きょう、塔の10月号が届いた。
特別作品に出していたので、どうだったかなと思って開いたら、掲載されていた。
ちょうど、妹が来ていたので、「お父さんのことを詠んだ連作が載ったよ」といったら、
「読んで聞かせて」というので読み上げた。
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燕
初芝は子供の頃に住んでいた街なり父の搬送先の
タクシーの窓から見える看板の土地の名前になつかしさあり
カーテンをゆるく開いて父に会う 落花生のような父なり
その洞を露わにみせて横たわる古木となりて目をつむりいる
施設にゆくあの冬の日に父のもとを飛び立っていた透明の燕
うまいと言い母の分まで食べていた最後に作った煮込みハンバーグ
どうすればよかったのかドクダミが一面に白く白く咲いている
この白は病室の白 父だけが飴色に細く息をしていた
詰ったり励ましたりして晩年の父と過ごした週末ごとに
寂しくて病院を抜けでてきた父をきつく叱った六年前は
わたしらと一緒にいれば幸せで嬉しいことを知っていたのに
ちいちゃんは勉強があるんやろという声を思えば涙こぼれる
大股で父の時間が過ぎていく走ってももう追いつけないよ
こんなにも細い道だったか妹と縦に並んで駅まで歩く
自転車を四台連ねて参拝せし出雲大社大阪分祠
妹が泣きそうだから見上げている初芝駅に燕飛び交う
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途中で妹が泣き出して、私も読みながら泣いてしまった。
どうにもならないことが生きていたらあるね。
特別作品に出していたので、どうだったかなと思って開いたら、掲載されていた。
ちょうど、妹が来ていたので、「お父さんのことを詠んだ連作が載ったよ」といったら、
「読んで聞かせて」というので読み上げた。
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燕
初芝は子供の頃に住んでいた街なり父の搬送先の
タクシーの窓から見える看板の土地の名前になつかしさあり
カーテンをゆるく開いて父に会う 落花生のような父なり
その洞を露わにみせて横たわる古木となりて目をつむりいる
施設にゆくあの冬の日に父のもとを飛び立っていた透明の燕
うまいと言い母の分まで食べていた最後に作った煮込みハンバーグ
どうすればよかったのかドクダミが一面に白く白く咲いている
この白は病室の白 父だけが飴色に細く息をしていた
詰ったり励ましたりして晩年の父と過ごした週末ごとに
寂しくて病院を抜けでてきた父をきつく叱った六年前は
わたしらと一緒にいれば幸せで嬉しいことを知っていたのに
ちいちゃんは勉強があるんやろという声を思えば涙こぼれる
大股で父の時間が過ぎていく走ってももう追いつけないよ
こんなにも細い道だったか妹と縦に並んで駅まで歩く
自転車を四台連ねて参拝せし出雲大社大阪分祠
妹が泣きそうだから見上げている初芝駅に燕飛び交う
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途中で妹が泣き出して、私も読みながら泣いてしまった。
どうにもならないことが生きていたらあるね。
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