Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

最近読んだもの聴いたもの

2007-12-18 | Weblog
夢野久作:少女地獄
題名だけ見ると、どこの変態小説かと思うが、まったくそういう本では無い。女性のもつ理知的には説明つかない洞穴のように奥深い恐ろしさを題材にした短編集。最近映画化された話もあるが、冒頭の「虚言癖」をもつ少女の話が一番面白かった。何かの目的のために嘘をつくのでなく、人生がつまらないから嘘をついて刺激をつくるという少女の話。昨日全集(7巻)が届いた。

澁澤龍彦:秘密結社の手帳
どうしてこの人はこんなに博学で、そしてこうも読ませるのか?

メンゲルベルク指揮「悲愴」(ナクソス)
どぎもを抜かれる改造演奏。インテンポなんてものは全く存在しない。なのに感動する!これだけ感動させてくれるのだから、これは価値ある演奏だ。戦前は、こういったデフォルメのきつい演奏が主流だった。その中でフルトヴェングラーは非常にまともなのだと思った。実はメンゲルの第九も凄いことで有名。

ハイフエッツのクロイツェル・ソナタ(ナクソス)
初めて聴いた演奏がこれだったので、今でもデフォルトです。やっと手に入れた。これに慣れてしまうと他の演奏はスローすぎて聴けない。実は伴奏のモイセイビッチも凄い演奏をしている。ピアノを弾く人しか知らないかもしれないけど、超絶技巧と詩情を併せ持った凄いピアニスト。

ヴェルヌ:カルパチアの城
ヴェルヌには珍しい怪奇小説。廃刊なので競売で買った。この中の一部は種村氏の編集した吸血鬼小説集に入っていた。過去にそれを読んで以来、是非通して読みたかった本。目下精読中(本日中に読了予定)。ヴェルヌらしい歴史や地理に対する詳細な記述が浪漫を掻き立てます。トランシルヴァニアは是非訪れてみたい土地。

ワルター:主題と変奏
ワルターの自伝小説。分厚く文字量も半端じゃないが、ぱらぱらめくると、古の名演奏家がたくさん登場してくる。読み通す時間はあるのかな・・・。たまに買い集めている大音楽家の伝奇小説の1つ。これまで読んだ中では、フルヴェン以外では、クナッパーツブッシュの伝記が非常に面白かった。
 

合奏

2007-12-18 | Weblog
 来年初頭の本番へ向けて、合奏練習が開始された。土曜日は賛助として参加する小編成の楽団、日曜日は所属している大編成楽団で練習した。どちらも初期の練習とは思えない上手さで感銘を受けた(全体の演奏にではなく個人的なもの。社会人なのによく弾くよなあといった感動)。賛助出演の方では、久しぶりに同門でない人(年齢的には一回りくらい上の人)と一緒に弾かせてもらったのだが、素晴らしい名手だったので合わせていて楽しかったし勉強になった。ここ数年、賛助依頼は殆ど断ってきた。というのも、楽器の特性からか、音楽的に弾かないことをよしとしている奏者が巷には結構いて、そういう人に出くわすとストレスになるからだ(人のことは言えないが)。これは、メロディーを担当することがない楽器特有の弊害だと思うのだが、腕の善し悪し以前に、綺麗に弾こうという意識が無い限り、良い合奏にならないと思う。あとは人間関係というか、結局合奏するのは人間同士なわけで、出来る限り友人や信頼できる人同士だけで演奏したい。無関心や敵意が媒介するときは良い演奏なんて出来るわけないし。さらには同じようなバックグラウンドを共有しているほうが、言いたいことも気持ちも伝わって有意義な時間が過ごせると思う。(折角の週末なのに、理解不能な人とつきあって疲れたく無いし。)
 それにしてもやはり低音の響きはたまらない。うまく音程が揃って艶のある音が出せたときは、芳香が匂い立つ果実味豊かで濃厚なフルボディの赤ワインを飲んだ時の快感に近いものがある。(意味不明だけどそんな感じ)