ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

夫の思い出の通学路、成城の街散歩

2020-03-25 03:47:59 | エッセー

 今桜が満開だが夫は中学生の時、成城学園前駅から徒歩約15分の距離にある

「都立重機工業中学校」へ通っていた。先日新宿御苑の帰りに、都立新宿高校の

前を歩きながら、「今頃成城学園前のあの通りは、きっと桜が咲いて奇麗だろうな」

と懐かしそうに漏らした。「じゃ今度歩いてみようね」と、昨日10時頃に家を出た。

夫が昔通学した、成城学園前駅から直線に伸びた道を歩いたが、風がとても冷た

かった。道は広々して、夫が想像したように桜が沢山咲いていたが、多分その頃見た

と思われる大きな古木は、あふれるように花が咲いていて、あまりに美しく二人で立

ち止まってしばらく見つめた。

 中学は駅からまっすぐに伸びた道を突き当たり、左へ曲がり、またすぐ右に曲がる

そうだが、70余年以上昔なので、折角来たのにとうとう中学校へは辿り着けなかった。

 果たしてまだ存在するのかどうかも調べず歩いたが、ネットで調べればよかったと

後悔したが、後の祭りだった。「もうここまで来たから良いや」と夫が言うので、その

まま駅まで戻った。約1時間ほど成城学園前の、夫の思い出の通学路辺りを歩いた。

クラスメート達と、ときどき直線コースの道を駅まで競争して走ったなど、色々な

思い出話を聞いたが、夫はとても懐かしく、嬉しかったようで「能里子ありがとね」と

三回も言った。昔は細く小さかった桜は古木になっていたが、若い木も沢山あり、枯れると

すぐに植え変えたようだ。高級住宅として開発されたので、住民は洗濯物や布団は道路から

見えないところに干す、頬かぶりをして歩いてはいけない、みだらな服装では歩かないなど

実際にかなり厳しく制限されていたようだ。大分以前シニアスクールで、成城学園前の高級住

が開発されたとき以来、現在でも「成城学園前住宅憲法」があると、講座の中で聞いたがあったが

どうもそれは事実のようだ。広壮な住宅が多く、町並みは整然として美しかったし、左右対称の横の道路

も、すべて桜が植えてあった。

 中学はその住宅街を抜けた畑の中にあり、その頃は農家が点在し、そこまで来るとガラっと

景色が変わり、歩く人達の服装も、雰囲気もまるで変っていたそうだ。

 「心の旅路」は目的地までたどり着けなかった。認知症の治療法の一つに「回想法」がある。

今回は思い出を辿りながら、実際に歩いたので、精神的にはもっとも効果的で癒される方法

だと思った。時間は11時45分、時々成城ホールで開かれる「シニアスクール」の講座の帰りに

クラスメート達と昼食をする、餃子が美味しい中華料理店に入った。

 そして、昼間から老夫婦で、「楽しかった思い出に乾杯」した、とても幸せな日だった。

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