23日に行われる塔事務所フェスタのため、歌集を読みなおしています。
きょうは吉川宏志さんの『西行の肺』を読みました。 歌集のなかにでてくる子供たちも小さくて。
・何を言っても無駄と気づきたり夜の椿のように黙しぬ
・冬死にし人には冬がいつまでもつづくのだろう藪椿咲く
・このなかに入りなさいとゆうぞらの広がりゆけば橋に来ている
・逆らえばいいのに 逆らう気力すら奪われながら人は辞めゆく
・この世から抜かれゆくのは夕暮れにしてほしい 松黒くなりつつ
・子とともに見上げていたり膚朱き阿修羅の胸のかすかなる罅(ひび)
・蝶はいつも風の先端にいるんだよ雨滴の光る朝(あした)の畑
職場や日常に起こる出来事との葛藤があらわれているような歌に今回は付箋を貼りました。 この歌集を初めて読んだのはノートによれば2009年の9月です。そのときノートに書き写した歌は
・灯の下に狐の影をつくりたる一分ほどの指やわらかし
・影屋さんに行けばラクダの影なども売っているなり影を吊るして
・手袋のごとくにイカを裏返し墨のかたまり子に見せる人
・わが歩むかたわらに陽をたっぷりと浴びているなり妻という麦
など、やさしい歌や家族の歌が多いです。
いまいちばんいいと思ったのは上の蝶の歌ですが、前に読んだときは写してもいません。 (写したうえによかったのには☆、さらによかったのには☆に〇のマークが入っています)
7年経ったら好きな歌も変わるものだなぁとちょっとびっくりしました。 またこれから7年経って読んだら、まったく別の歌が好きになるのかもしれません。