VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

エコ・ウ゛ィレッジ@Ithaca

2006年11月21日 | 住宅業界
(財)日本生態系協会が主催する〈国際フォーラム〉『人口が減る時代の新しいまちのかたちー自助・共助・公助への提案ー』で
米国イサカ大学シャピロ教授の《エコ・ヴィレッジ@イサカ(EVI)》についての講演を聞いた。
  
ニューヨーク州Ithaca市にあるEVIに、ご自身もお住まいで運営や教育プログラムの研究を進められている。
                          (街は運営ソフトが命である事の表れだ)

EVIは持続可能なコミュニティーを目指すコーネル大学とイサカ大学による実験的な取り組みの開発地。
175エーカーの10%だけを宅地開発にあて残りは自然保全や農地とし、約160人/約60世帯が生活している。
 
【Self-Sufficiency(自給自足性)】【Restore Biodiversity(生物多様性)】【Permaculture(文化保全)】を追求した町づくり、暮らしぶりを紹介してくれた。
  
Green Building政策(環境負荷の少ない建築、‘energy☆(star)’取得で補助金有り)は、ワシントン州など他の都市でも推進されているが
ここではパッシブソーラー・太陽光発電だけでなく、古材を使った建築や雨水利用なども実践され、環境負荷は全米平均の半分!

またヴィレッジ内は歩行者中心の‘CarFree’で、自転車を活用して通勤したり車も共同利用で‘1家に1台’は無い。

一方、共同生活のコミュニケーションSpace‘Commons’には共同ダイニングルームや(写真右)子供ケア、図書室、ゲストルームなど。
人口の1/3以上が子供なので、子供教育は町全体の重要なカリキュラムになっているようだ。


こんなユートピアを見せられた後に、国交省・都市・地域整備局:中島正弘局長のお話はチョットきつかった・・・
  
「人口減少の時代を迎えた日本の都市と地域のあり方」というタイトルだが、中心市街地再生の話で新しい内容は無かった。
街中居住によりコンパクトに機能集約する事で効率を上げる・・・そこに住みたいと思える‘絵’では無い。
昨今、‘効率’と聞くだけで嫌気がさすのは、リクルートという効率重視の会社で絞られ過ぎたせいだろうか?

EVIと同じ「歩いて暮らせる街づくり」を目標とするが、概論だけにも関わらずそこに夢は無かった。
シャピロ教授のように自分が住んで実践する人と、あらすじを書くだけの人と
講演の説得力・影響力の差は歴然であった。