ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

 その2 昔の思い出話に花が咲いて

2018-05-26 10:54:58 | エッセー
 昨日久しぶりにジャケットを直して、使った裁ちはさみを片付けるとき、私は
はさみを「チョキ、チョキ」しながら、裁縫用具が入っている引き出しにしまった。
こんな音は子供の頃聞いた思い出がある、何だったかしら?と考えた。
夫に「この音覚えている?子供の頃聞いた音だけど」すると彼は言った。
「それはね、花屋のはさみの音だよ」と。そうだ!私は思い出した。きれいなお花
をリヤカーに一杯積んで、お花屋さんがはさみの音を大きく、チョキチョキ鳴らし
ながら売りに来た。それからしばらく昔を思いだしながら、夫と話が弾んだ。

おでん屋さん、お魚屋さん、お豆腐やさん、「あさりーシジミー」と売り歩いた
貝売りの声、それを子供たちは真似して「あっさりー死んじまえ」とよく言ったものだ。
昔夜鳴きそばの屋台、夏になると、金魚屋さん、涼しげで、きれいな音を鳴らし
ながら来た風鈴屋さん。アイスキャンデーやアイスクリーム、納豆を売りに来た
のは終戦後のことだった。それらは街の風物詩だったが、子供だったので、まだ買った
記憶はないが、そんな引き売りのお店がくると、私はそばでよく見ていた。
 第二次世界大戦が始まったのは、幼かったので何も知らないが、戦時中はいつも
お腹が空いていて、何でも良いから食べたかった。

中学生と小学生の差はあったが、疎開、家を空襲で焼かれたなど、共通の思い出は
沢山ある。同世代でも地方に住んでいた人は、そんな経験はまったくないようだ。
 私達夫婦は「いろいろな経験ができて、良い時代に生まれてよかった」と感じる
大きな共通点がある。運命的に知り合ってダイヤモンド婚式も過ぎた今、私達は後
何年一緒に暮らせるか分からない。長年自由に羽ばたかせてくれた夫との暮らしは
妻としては最高に幸せだったと感謝している。お風呂から出て食卓に付いた夫は、今日
も又「あー幸せ」と言った。私はこれからもずっとそんな気分でいて欲しいと、毎日
努力している。
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