザの情婦から這い上がった弁護士、大平光代

さんが大阪市の助役になってヤミ年金、ヤミ退

職金、ヤミ残業、職員組合の人事支配などなど

の挑みましたが、匙投げて辞職したわけで・・・。

教育現場についてもネット上で、よろしくない

情報が多々ありますし・・・。

まぁ、「教育論」としてはあまり生産的な議

論ではありません。

その点は憂次郎さんに同感です。

 長くなりました。少しばかり時間が空いたも

のですから。

平成24.03.01.
発生過程が怪しいかと(修正版) (安藤豊)
2012-03-01 11:32:28
誤字脱字がありましたので、修正版です。

///////////////


久しぶりに大局観に立つ議論ありがとうございます。

私は、大阪維新の会の他のすべての政策へのコ

メントはペンディングとしますが、「現行の制

度をうまく運用するだけ」では、諸事が達成で

きないと判断したから条例案提出に

及んだのだと判断します。旭川市もそうです

が、教育委員会が機能不全ですから。

これは、ディベートでいえば政策論題です

が、憂太郎さんの立論はデメリット「現場の混

乱」だけですが、メリットは何ですか?

デメリットはどうして発生しますか。

お説によると現状をほぼ同じことをやるわけで


すから、「現場の混乱」は起こらないでしょう

し、各種の憶測や猜疑心から一部の混乱が起き

たしてもそれは限りなく小さいと推測できま

す。

 昨日(平成24/2/29)大阪市議会で可

決されました、東京から始まった国旗・国歌条

例は、教育現場が立ちゆかなくなるような深刻

な混乱は起きませんでした。逆に少数の「確信

犯」を炙り出すという効果がありました。北海

道ではぐるみで誤魔化していますので効果の程

度は「?」ですが。

 この度も人事査定をめぐって「確信犯」が炙

り出されるのでは・・・。

 私が考えるメリットは「教員資質のボトムア

ップ」。もっと敷衍して大きなカテゴリーにし

ても良いかとも思っています。「教育の健全

化」とか「教育の正常化」とか・・。

 もっとも、これ大阪の教育現場の現状がわか

りませんので、つまり「現状分析」ができませ

んので、発生過程を立論できません。

ちょっと狡ですみません。

 でも、私の若い頃、空知や帯広の学校や北教

組地区教研の講師で呼ばれて、「あいつらヤク

ザだ」と確信しました。大阪はその比ではない

との先入観で現状を推測しています。かってヤ

クザの情婦から這い上がった弁護士、大平光代

さんが大阪市の助役になってヤミ年金、ヤミ退

職金、ヤミ残業、職員組合の人事支配などなど

の正常化に挑みましたが、匙投げて辞職したわ

けで・・・。教育現場についてもネット上で、

よろしくない情報が多々ありますし・・・。

まぁ、「教育論」としてはあまり生産的な議論

ではありません。その点は憂次郎さんに同感で

す。

 長くなりました。少しばかり時間が空いたも

のですから。

平成24.03.01
ありがとうございます (憂太郎)
2012-03-02 06:00:44
安藤豊 様

ご無沙汰しております。
安藤様のコメントについては、ほぼ同意でありますが、論点を明確にするためにも1つだけ。

今回の橋下行革の目的のひとつは、安藤様の言うように、「確信犯の炙り出」しだと私も思っています。(ただし、効果があるかについては、私は否定的です)。で、そのための理由でに、今回のような教育機構を改編するような条例案を提出するというのは「現場の混乱」をもたらすと、私は主張しています。(なお、今回は触れていませんが、橋下行革の教育委員会改革については、私は賛成の立場です)。
確信犯の炙り出しなら、今やっている、アンケート方式の教員評価で十分ではないかという主張なのです。

なお、国旗国歌条例につきましては、次回触れます。これにつていも、私は批判的です。

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