コロナ禍も落ち着き始め、気候も涼しくなったので久々に低山のバリエーションルートに行くことにした。
早朝の高尾駅から鳥沢駅へ向かう。明らかにこれまでの週末よりも車内が混んでいる。利用した電車は松本行き普通だったが、鳥沢駅まででもほとんど降りる人が居ない。皆さん、いったいどこまで行かれたのでしょうか?
▼朝7:30頃の鳥沢駅。この駅に降り立ったのは扇山を訪れた20年以上前以来で、綺麗な駅舎の無人駅。背後に倉岳山のシルエット。
鳥沢駅を出てすぐに右に折れ、旧甲州街道の下鳥沢宿である国道20号線を東進し、途中、道標に従って中央線を地下道でくぐり、桂川の段丘を降りて南岸に渡る。
▼振り返ると、扇山のどっしりとした山容。
▼途中から「ため池工事」の看板が増えてきた。車両通行止めのゲートには登山者向けの扉が右端に付いていた。
▼楽しみにしていた小篠貯水池であったが、期待に反して何と工事のため水抜きがされていた。
この先、清涼な豊富な流れに沿って続く道を辿る。この沢水は下流住民の飲料用とのことで、汚さないようにとの注意看板がいくつも立てられていた。途中、高畑山への分岐道標を見送り、沢の左岸に佇む地蔵に出くわす。
▼一般道は地蔵の右に伸びるが、我々は左に伸びる道を進み、渡渉して右岸に渡る。
▼渡渉して正面に流れ込む枝沢を遡行する。
枝沢に入ってすぐにその右岸の山腹や沢沿いに多数の赤リボンがあり戸惑うが、まずは沢沿いを進むことを優先しながら、右岸に尾根取り付き地点がないかを見極めながら進む。程なくすると、足元がかなり不安定ではあるが、明瞭な踏み跡がスイッチバックするような方向に伸びていた。朽ちた木の枝を払いながら、慎重にトラバースを続け、なんとか安定した支尾根に取り付くことができた。ここからも赤テープが散見されたが、林業用の物も多数混じっているようで、慎重に見極めながら、目指す倉岳山北西尾根を目指す。
▼長いトラバースを経て、ようやく北西尾根に取り付く。尾根の傾斜は比較的緩くどんどん距離を稼ぐことができた。
▼意外に早く、見上げた方向に「雨乞社」との立て札が立つ社の下に飛び出す。写真には無いが、すぐ足元には「ヌタ場」のような水たまりがあり、その時は大して気にも留めなかったのだが、下山後に文献を調べてみると、「へそ水」と名付けられた湧水が出る場所であった。
▼雨乞社のすぐ上にはトチの巨木。ここで休憩。奥に北尾根が伸びる。
倉岳山のピークが近づくにつれ、尾根の傾斜が増し、直登ではきつくなり、自ずとジグザグに登らざるを得ない状況になった。
▼倉岳山山頂の直前で左から合流する北東尾根。実は、数週間前、梁川駅からここを目指していたのだが、思わぬ悪天候で断念。
▼こちらは我々が辿りし北西尾根の方向を見たところ。急傾斜のためか尾根筋が分かりにくい。
▼ほどなく倉岳山のピークに出たが、振り返るとこのような看板があった。倉岳山はどの登路からでも最後は急傾斜になるようだ。
▼倉岳山ピークからの富士。
▼高畑山に向かう縦走路上もたっぷり秋の気配。
▼狭いが、峠道の雰囲気を感じさせる穴路峠。昔は多数の往来があったことを説明する案内板あり。
▼多数のハイカーで賑わう高畑山に到着。
▼高畑山からの富士。こちらはズームで。
高畑山山頂は集団ハイカーの喧騒もあり、そそくさと後にして、北側のトレールを急降下する。
▼途中の樹間から倉岳山のピークを望む。山頂直下に紅葉帯があるのが分かる。
高畑山北尾根は尾根に沿って進めばよいのだが、途中、一般道は左にそれて山腹をトラバースするように道が付けられている。我々はいったん、一般道を進み、また北尾根の合流地点から北尾根に戻ることにした。
▼右に分かれる北尾根をいったん見送って、一般道を進む。
▼仙人の住居跡だそうだ。小広い平地になっていた。
この辺りから地図を首っ引きに北尾根との交差点を探しながら進む。途中、赤テープや踏み跡が有る地点を発見したが、尾根の形状が不明瞭なため、念のためさらに先へ進み、ようやくこれはと思われる地点を発見した。
▼高畑山北尾根との分岐点。左に、沢状にえぐられたような道が伸びている。
この尾根に取り付いてからもやや不安な気持ちはぬぐえなかったが、樹間から見えるJR中央線の新桂川鉄橋に向けてこの尾根が伸びていることから、北尾根であることがようやく確信できた。尾根筋を絡むように、人の手が入ったようなえぐられたような道が所々出現したが、尾根筋を進んだ方が歩きやすかった。
▼途中、朽ちた巨樹が横たわっていたがその向こう側に石仏が佇んでいた。
途中2つほどの小ピークを越えていくが、なかなか標高が落ちない。
▼NHKをはじめとするTV電波の中継アンテナ設備
ここからコンクリート製の電柱など人工物が目につき、踏み跡のはっきりした尾根を忠実に辿っていくが、踏み跡に惑わされて、途中の分岐を見落としたことに気づき、引き返す。電柱の所に行った時点で「行き過ぎ」であった。
▼右の尾根を下ってきたが、左下に伸びる踏み跡を辿るのが正解。
最後は、つづら折れを急降下し、鹿柵に沿って左に折れると扉のある地点に到着し、鹿柵の外側に出た。そこからは水路に沿って右に進む。左側に折れるはずがそれらしい地点がなかなか見つからず、最後は配水路に沿って畑の脇の農道にひょっこり出た。
▼農道に出て振り返ったところ。
▼最後に、大月市の天然記念物である「小篠のイトヒバ」を見学。周囲には庚申塔を始めとする石碑が多く設置されていた。
久しぶりのバリエーション山行であったが、天候にも恵まれ、丁度良い感じのルートファインディングも楽しめて充実した秋の一日を過ごすことができた。お勧めのコースです!