個人情報

玄関のチャイムが鳴ると、スタッフさんがお花見の時の写真を持って立っている。この写真をインターネットに乗せるにあたり、写っている皆さん一人ひとりの許可を頂きに廻っていると言う。見ると小さく横向きで写っている私の姿は自分で見てもよく判らないほどだ。同意も何も、又映像が小さかろうと大きかろうと、なんでこんなものが個人情報なんだ？本当にアホらしいとしか言いようがない。こんなことを訊きに廻らされているスタッフさんも気の毒だ。

いつの頃からか何かというと個人情報という言葉を振りかざして、およそ必要もないようなところで、つまらぬ手間隙をかけるようになっている。勿論そうすることが必要な場合もないではないだろうが、ネットに乗せる顔にモザイクをかけたり、面倒くさい世の中になったものだ。

私は道を歩いていて、散歩の人が連れている犬や、可愛らしい小さな子どもを見かけるとついカメラに収めたくなってしまう。ペットの場合は、お願いするとたいていの人はわざわざ立ち止まってくれたり、ペットにポーズを取らせたりむしろ嬉しそうに協力してくれる。本音を言うとそんなことをしてもらうより、自然に歩いている所を撮りたいのだが、連れている人を撮っていると誤解されそうなので致し方ない。犬の場合はまさか個犬情報でもないだろうし。

しかしこれが人間の子供となるともう個人情報になる。と知ったのはやはり以前保母さんに連れられて歩くヨチヨチ歩きがあまりにも可愛らしいので、カメラを向けたら保母さんに遮られたことがあった。幼児の場合誘拐などの犯罪に利用されることがあるからと言う理由だった。へーっと恐れ入ったが、そんなバカなと反論も出来ない。ただ嫌な世の中になったものだと言うしかない。それでも頼めば若いお母さんが、どうぞと子供の撮影を許可してくれることの方が多い。とは言え、これも黙ってこっそり撮ることは控えねばならない面倒くさい世の中だと心の中でぼやいている。