ベスパ90SS。

本家の大型ベスパがスポーツモデルを次々発表してくる中で、その縮小版である「ベスピーノ」シリーズからもスポーツタイプが現れたのは当然でしょう。




1965年に世に出たこの「90SS(Super Sprint)」は既存の「ベスパ90」を高性能化したモデルながら、フロアに縦積みされたスペアタイヤとその上のダミータンク(中はキー付きの小物入れ)、左右を切り詰めて地面側に下げられたハンドル、同じく幅を詰めたボディ等、他のベスピーノ達とは明らかに異なる雰囲気を持つモデルです。





搭載された88ccエンジンはメーカー公表値で最高速度93km/hをマークし、SSの名に恥じないまさにスーパーなベスピーノ(小型ベスパの総称)でした。





しかし発売当時はその特異なスタイルが世間にあまり評価されなかったために販売は奮わず、またその性格上レースで使用されることが多く現存数が少ないことから、今ではベスピーノの中でダントツともいえる人気を確立しています。





後に(1971年)このモデルからダミータンクを取り除いた「90Racer」という後継モデルが派生しましたが、こちらはSSの一番目立つ特徴を削ったために、外見が他のベスピーノモデルと酷似していてあまり独自性の無いモデルになってしまっています。