今夜(正確には昨夜ですな)のNHKの「プロフェッショナル」という番組で、知人が紹介されました。
作業療法士 藤原茂さん。
萩の方なんですが、地元での歌がきっかけでお知り合いに。
その頃は山口市の病院でリハビリの先生としてお勤めでした。
施設内に、退院して自宅で過ごす方のデイケアがあり、そこのみんなに歌を聴かせてあげてくれないか?と、歌う機会をくださいました。
初めての経験ではあるものの、皆さんが親しんだ懐かしい童謡を用意しての訪問は、スタッフの方も一緒になって歓迎してくださり、あっという間に時間が過ぎました。
終りに、通所者の方を代表して、一人のおじいちゃまがお花をくださいました。
「きょうは ありがとう。」
藤原さんが驚いて私におっしゃいました。
「彼は失語症で、さっきまでおしゃべりができなかったんだよ」
まだ音楽療法という分野が確立される前で、音楽に何らかの効能があると言われていた頃です。
身をもって体験させていただいた、本当に貴重で、大切な出来事でした。
私の病院訪問コンサートは、この時から始まって、続いています。
今日の番組、最初から最後まで、うなずきっぱなしでした。
元気に過ごしていた人が、残念ながら病気になり、残念ながら何らかの障害を持つことになった。
昨日までできていたことが、今日はもうできなくなっている。
そのショックははかり知れません。
障害を持って、出来ていたことが出来なくなったということよりも
今持つ障害から出来ることを見つけて希望を持って前へ進んでいってほしい
目標を見出した人の笑顔は、何とも言えない笑顔でした。
その人の一歩は、私たちの考える一歩よりも何倍も、何十倍も大きな一歩。
麻痺で片手が不自由になった方。
自死も考えたほどの人が、得意だった料理を片手で行う方法を他の人に教えてあげるほどになった時、自身と明るさが戻っていました。
「私は不自由になった手についた土を落とすことはできません。でも、他のことは何でもできます」
病気になったから、今の私がある。
そう言えるまでには、本当に辛い、悲しい日々があったと思います。
ほんの少しだけれど、私もそれを経験したから。
お忙しい藤原さん。久しぶりにお会いしたいものです。