くさぶえの道

身辺雑記 思い出の記

リハビリセンターの話

2015-03-19 00:56:39 | 参加する
去年の夏ごろから送り迎えの車で夫と一緒に週一回近くのリハビリセンターに通っている。

器具を使ったり、椅子に坐っての運動や、低周波などのマッサージのほか、口腔運動の指導を受ける。日頃運動不足の夫にとっては唯一の運動の場になっているし、私とて毎日の買い物がてらの歩き以外全く運動らしい運動はしていなかっのに、はずみがついたのか、今年の初めからここの住宅のラジオ体操の会にも参加し始めた。これはほんの10分程の運動ながら、自分でも情けなくなるぐらい無様で格好悪いし一向に改善しないが、継続は力なりと信じて休まず続けようと思っている。


一方リハビリの方は体調がやや改善の兆しも出て来たので、私だけ間もなくおしまいにするのだが、お別れするのがちょっと心残りの事もある。常時十数人の利用者の皆さんと数人の女性スタッフさんたちとは随分親しくなったし、もう一つ良かったことは、低周波治療などの器械(夫は電気椅子と言う)にかかっている間、備え付けの本が色々読めたことだ。読みながら思わず吹き出すような句が満載の、身につまされるシルバー川柳の本とか難しい漢字の問題集など。それから現在読み始めた、寄生虫博士藤田紘一郎著「笑うカイチュウ」と言う本との出会い。普段ならまず手にする事はないと思う題名だが、ここでたった一冊の単行本だったから出会えた。一寸気持ち悪いけれど、博士の回虫に対する愛情が充分に伝わってきて、回虫の世界の奥深さを知った。最近も線虫とかいう寄生虫が初期のガン発見に役立つと言うニュースが出た。題名通り大いに笑えて、しかも眼から鱗の本だった。
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自閉症について

2015-03-01 01:03:27 | 読む
「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」という本を読んだ。これは数年前に当時中学生だった自閉症である本人自身が書いたもので、それまで私は、外国の成人女性が自閉症人としての自分の過去から現在に至る姿を自伝風に描いたものを幾つか読んだことがあったが、「自閉症の僕」は現在進行形の自分の姿をこれほど深く見つめ、分析して分かり易く説明してくれたものに出会ったのは初めてのことで、大変興味深く読んだ。

我が家は今までに何遍も引っ越したが、どういうものか三度も自閉症のお子さんを持った家庭と隣同士ということが続いた。最初は三鷹の集合住宅に住んでいたが、すぐ上の階の2,3歳ぐらいの可愛らしい一人娘のMちゃんがそれだった。親しく行き来していたので、時々我が家に親子で訪ねてきて一緒に遊んだり、たまには預かって上げたりもした。そこで実際に自閉症というものに直面し、色々教わったのが始まりだ。次がつくばで道路を隔てた隣家の5,6歳の坊や。やはり親しいお付き合いの中で、度々坊やの風変りな振る舞いに接しても別に驚くことはなかったし、そのことで悩む彼のお母さんと色々話し合ったりもした。

そして三度目が横浜の住まいの隣家で誕生した二番目のお嬢さん。言葉が判る年頃になって、名前を呼び掛けても全然反応がない事で察した通り、やがてお母さんの方からその事を明かされた。そこで私はそれまでの隣人との不思議な巡り合わせと、自分なりの理解について聴いてもらった。それ以上私に何が言えただろう。まだ自閉症というものが本当には判っていなかった。

今までは自閉症児の共通の振る舞いなどについてはある程度判っていた積りだったが、その理由までは全く分からなかったと言える。それがこの本を読んで初めて知ることばかりで、まさに目から鱗だった。声をかけられても無視するわけ、質問された言葉を繰り返すわけ、人の目を見ないわけ、いつも動いているわけ、同じことを繰り返しやるわけ等々、まだ沢山の特徴があるが、どれも彼らなりのちゃんとした理由があった。中には何故なのか自分でもわからないと言う衝動もあったが、何より意外だったのは、大方は自分が普通の人と違っていてその事で人に迷惑をかけたり、困らせていると言う自覚があって、しかもそれについて悩んでもいるという事だ。そして自分がこれから何をしでかすかと心配で心配でしょうがないとまで言っている。自分で自分をコントロールできる人には分からないでしょうとも。胸に響くこの言葉によって、自閉症の人も内面は全く普通と変わらず、むしろより繊細で一途な心を持っているように感じた。

著者であるこの少年は自分の症状を一つづつ克服して現在に至っている。でも自閉症を必ずしも否定的にとらえているわけではない。それは自閉症の楽しみも知っているからだ。そして自分たちが誤解を受けていることを悲しんでいる。

識者などの推測でなく、すべて当事者が自分の言葉で事細かに記した稀有な本だと思う。
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