Wilhelm-Wilhelm Mk2

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雷蔵

2008-01-22 | Weblog
新撰組始末記:市川雷蔵主演。初めて明かすかもしれないが、私は15年来の雷蔵ファンである。学生の時分は、名画座に雷蔵映画祭をよく見に行った。眠狂四郎、大菩薩峠等、代表作のいくつかはスクリーンで観たと思う。今でこそ雷蔵は若い女性にも大人気だが、そのころのお客さんは老人ばかりで、タイトルロールで雷蔵の名前が出るとワーッって拍手がおこり、鑑賞中にも野次が飛んだりで、まるで昭和初期にタイムスリップしたような気分になれてレトロ好きの私には妙に居心地が良かったりもした。最近会員になったレンタルビデオ屋で雷蔵作品を物色していたときに見つけたのが本作である。雷蔵が演じた役は、近藤でも土方でも沖田でもなく、山崎蒸という平隊員である。侍に憧れ、近藤(若山富三郎)の男気に惹かれて新撰組に入団したものの、策謀家の土方(天知茂)のやり口や新撰組の無法ぶりに疑問をもち、自分の選択に葛藤するという役である。新撰組映画としてはかなり異質な作品だが、性格俳優の雷蔵にもってこいの役であったと思う。雷蔵は、眠狂四郎や机龍之介など、ニヒル剣士の役の印象が強いが、コメディものから現代劇まで幅広く演じる演技力を持ち合わせていた。また歌舞伎役者としての下積みがあるので、なにげない所作が美しい。日本の美というものを渇望するときがたまにあるのだが、そういうときは雷蔵の映画を観ることにしている。市川雷蔵は38歳の若さで亡くなった。