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エディタ・グルベローヴァ「ランメルモールのルチア」

2017-11-30 23:45:52 | 音楽
昨年に引き続きグルベローヴァが来日するというので、今年もまた聴きに行った。
演目はハンガリー国立歌劇場の「ランメルモールのルチア」。最終幕、10分以上にわたる「狂乱の場」が聴きどころ。



グルベローヴァの声には今回も圧倒された。光を帯びた声に陶然とし、高音を伸ばす(アクートというらしい)ところでは何度も鳥肌が立った。そして狂乱の場の美しさといったら!

もう最後かもしれない、さみしい、とか、70歳になっても歌ってて凄い、とかの音楽以外の雑念は一瞬で消え去った。

思えば彼女の歌声を初めて聴いた時からそうだった。
今から15年前、「ノルマ」の1幕目で早くも夢見心地な気分になったことを鮮烈に覚えている。(その後、いい気分になった勢いで飲んだシャンパンが体内を巡り、次の幕で舟をこぎ横からコツンとつつかれたことまでセットで良い思い出)

15年後もこうして同じ場所で彼女の美声を聴けるなんて奇跡みたいだ。

彼女の歌だけでなく、舞台(グレーがかった色合いや効果的な照明)も演技(歌手たちの動き)も良かったし、オーケストラも素晴らしかった。艶やかな弦に優しいフルート、何度もオーケストラピットを覗きこんだ。
そして会場。音楽が立ちのぼり、よく響くおかげで美声と美音を心ゆくまで愉しめた。

そんなわけで、3週間経っても晴れやかな気持ちで思い出せる、幸福な公演でした。