切られお富!

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<訃報> 歌舞伎役者 四代目中村梅之助

2016-01-20 21:15:08 | かぶき讃(トピックス)
「伝七捕物帳」など、テレビのことは他のひとが書くでしょうから、わたしは歌舞伎を中心に、若干は映画のことも・・・。わたしにとっては前進座の象徴みたいなひとでした。吉祥寺の前進座劇場が閉場して久しいですが、あの劇場のロビーの様子も梅之助丈の雄姿も、記憶の中だけのことになってしまったんだな~と。また、子息梅雀丈のコメントもよかったですね。ご冥福をお祈りいたします。

今年の5月には梅之助丈による前進座の歴史の語りが舞台で聴けるかな~と期待していたんですが、ご本人もさぞや無念なことでしょう。

わたしが前進座の舞台に接するようになったのは、このブログが始まって以降なので、梅之助丈の舞台に関しては、最晩年ものしか観ていないことになりますが、それでも、十八番の「魚屋宗五郎」を観ることができてよかったなあ~と思います。

前進座はやっぱり世話物のチームワークが絶品ですが、梅之助丈の宗五郎には二世松緑や現菊五郎にはない、土着の庶民性みたいなものがありました。畳にこぼれた酒をなめるなんて仕草が芝居になるのはこのひとの宗五郎くらいじゃないでしょうかね~。

で、歌舞伎チャンネルのインタビュー番組「芸に生きる」のなかで、父親中村翫右衛門と六代目尾上菊五郎の楽屋に挨拶に行った時の話が、個人的には印象に残ります。映画にもなった戦前の勧進帳の名演、7世幸四郎=弁慶、15世羽左衛門=富樫、6世菊五郎=義経の舞台で、六代目菊五郎の最後の花道の芝居が素晴らしかったと語り、残念ながらその部分が映画版「勧進帳」には映っていないと語っていたのが思い出されます。

舞台では、「権三と助十」で権三役を梅雀丈に譲り、大家を演じた舞台なんか記憶に残るなあ~。あと、「切られお富」の舞台の赤間源右衛門も古怪で大きな舞台だった。

最後に少しだけ映画のことを。前進座は創設時から日活と縁があって、戦前だと山中貞雄監督の名作『河内山宗俊』なんかが提携作品として有名、戦後だと『落陽』にも多くの出演者を出しています。また、梅之助丈個人でいえば、最晩年の市川崑作品にも出ていたけど、作品的には・・・です(『ユメ十夜 第二夜』、ドラマ『盤獄の一生』。そういえば、『かあちゃん』には梅雀丈が出てました。)。

ということで、前進座85周年の舞台には、チラッとでもいいから梅雀丈に出てほしいなあ~。などと思いました。本当は、魚屋宗五郎やってほしいけど・・・。また、NHKで追悼番組をやってほしいですね、特に歌舞伎の舞台映像の庫出しで。


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