Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

ヒラリーハーン N響公演

2005-05-27 | Weblog
サントリーでの公演。プロコの1番を弾きました。流石の一言。場内も唖然としていました。完璧なテクニックを持ちながらそれを見せびらかすようなこともしないけど、それでいながら圧倒するという感じでした。あんなシニカルでちょっと捉え所のない曲なのに、オーケストラをぐいぐい引っ張って曲を見事に構築していました。またグロテスクな部分と正調との対比が明確で、随分と色々な音色が出るんだなと改めて感心。私がハーンの演奏が好きな理由の一つとして「雑音がない」ってのがあります。弦楽器だと音程以外にも摩擦音だのと色々な子音が出るのですが、これが殆どない。といってもなければいいってものでもなく、表情付け(特に現代曲とか)にこういった音は使われるのだけど、私はできるだけ無い方が好き。弦楽器の美音ってのを堪能し続けるならハーンですかね。アンコールのバッハ無伴奏がまた最高で、プロコの捻った感じの曲から一転して、真直ぐな曲を輝く美音で聴かせてくれました。彼女が弾き始めたとき何かホールの空気がさっと変わって照明が一瞬あがったような錯覚に見舞われました。ハーンの演奏スタイルはバッハと非常に相性がいいと思います。
メインはショスタコの5番でしたが、これも好い演奏でした。ヤルヴィという指揮者はいいですね。オーケストラはさすがN響という場面も多かったですが、低弦(バスとチェロ)が随分と気合いいれて頑張っているのに、ヴァイオリンはなんか職業的な惰性演奏に徹している感じがして不満でした。音量も全然無いですし、今日のヴァイオリンは2軍だったのかもしれません。ハーンの後だというのもありますが、コンマスのソロもちょっと頂けませんでした(はずしすぎ)。