あまり直撃、ということはいままでなかった台風。
きょうはちょうど会社が終わるころに雨と風が強くなってきて、風で傘がさせないので、ちょうどやってきた市バスに走って乗り込みました。
それから、いつもは18時36分のみやこ路快速に乗るのですが、いつ奈良線がストップするかわからないので、18時6分のみやこ路快速に乗りました。 この電車のドアは手動で、外についているボタンを押してドアを開けるタイプです。その、ボタンを押すほんの一瞬の時間で、顔にシャワーを浴びるような前からの雨でびしょびしょに。
六地蔵のあたりのやましな川もコーヒー色になっていました。 宇治川はもう両岸がいっぱいいっぱいなくらいに増水しています。宇治駅では横殴りの雨を車窓から見ていました。まだこのへんはなんとなく電車の中から見ているだけなので心に余裕がありました。
そして、城陽駅では、降って来る雨とアスファルトに跳ね返る雨と、ゆるい坂を流れてくる水。
こんな日はタクシーも来ないので、はじめから諦めて歩きます。
とりあえず、読んでいる『小池光歌集』が濡れないように、鞄(ビニール製)の一番深いところに入れなおし、傘を短く持って歩き出しました。
途中、生協の駐車場を通りました。少しでも屋根のあるところを選んで歩いていると、いつも髪をカットしてもらっているNさんを見かけました。一瞬、あ、と思いましたが、Nさんはこんな雨なのにお米を両手に持っていました。車で帰るのでしょう。きっと声を掛けたら家まで送りましょう、という展開になるかもしれません。でも、スカートもびしょびしょだし、顔はシャワーをあびたあとのようにお化粧もはげはげだし、美容院で対面しているときとあまりにも境遇が違うので、声をかけずにそのまま歩きました。
そこから、少しでも近道をしようと思って、耳鼻科の隣の裏道を選んだのですが、もうそこは道というより、川になっていて、濡れてもいい靴を履いていたので、じゃぶじゃぶと水に入っていきながら進みました。そこから水度坂をのぼります。水は少しでも低いほうへ向かって流れるものなのだなぁと妙な感慨にふけりながら、なるべく水の流れのゆるいところを選びながら歩きました。
小さな水路を渡るとき、下を見ると、水の勢いがすごくて、なんだこのいま私が置かれた環境は。濁流の上を歩き、前からも横からも上からも下からも雨が吹き付け、スカートもブラウスも布のバッグもびしょぬれ。傘もとじて自然にまかせたいような、ショーシャンク気分になってきたのですが、誰かに会うかもしれないので、とりあえず傘はさしたままずぶ濡れで家に着きました。
そのまま浴室へ直行し、シャワーをあびていると夫帰宅。
「きょうは早く終わったから駅までいくってメールしたのに」
あの苦労はなんだったんだ。
だけど、久しぶりに子供のころに戻ったような、わざと水たまりを踏みながら歩いた気分を味わえたから、まあいいか。