Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

Mahler 7

2004-10-22 | Weblog
久々に晩酌したので(3日ぶり)景気付けにマーラーの7番をかける。指揮はアバドで演奏はベルリンフィル、2001年5月のライブ録音だ。まず曲だが、私がこの曲を初めて聞いたのは高校生か中学後半だったと思う。演奏はインバル指揮のフランクフルト響だった(テレビ録画)。あのときは5楽章が異様に気に入った。というよりは5楽章だけが飽きずに聴き通せた。分かり易過ぎる!c-durだし。それにインバルが惚けたような表情した後、最後の渾身の一発を振り下ろすのが格好よかった。が何故か、大学に入ってからこの曲からずっと遠ざかっていた。CDもインバルのものを買ったが、結局殆ど聴かなかったような気がする。そして昨年、ひょんなことからこのCDを購入した。というのは、9番のCDをもってくるのを忘れ、適当にアバドBPOのライブCDを購入したのだが、この9番が思った以上に名演であり、同じライブシリーズの7番も評判がいいらしいことがわかった。実際、聴いてみると冒頭のテナーホルンの奏でるメロディーだけで心を奪われた。(やっとそれが分かる歳になったのだろうか?)まるで冴えた月を投影しているような響き。そして次々に繰り出される管弦楽の妙。カラヤン死後、ベルリンフィルを引き継いだアバドの評価は決していいものではなかった。私もアンチの一派だった。私の知っているベルリンフィルのアバドは、いつも70点くらいをうろうろする演奏で、突き抜ける感動を与えてくれなかった。しかし、このライブ録音はどうだ!1楽章コーダの爆発的な盛り上がり(これでもかというぐらいに重ねられる管弦楽)透き通るような2、4楽章の夜曲。そして弾け飛ぶ5楽章。(3楽章はいささかグロテスクさに欠けるか?)驚嘆すべきはベルリンフィルの恐るべきアンサンブル技術だ。ここまで巧かったか?この難曲をここまで完全に弾けるのは現在ではベルリンフィルだけだろう。勿論カラヤン時代も巧かったが、現在のほうが透明感や色彩感に溢れているように思う。そして何か吹っ切れたアバドが、この完全無欠のオーケストラアンサンブルに躍動感を与えた。ベルリンフィルを引退する際にもアバドはこの7番を振ったらしい。つまりアバドーベルリンフィルのコンビの回答がこの曲の演奏にある。
世間的にはマーラーの7番は難解といわれてるが、果たしてそうだろうか?私には6番のほうがよっぽど難解だ。(そして5番は媚び過ぎで嫌だ)7番は表題付きの6番と8番に挟まれているから目立たないだけなのではないだろうか?マーラーは物理的限界に挑むかのように大合唱付きの8番を書いた後、一転して大地の歌、9番、10番と内的な燃焼へと向かうのだが、そういう意味で7番は、洗練された作曲技法と音響上の輝かしさを備えた純粋オーケストラ曲の最終形態の一つといえるのかもしれない。最後に、フルヴェンがこれを振ったら一体どうなったかなあと妄想しつつ、もう一本いきます。

コメントを投稿